医療機器

CR容器導入、多角的検討を‐子供の薬誤飲防止で議論

薬+読 編集部からのコメント

厚生労働省の医薬品・医療機器等対策部会で「チャイルドレジスタンス容器(CR容器)」についての検討が行われました。CR容器に変更することで、高齢者の服薬アドヒアランス低下や製薬企業側の負担増なども懸念され、今後も多角的な検討が必要となりそうです。

厚生労働省の医薬品・医療機器等対策部会は12日、子供による医薬品の誤飲事故を防止するための検討を行い、消費者庁から子供が開封しにくい「チャイルドレジスタンス容器(CR容器)」の調査状況について意見聴取した。委員からは、高齢者の服薬アドヒアランス低下や製薬企業側の負担増大を懸念する意見が出て、CR容器の導入に当たって多角的な検討が必要との考えが示された。


 

最近、子供による医薬品の誤飲事故が多発している。厚労省によると、2013年度にモニター病院9施設の小児科医が報告した健康被害例のうち、医薬品・医薬部外品は96件と前年度の57件から大幅に増加。1979年の調査開始以来、初めて報告件数がタバコを抜き1位となった。

 

この日の会合では、消費者庁から今年3月にCR容器の開発に向け調査を開始したことが報告され、子供や高齢者の“モノをつまむ力”を測り、様々なPTP包装容器で錠剤の取り出し試験を実施している段階であるとした。

 

一方、森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、CR容器導入に対する日本薬剤師会の意見を表明。高齢者など細かい作業を行いにくい患者の服用アドヒアランス低下につながる恐れがあるとし、本来の服用者の影響を考慮した導入を要望。その上で、「CR容器の導入は手段であり、目的は子供の誤飲防止にある」とし、医薬品の管理について学ぶ機会の少ない国民に啓発活動を充実するなど、根本的な防止策が必要だと訴えた。

 

また、誤飲事故には「かじって取り出す」などの事例も多いことから、PTPシートのフィルム強度を高めるだけでなく、シート素材に苦味を添加する方法なども検討していく必要があると指摘。将来的にCR容器のガイドライン等を策定するのであれば、導入コストなどを含め、多角的な検討を進めるべきだとした。

 

製薬業界の立場からは、千葉昌人委員(日本製薬団体連合会安全性委員会副委員長)が意見を述べた。CR容器に変更した場合、改めて安定性データなどを取得し、その品質の検証を行う必要があるほか、PTP包装機械の切り替えなどの設備投資で負担がかかるとし、製薬企業への配慮を要望した。

 

そのほか、委員からは、「子供に薬を触れさせないようにする対策が重要だ」との意見が出て、保護者等に薬の保管方法を指導するなど、啓発活動を徹底させていく必要性を確認した。厚労省は、消費者庁の結果を踏まえ、総合的な対策を検討したい考え。

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出典:薬事日報

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