医療機器

MR活動にAIを導入‐営業現場から提案

薬+読 編集部からのコメント

武田薬品がMRの情報提供活動のプロセスに人工知能(AI)を組み込みます。
3つの支店でテストしていましたが、今後本格的に導入します。
取締役ジャパンファーマユニットプレジデントの岩崎真人さんは、「AIは医療ニーズとして顕在化しているものをきちんと学習、蓄積していくことができる」と説明しました。
AIには、自社製品の臨床試験・実臨床データ、論文情報などがインプットされ、MRでは対応できない可能性がある医師の質問に対しても、その場でAIを活用し、必要とする情報を検索することで即座に対応していく方向です。

パイロットを終え本格展開

武田薬品は、MRの情報提供活動のプラットフォームとして人工知能(AI)を本格的に導入する。三つの支店でAI導入のパイロット試験を行っていたが、今後は本格実装し、地域包括ケアシステムの中の多様なステークホルダーに対して、メディカルアフェアーズなど営業以外の他部署も巻き込み、生産性が高く効率的なマルチチャネル型情報提供を目指す。取締役ジャパンファーマユニットプレジデントの岩崎真人氏は、本紙のインタビューに対し、「パイロット試験で得られたことはたくさんある。AIは医療ニーズとして顕在化しているものをきちんと学習、蓄積していくことができるので、互換性、普遍性という観点から大きな意味があった」と述べ、今後の本格展開に手応えを示した。


武田は、社内からデジタル技術に関する斬新なアイデアを募集し、社内ベンチャーという形で提案からプロジェクト化を図るなど、従来から創薬、開発、営業、製造などで部門横断的にデジタル化を推進してきた。AIの導入も、事業アイデアを公募したところ、営業部門から具体的な提案があり、実用化段階まで来ている。

 

AIには、自社製品の臨床試験・実臨床データ、論文情報などがインプットされ、MRでは対応できない可能性がある医師の質問に対しても、その場でAIを活用し、必要とする情報を検索することで即座に対応していく。本格実装に当たっては、情報提供・収集活動でデジタルを上手に使いこなせるMRを育成していきながら、MR活動のプロセスにAIを組み込み、長期視点に立って現場で生産性を高める仕組みをつくり上げていく考えだ。

 

岩崎氏は、医療機関側がMRに求める情報提供が高度化する中、「製薬企業が、ペイシェントジャーニーの流れの中で生じた事象を、いかにタイムリーに取得できるかを考えたときに、デジタル技術が一つのアドバンテージとなる」とAI導入の意義を語る。地域包括ケアシステムのもとで、かかりつけ医、急性期、慢性期など医療機関が機能別に分かれており、患者の流れを把握していくに当たって従来はかかわってこなかったステークホルダーとも連携していく。

 

医薬品情報の検索時間短縮による効率化に加え、MRやメディカルアフェアーズによる従来型の口頭でのコミュニケーションでは、医師に対する情報提供の価値や重要性を評価するのが難しかったが、AIを活用することで情報の質を定量的に評価できるようになる。例えば、ある医療圏で実施したアプローチで客観的に特定の傾向が確認できれば、他の医療圏でも似た傾向が生じる可能性を検討し、横展開させていくことも可能だ。

 

岩崎氏は、「従来の会議で情報共有しているだけでは、解決できないことはたくさんあったと思う。われわれは、70カ国以上をカバーしている企業なので、海外で用いたデジタルのアプローチを積極的に取り入れていきたいと考えており、互換性や普遍性を持った手法を構築していくことは大きな意味を持つ」と話す。

 

薬剤師に対するアプローチも強化する。「地域包括ケアのステークホルダーの中で、薬剤師が主要な部分を占める」とし、薬剤や食物との相互作用、併発している疾患との関連性など安全性情報を提供していく。「医療機関が機能別になっていく中で、薬剤師は網羅的に患者を見ることができる。ペイシェントジャーニーを本当に把握できるのは薬剤師なのかもしれない」と連携に意欲を示した。

 

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出典:薬事日報

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