薬剤師の働き方 薬剤師の働き方

薬剤師が副業する前に知っておくべき注意点 文:前田 朋

副業のメリット&デメリットから薬剤師におすすめの副業5選まで

働き方改革にともなってモデル就業規則が改定されるなど、いま日本では政府主導で副業が推進されています。専門資格をもつ薬剤師にとっては、自身の知識や技術、経験を活かしてさらなる収入アップが期待できるだけでなく、社会貢献できるチャンスです。今回は、薬剤師が副業をする前に知っておきたいことと、おすすめの副業を紹介します。

1. 副業とは

働き方改革の推進に向け、厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公開しています。ここで言う「副業」とは一般的に、本業以外で収入が発生する就労を指していますが、法的に明確な定義はありません。同ガイドラインでは、副業・兼業の現状を示したうえで、「副業・兼業は、労働者と企業それぞれにメリットと留意すべき点がある」としています。

2. 副業を始める前に注意したいこと

前述したガイドラインのなかで、副業を始めたい労働者に向けた留意点として以下の点が挙げられています。

 

・就業時間が長時間化することによる負担
・職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を意識する必要性
・雇用保険の適用条件などを把握する

 

一方、企業側に対しては、必要な就業時間の把握と管理、さらに労働者の健康管理への対応を促しています。また、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務の確保についても対応する必要性を指摘しています。

 

また、厚生労働省が示している「モデル就業規則(平成31年3月版)」においては、労働者の遵守事項である「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が削除され、第14章副業・兼業の項において、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」という内容が追加されました。

 

こうした状況をふまえると、副業を考える場合は、所属先企業の職務規程に「副業に関する条件が示されているかどうか」を確認することから始めるべきでしょう。副業を不可とする就業規則があるにもかかわらず無断で副業を始めてしまうと、何らかの処罰の対象になる可能性があります。

職務規定は所属先企業によって異なりますが、ここでは基本的に副業・兼業が禁止されている可能性の高いケースを見てみましょう。

 

<副業・兼業が禁止されている可能性が高い例>
・公務員
国立病院や役所に所属する薬剤師や地方自治体の保健所に所属する薬剤師は、公務員にあたります。基本的に公務員は副業が禁止されているので、薬剤師であっても副業は認められません。
・管理薬剤師
管理薬剤師は、医薬品医療機器等法によって副業・兼業が禁止されています。ただしその内容は、薬局の管理やその他薬事に関する業務に関してであり、薬事に関わらない業務であれば副業が可能です。たとえば、副業としてライターになるといった働き方は、薬事に関わらないため可能です。

3. 副業で得られるメリットって何?

副業を始める動機は、人それぞれ。「収入を増やしたい」「スキルアップしたい」「違う環境で経験を積みたい」など、目的に合わせた副業先を探すはずです。なかには、「副業できる機会があったから」という理由で副業を始めるケースもあるでしょう。しかし、目的のない副業をすると、本業、副業のどちらにも集中できず、労働時間が増えただけ、なんてことにもなりかねません。まずは、副業で得られるメリットにはどのようなものがあるのかを考えてみましょう。

スキル・経験値が上がる

本業とは異なる環境で仕事をすると、様々な能力をもつ人との出会いも増え、スキルや経験値アップにつながります。結果として、長期的なキャリア形成につながるでしょう。経験値の高い人と出会うことで、技術を習得する機会が得られたり、人脈を作ることができたりすれば、将来の働き方を考えるうえで大きなヒントが得られるでしょう。

 

モチベーションアップ・マンネリ防止

新しい環境での仕事は、働くことへのモチベーション向上にもつながります。場合によっては、本業にも良い影響を与えてくれるでしょう。異なる環境を経験することで、従来の働き方を見直し改善するきっかけにもなります。

 

収入アップ

複数の職場で働くことで、収入が増えます。生活に余裕が出ると同時に、将来設計がしやすくなるでしょう。たとえば、「将来は独立をして薬局を開業したい」「さらなる勉強のために大学院への進学を考えている」といった場合には、そのための資金を貯める方法として副業は有効な手段といえます。

 

以上みてきたように、副業にはさまざまなメリットがありますが、時間的ストレスや体力的ストレス、本業への影響などは避けられません。どんな副業であればコストパフォーマンスが良いのかを確認しながら、自分に合った副業先を探しましょう。

4. 薬剤師におすすめ副業5選

では、具体的にどのような副業があるのでしょうか? 薬剤師としての経験や知識、技術を活かせるおすすめの5業種を紹介します。

① ドラッグストア勤務

門前薬局や病院に日中勤務する薬剤師であれば、夜遅くまで営業しているドラッグストアでの副業が可能です。ドラッグストアは営業時間が長いため、本業に負担がかからないよう勤務時間を調整することも可能でしょう。OTC(カウンセリング販売)の経験が積めるため、コミュニケーション能力や判断力、分析力などのスキルアップが期待できます。また、ドラッグストア勤務に興味をもつ薬剤師は採用側からもやる気のある即戦力とみなされ、歓迎されやすいこともおすすめする理由のひとつです。

② 地域の開業医が経営する病院勤務

地域密着型の病院は、診療時間が決まっており拘束時間が短い傾向にあるため副業に適しています。また、患者さんへの対応や投薬管理などを任されることも多く、地域貢献に携わることができやりがいのある職場といえるでしょう。

③ メディカルライター

薬剤師としての経験や知識を活かし執筆をする「メディカルライター」という職種も注目です。在宅勤務が可能で、パソコンとインターネット環境さえあれば仕事ができることが大きなメリットです。また、薬学に関する正しい知識を求められるメディカルライターは、一般的な記事の執筆料に比べて高水準の執筆料を得られる傾向にあります。ただし、執筆業には納期がつきもの。納期が守れない状況が続くと継続的に仕事をもらえなくなる可能性があるため、納期や執筆量の調整など、自己管理を徹底する必要があります。

 

④ 薬学部を目指す受験生の家庭教師や塾講師

薬剤師を志望する人に教えるという経験は、基礎知識の復習につながりスキルアップするきっかけとなります。また、人にわかりやすく伝えるコツや生徒とのコミュニケーション方法などを学べる機会になるでしょう。

 

⑤ 薬学書の翻訳

薬学書などの専門的な海外資料を翻訳する仕事もあります。高い語学力が求められる一方、新たな知識を得るチャンスにもなり、収入も高い傾向があります。メディカルライター同様、納期が定められているため、時間配分や仕事管理をする必要があります。本業が忙しい時期や予定が詰まっている場合などは、前もって計画を立て、時間の確保をしなければなりません。

5. 副業をする目的を明確にしよう

働き方改革によって、徐々に副業が認められる時代へと変わってきています。柔軟な働き方が可能になってきたからこそ、自分の意思を明確にキャリア形成する必要があるでしょう。副業をするなら、何を目的に、どのような環境で働きたいのかを日頃から意識しておくことが大切です。まずは今の就労環境を見直し、副業が可能かどうかを確認したうえで、自分にあった働き方を考えるところから始めてみましょう。副業先の選択肢を広げたいなら、多くの情報を持つエージェントに相談してみるのもおすすめです。

執筆/前田 朋

編集者・ライター。学術・哲学系出版社勤務を経て独立。書籍企画・編集を中心に、博物館にての催し・展時企画立案、自然科学、生物学、薬学関係の執筆および薬事校正に携わる。

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