インタビュー 公開日:2022.08.30更新日:2022.08.30 インタビュー

くりの木薬局が実践する、整形外科患者さんのための薬剤選択

患者さんの日常生活に密着しているからこそ、本当に必要とされている医薬品がなにかもわかる、と語る「くりの木薬局」の薬剤師・山崎あすか先生。整形外科患者さんを通して、薬剤の選択で大切にしていることについて、お話を伺いました。

 

本記事は株式会社ネクスウェイが提供する「医療情報おまとめ便サービス」2017年6月号特集「私たちの薬剤選び『ジェネリック医薬品』患者さんに最適な薬はどれだろう?CASE03整形外科患者向け」P.9-10を再構成したものです。

お話を聞いたのは……
 

有限会社フォレスト調剤
くりの木薬局
埼玉県草加市松原4-5-5

70~90代の高齢者を中心に在宅医療も

Q.「くりの木薬局」さんの特徴について教えてください。

地域密着型の健康情報の拠点として今年の6月で開局17年目を迎えます。患者層は近所の特別養護学校や小中学校の生徒さん、また交通事故の方、労災認定の方もいらっしゃいますが、ほとんどが整形外科に通われる70~90代の高齢者です。



薬剤師 山崎あすか先生

 

疾患については腰痛や膝の痛みなど、年齢を重ねると皆さんお悩みになるものが多いですね。また、高齢者の場合、疾患をいくつか併せ持っていて複数の病院に通われている方もいますが、待ち時間が長いと辛いので、整形外科のリハビリに来られるついでに内科のお薬も
お願いされるケースも増えてきました。
 
現在、外来のほかでは、高齢者施設2件と在宅患者さんも15名程いらっしゃいますが、在宅訪問の範囲は自転車で行ける範囲内におさめています。やっぱり、何かあったときにすぐに駆け付けることが出来なければかかりつけ薬局の意味もないと思いますし、何より患者さんの気持ちに寄り添った医療を目指していきたいというのが根底にあります。
 
OTC医薬品販売も取り扱っていますが、サポーターやネット包帯、指サックなどのサンプルを設置し、サイズや使用感を試してもらえるようにしています

 
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使いやすさと分かりやすさに留意

Q.患者さんのタイプに合わせた薬剤の選択は?

整形外科にかかる高齢者患者さんの場合、ダントツで使用されるのが湿布薬です。ただ、独居の方などはご自分では背中に貼りにくかったりしますので、ケアマネジャーさんを通して看護師さんに貼ってもらうようにお願いしたりしています。
 
また、若い方の場合はそこまで気にするところではないのですが、乾燥した高齢者の皮膚では粘着力が強い湿布薬だとくっついてしまったりするので、粘着力の弱いものにした方がいいこともありますし、先生と相談して塗り薬に替えたりもします



 

それから、高齢者の方は「ピンクのシート」とか「白い錠剤」といったように、薬を色とか剤型で把握している方がとても多いんです。例えば、先発でピンク色だったものが後発でシルバーになったりすると、薬効自体は同じものであっても「これじゃない」と認識されて「効かない」と勘違いされてしまう事もあるんですよ。ですから、後発へと切り替える際は、先発の色や剤型に近いものを選ぶようにしています。

使いやすい医薬品が増えました

Q.ジェネリック医薬品のメリットとデメリットは?

国民健康保険の推奨もあり、高齢者の方はご自身からジェネリック医薬品への切り替えを申し出る方が多いんです。そこにはご家族の医療費負担への配慮や、これからの未来を担う若い世代への思いなどが込められているのだと実感しますね。
 
ですから、こちらから勧めることは案外少ないかと思います。ジェネリック医薬品の一番のメリットは先発には無かった“使いやすさ”や“服用しやすさ”などに着目した医薬品の登場です。例えば、痛み止めや炎症を抑えるものであれば、スティックタイプの塗り薬は塗りやすく、市販薬で馴染みのある剤型で手軽に使っていただけると思います。

また、以前のものに比べメントールの香りも控えめになり、職場などで匂いが気になるという方にもお勧めです。あと、ゼリータイプの飲み薬は、錠剤を粉砕してとろみをつけて服用して…という手間が省けて便利だと思います。高齢患者さんもそうですが、脳梗塞等で嚥下困難な患者さんにも服用しやすいですし、個人的にもイチ押しです(笑)。
 
ただ、外用剤の場合は、どうしても使用感の影響が大きいのでなかなか移行できないということはあるんじゃないでしょうか。あと、OD錠なども導入しますが、効果があるかどうかはもちろん、実際に飲みやすいのか、味はどうなのかということ含め、一番は患者さんの治療のための薬なので、都度ヒアリングしたり、他の薬局の薬剤師さんと情報共有をして、理解を深めていかないとより良い選択が難しいかもしれませんね。

 
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現場の声を活かした医薬品作りを

Q.今後、ジェネリック医薬品に求めることは?

製薬会社さんは病院や薬局での意見を取り入れて新商品開発をされている部分も多々あるかと思うんですが、やはり使用するのは現場なんですよね。先ほどもお話ししたように、独居の高齢者や老老介護という環境の中、いかにして皆さんが薬を使っているか。介護の現場などからの声を取り入れていけば、患者さんの求めているものにより近い製剤ができるんじゃないかなと思います。

 

<お話の中で出てきた薬の一例>
 

※ア
沢井製薬株式会社 レバミピド錠100mg「サワイ」

※イ
ニプロ株式会社 ロキソプロフェン Naゲル1%「NP」

※ウ
三笠製薬株式会社 スミルスチック 3%

※エ
武田テバ薬品株式会社 アムロジピン 内用ゼリー2.5mg「TYK」

 

 

出典:株式会社ネクスウェイ「医薬情報おまとめ便サービス」特集2017年6月号

 
 

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