薬剤師のためのお役立ちコラム 公開日:2021.04.15 薬剤師のためのお役立ちコラム

薬剤師に向いていないと感じてしまう理由とは?対処法も解説 文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

薬剤師の仕事が向いていないと悩んだことがある人は意外といるものです。ミスが多かったり、仕事にやりがいを見いだせなかったりと、落ち込む理由はさまざまでしょう。主観的な判断で仕事への向き・不向きを判断しがちですが、実は働く環境によっても感じ方が変わります。今回は薬剤師に向いていない人の特徴や、向いていないと感じる理由を解説するとともに、薬剤師を辞めたくなった時の対処法についてお伝えします。

1. 薬剤師に向いていない人の特徴

薬剤師に向いていない人の特徴はどのようなものがあるのでしょうか。具体的にみてみましょう。

 

1-1. 勉強することが嫌いな人

薬剤師は、働き始めてからも勉強をし続けなければなりません。新薬などの医療情報を収集したり、勉強会に参加したりしながら最新の知識を学び続けます。新薬やジェネリック医薬品の発売、使用上の注意やガイドラインの改訂などの医療情報に加えて、保険制度や調剤報酬などルールの変更など、勉強する分野は多岐にわたります。医療業界は情報の更新が頻繁に行われるため、薬剤師として働いているかぎり退職するまで日々勉強し続けることになります。勉強が苦手、嫌いだと感じる人は、薬剤師に向いていないかもしれません。

 

1-2. 計算が極端に苦手な人

薬剤師の仕事は細かな計算の連続です。調剤時は、「14錠シート何枚、端数何錠でトータル100錠になるのか」といった計算を瞬時に行わなければなりません。また小児への処方薬は、体重換算で用量を確認したり、水剤を希釈する際の量を計算したりする必要があります。計算自体は単純な掛け算や足し算などですが、早く正確に行わなければならないので、計算が極端に苦手な人は作業がつらくなる可能性があります。

 

1-3. コミュニケーションが苦手な人

薬剤師は、患者さんや医療従事者など多くの人と関わります。そのため、コミュニケーションスキルが求められます。初対面の患者さんと話す機会も多いため、人見知りが強い人には厳しい職業かもしれません。また、相手の気持ちが読み取れないタイプの人は、意図せず患者さんを不快な気持ちにさせてしまうことがあります。自身の接客態度に対してクレームが多くなれば、薬剤師に向いていないと感じることもあるでしょう。

1-4. ミスを繰り返す人

薬剤師の仕事は、少しのミスが患者さんの命に関わる可能性があります。ミスの許されない仕事ではありますが、一度もミスをしたことがないという薬剤師はほとんどいないでしょう。大切なことは、ミスを繰り返さないように原因と対策をしっかり考えることです。ミスをした時に原因の考察ができない人は同じミスを繰り返してしまい、トラブルを招く可能性があります。

 

1-5. 状況に合わせて動けない人

調剤薬局やドラッグストアでは、患者さんが立て続けに来局して混み合うこともあれば、パラパラとまばらになることもあります。病院薬剤師の仕事も同様に、配薬日や調剤日によって忙しい時間帯や曜日が異なります。そうした変化を理解できず、常に同じようなペースで仕事をしていると、患者さんからのクレームや同僚からの注意を受けることになりかねません。状況に合わせて業務スピードを調節するのも、薬剤師に必要なスキルです。薬剤師の仕事はサービス業の側面が大きく、特に窓口では患者さんのニーズに合わせた対応を求められます。自分のペースで仕事を進めたいタイプの人には向いていない可能性があります。

 

1-6. 電話対応が極端に苦手な人

薬剤師は業務上、電話対応が必要な時もあります。患者さんからの相談や医師への疑義照会など、電話を受けたりかけたりする機会は少なくありません。電話よりも、メールやチャットの使用頻度が高い人は、こういった電話対応に苦手意識をもつこともあるでしょう。しかし、医療現場において迅速な対応が必要な時は、メールよりもその場で回答を得られる電話を利用するケースがほとんどです。そのため、電話対応が極端に苦手な人は、薬剤師の仕事に向いていないかもしれません。

 

2. 薬剤師に向いていないと感じる原因

性格や考え方、得意・不得意といった個人的な理由で薬剤師に向いていないと感じる人もいますが、実際は仕事をうまくこなしているのに、向いていないと感じてしまう人もいます。その原因は、周囲の環境にあります。ネガティブな気持ちを引き起こす具体的な要因を探ってみましょう。

 

2-1. 職場が合わない

薬剤師に向いていないと感じる原因のひとつに、「職場が合わない」ことがあげられます。職場の人間関係が合わないと、仕事のパフォーマンスも落ちやすくなるため、ミスをしやすくなったり調剤のスピードが遅くなったりします。患者さんからミスや待ち時間のクレームを受けるたびに、薬剤師が向いていないと感じるかもしれません。

 

また、薬剤師ではなく職場が合わない可能性もあります。今の職場が調剤薬局なら、ドラッグストアや病院など、別の環境を選ぶことで悩みが解消されることもあるでしょう。調剤が苦手な人でも、ドラッグストアのOTC医薬品を扱うのが向いていることもあります。患者さんと話すのが苦手であれば、医療従事者とのコミュニケーションが多い病院を選んだほうが良いかもしれません。薬剤師が向いていないと感じていたとしても職種や職場を変えることによって、向き・不向きの感じ方が変わることがあります。

2-2. 同期や先輩を見て引け目を感じている

同僚の働き方を見て、薬剤師に向いていないと感じることがあるかもしれません。調剤をテキパキとこなしている様子を見たり、患者さんや医療従事者から指名を受けていたりすると、劣等感を抱くこともあるでしょう。あるいは、勉強会への参加や認定薬剤師など資格取得を積極的に行っている同僚を見て、引け目を感じてしまうかもしれません。同期や先輩の姿を見て、薬剤師のあるべき理想像を作り上げてしまうと、薬剤師が向いていないと感じてしまうきっかけになります。

2-3. 体力的な問題

薬剤師の仕事は、時間に追われながらもミスなく正確に対応しなければいけません。常に動き回りながら集中力を維持する体力が求められます。例えば、病院薬剤師は、一包化や配薬する曜日が決まっていることが多く、その前日や当日が忙しくなることで体力的な負担を感じることもあるでしょう。調剤薬局では、クリニックや病院の診療時間・休診日によって混み具合が左右します。薬剤師の数が足りていないことが原因で忙しくなっているのであれば経営上の問題ですが、そうでないのであれば、集中力を持続させながらの立ち仕事に体力的な限界を感じ、薬剤師に向いていないのではないかと考えてしまうかもしれません。

 

2-4. やりがいを感じない

薬局に勤務する薬剤師の仕事の大半は、調剤業務です。薬を調剤し患者さんに説明するまでの工程を単純作業と感じてしまうと、やりがいを見出せないかもしれません。また、仕事に対するやりがいは年代や性別によっても変わります。「 マイナビ転職動向調査」(2016~2018年に転職した正社員が対象、有効回答数1,000名)によると、20代や30代はスキルアップや自己成長を実感できること、40代男性は自分の裁量で仕事を進められることを重視していることがわかり、年代・性別によって仕事への価値観は異なります。

 

3. 薬剤師に向いていないと感じた時の対処法

薬剤師に向いていないと悩んでいると、薬剤師を続けるか辞めるかの二択になりがちです。感情的に辞めることを決意する前に、試してほしい対処法をお伝えします。

 

3-1. 興味が持てそうな分野を探す

興味が持てそうな分野を探してみるのも、モチベーションを高めるきっかけになります。例えば、身近な人が抱えている健康の悩みについて、詳しく勉強してみてはいかがでしょうか。生活習慣病や不眠症、ダイエットなど、健康に対する人の悩みはさまざまです。身近な人へのアドバイスを目的に勉強していると、自然とより深く勉強できるかもしれません。深めた知識は服薬指導などにも生かすことができ、患者さんの悩みを解決するきっかけにもなるでしょう。薬剤師に向いていないと悩んでいても、自分の知識が身近な人や患者さんのためになるという体験をすることで、自分の存在価値を見出すことができるのではないでしょうか。

 

3-2. 第三者に相談してみる

自身が薬剤師に向いていないと悩んだ時は、第三者に相談してみるのもひとつの方法です。この時、同僚だけではなく、自分より薬剤師経験の長い年上の先輩にも相談してみましょう。さまざまな経験を持ち、多くの薬剤師を見てきたからこそ、客観的な意見をもらえるはずです。また、先輩や上司も過去に同じような悩みを抱えていたかもしれません。思いもよらない解決方法を提案されることもあるでしょう。

 

3-3. それでも向いていないと思うなら転職も視野に入れる

どんな仕事でも向き・不向きがあるものです。薬剤師に向いていない人の特徴や原因がいくつも当てはまるようであれば、薬剤師を続けていくのがつらく感じるかもしれません。しかし、せっかく取得した薬剤師の資格を使わないのは、少し心残りでもあります。薬剤師として働き続けることをあきらめる前に、まずは異動や転職などで環境を変えてみましょう。働く場所を変えると仕事内容や同僚がガラッと変わります。人や場所が変われば価値観やものの考え方も変わるため、今まで向いていないと思い込んでいたことが違って見えるかもしれません。

 

4. 薬剤師を辞める前にいろいろ試してみることが重要

薬剤師を続けていくことに悩んだら、まずはそう感じる原因を紙に書き出してみましょう。「薬剤師に向いていない人の特徴」で挙げた項目と、自身が書き出した項目を見比べてみれば、不安な気持ちを感じる原因が見えてくるかもしれません。自分を見直すきっかけにもなり、改善できるポイントもわかることでしょう。また、異動や転職で環境を変えると気持ちに変化が起こることもあります。薬剤師を続けることをあきらめる前に、まずは現状を確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

【参考URL】

マイナビ転職動向調査


執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。

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