50代薬剤師の中には、現在の年収に不安や不満を抱える人もいることでしょう。そういった場合には、まず50代薬剤師の平均的な年収を把握するとよいかもしれません。本記事では、50代の薬剤師の平均年収について、男女別のデータを紹介するとともに、職場別・都道府県別の薬剤師の平均年収をお伝えします。加えて、年収を上げるためのポイントや、50代薬剤師にとって納得できる年収についても見ていきましょう。

1.50代の薬剤師の平均年収はどのくらい?
厚生労働省の2024(令和6)年賃金構造基本統計調査によると、50代薬剤師の平均年収は、50~54歳が744万7,300円、55~59歳が709万2,600円とされています。
| 年齢 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与 その他特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 50~54歳 | 52万5,600円 | 114万100円 | 744万7,300円 |
| 55~59歳 | 52万4,300円 | 80万1,000円 | 709万2,600円 |
※年収は同調査における「きまって支給する現金給与額」×12カ月+「年間賞与その他特別給与額」で算出
参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号5|政府統計の総合窓口 e-Stat
50代前半の薬剤師の方が、50代後半の薬剤師よりも平均年収が高いという結果でした。このことから、薬剤師の年収のピークは50代前半であるケースが多いことが推測されます。
また、50代薬剤師の平均年収は、男性・女性によっても違いがあります。ここでは、50代薬剤師の前半・後半の男女別平均年収について詳しく見ていきましょう。
1-1.50代前半の男性・女性薬剤師の平均年収
50代前半の男性・女性薬剤師の平均年収は以下のとおりです。
| 性別 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与 その他特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 男性 | 56万1,600円 | 130万2,600円 | 804万1,800円 |
| 女性 | 49万500円 | 98万1,500円 | 686万7,500円 |
| 男女計 | 52万5,600円 | 114万100円 | 744万7,300円 |
※年収は同調査における「きまって支給する現金給与額」×12カ月+「年間賞与その他特別給与額」で算出
参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号5・7|政府統計の総合窓口 e-Stat
男女別で見ると、50代前半の薬剤師の年収は、約120万円の差があることが分かります。
1-2.50代後半の男性・女性薬剤師の平均年収
50代後半の男性・女性薬剤師の平均年収は以下のとおりです。
| 性別 | きまって支給する 現金給与額 |
年間賞与 その他特別給与額 |
平均年収 |
|---|---|---|---|
| 男性 | 58万3,600円 | 64万600円 | 764万3,800円 |
| 女性 | 47万9,600円 | 92万1,800円 | 667万7,000円 |
| 男女計 | 52万4,300円 | 80万1,000円 | 709万2,600円 |
※年収は同調査における「きまって支給する現金給与額」×12カ月+「年間賞与その他特別給与額」で算出
参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号5・7|政府統計の総合窓口 e-Stat
50代後半の薬剤師については、男女の平均年収の差は約100万円で、50代前半よりも差が小さくなっています。
🔽 薬剤師の平均年収について解説した記事はこちら
2.職場別の薬剤師の平均年収
続いて、職場別の薬剤師の平均年収についてみていきましょう。
2-1.薬局薬剤師の平均年収
2023年に中央社会保険医療協議会が実施した「医療経済実態調査(医療機関等調査)」では、薬局に勤める薬剤師の平均年収は、一般薬剤師が486万4,287円、管理薬剤師が734万8,725円とされています。
参考:第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告 -令和5年 実施-|中央社会保険医療協議会
一般的に50代薬剤師は薬剤師歴が長いことから、多くの知識や経験があり、判断力やトラブル対応力も高いでしょう。そのため、常勤薬剤師であれば管理薬剤師や薬局長、エリアマネジャーなどの役職に就き、薬局や企業全体の運営を任せられる場合も多いのではないでしょうか。
常勤で働く50代薬剤師は、厚生労働省の調査結果における「管理薬剤師の平均年収」に近い年収、またはそれ以上の年収を得ている可能性もあるでしょう。
2-2.病院薬剤師の平均年収
2023年に中央社会保険医療協議会が実施した「医療経済実態調査(医療機関等調査)」では、一般病院に勤める薬剤師の平均年収は568万8,862円とされています。
参考:第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告 -令和5年 実施-|中央社会保険医療協議会
病院薬剤師についても、50代の薬剤師は多くの知識を持ち、瞬時の判断やトラブル対応の経験も豊富な傾向にあるため、常勤であれば責任のある立場を任されていることも多いでしょう。そのため、50代に病院薬剤師の平均年収は、上記の金額よりも高くなることが推測されます。
また、厚生労働省の資料「薬剤師の偏在への対応策」によると、50代の病院薬剤師の平均年収は、常勤の場合約700万円とされています。
病院薬剤師の平均年収については、以下の記事もご覧ください。
3.都道府県別の薬剤師の平均年収
厚生労働省が実施した2024(令和6)年賃金構造基本統計調査によると、都道府県別の薬剤師の平均年収は以下のとおりです。
| 順位 | 都道府県 | 平均年収 |
|---|---|---|
| 1位 | 熊本 | 761万8,400円 |
| 2位 | 広島 | 715万7,200円 |
| 3位 | 山口 | 687万9,400円 |
| 4位 | 新潟 | 686万9,400円 |
| 5位 | 大分 | 677万2,000円 |
| 6位 | 栃木 | 667万7,100円 |
| 7位 | 岩手 | 665万3,500円 |
| 8位 | 静岡 | 665万2,400円 |
| 9位 | 長野 | 658万3,900円 |
| 10位 | 和歌山 | 646万8,500円 |
| 11位 | 三重 | 641万8,000円 |
| 12位 | 香川 | 633万6,900円 |
| 13位 | 千葉 | 631万8,500円 |
| 14位 | 愛知 | 631万3,800円 |
| 15位 | 秋田 | 629万2,600円 |
| 16位 | 茨城 | 627万8,400円 |
| 17位 | 佐賀 | 622万2,900円 |
| 18位 | 石川 | 620万5,700円 |
| 19位 | 愛媛 | 618万9,700円 |
| 20位 | 福井 | 612万8,100円 |
| 21位 | 岐阜 | 611万6,200円 |
| 22位 | 山梨 | 609万5,000円 |
| 23位 | 東京 | 609万2,500円 |
| 24位 | 高知 | 600万8,700円 |
| 25位 | 鳥取 | 600万4,800円 |
| 26位 | 鹿児島 | 598万1,800円 |
| 27位 | 山形 | 597万1,100円 |
| 28位 | 京都 | 594万7,700円 |
| 29位 | 奈良 | 594万5,700円 |
| 30位 | 徳島 | 588万6,100円 |
| 31位 | 富山 | 585万6,200円 |
| 32位 | 滋賀 | 582万7,600円 |
| 33位 | 青森 | 576万3,900円 |
| 34位 | 神奈川 | 572万0,300円 |
| 35位 | 宮城 | 571万7,600円 |
| 36位 | 大阪 | 569万7,800円 |
| 37位 | 福島 | 569万2,900円 |
| 38位 | 群馬 | 564万2,300円 |
| 39位 | 長崎 | 559万9,900円 |
| 40位 | 兵庫 | 550万2,300円 |
| 41位 | 沖縄 | 547万6,300円 |
| 42位 | 埼玉 | 546万7,300円 |
| 43位 | 福岡 | 540万1,200円 |
| 44位 | 島根 | 538万5,200円 |
| 45位 | 北海道 | 528万6,200円 |
| 46位 | 岡山 | 513万5,500円 |
| 47位 | 宮崎 | 510万9,900円 |
| 全国 | 599万3,200円 | |
※年収は同調査における「きまって支給する現金給与額」×12カ月+「年間賞与その他特別給与額」で算出
参考:賃金構造基本統計調査 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別 表番号3|政府統計の総合窓口 e-Stat
最も平均年収が高いのは熊本県の761万8,400円、最も低いのが宮崎県の510万9,900円で、その差は約250万円となっています。
一般的に人材不足の地域は平均年収が高くなる傾向にあります。一方で、20代・30代薬剤師の割合が高い地域は経験年数が比較的浅い薬剤師が多いため、平均年収が低くなるでしょう。このように、地域の年収差には、さまざまな要因が重なっていると考えられます。
4.50代の薬剤師の年収アップに向けたポイント
年収アップを目指すために、現職に残るか転職するか悩む人もいるかもしれません。ここでは、50代の薬剤師が年収アップを実現するためのポイントについて解説します。
4-1.定年に向けてさらに上の役職を目指す
現職で管理薬剤師や薬局長として働いている薬剤師は、さらに上の役職を目指すことで年収アップが期待できます。
エリアマネジャーなどの役職を経験できるチャンスがあれば、積極的にアピールしましょう。常務取締役、専務取締役、代表取締役社長といった役職を目指すなら、医療の知識に加えマネジメントについて学ぶことも大切です。
また、経営者としての知識を身に付けたり、役職のある人とつながりを持ったりするなど、前向きに行動することでチャンスが広がります。
4-2.転職して年収アップを目指す
薬剤師に限らず、50代になってからの転職は、若年層に比べて難しい傾向にあります。しかし、50代の薬剤師は豊富な経験や知識、スキルを持っているという強みもあります。今までの経験を武器に、今以上の役職を目指した転職を検討するという選択肢もあるでしょう。
転職での年収アップを叶えるためには、今までの経歴を棚卸しして、自身の強みを把握することが大切です。専門薬剤師や認定薬剤師の資格、または独自のスキルや経験があれば、その専門性をアピールしましょう。
5.50代の薬剤師が「納得できる年収」を得るための考え方とは?
50代薬剤師にとって、年収の満足度は金額の多寡だけでなく、働き方とも密接に関わってくるでしょう。ここでは、50代の薬剤師にとっての「納得できる年収」のポイントについて見ていきましょう。
5-1.役職定年後のやりがいとのバランス
役職定年がある職場では、役職を退いた後に今まで部下だった人が上司になったり、役職手当がなくなることで年収が下がったりします。長年、責任のある仕事を任されていた人は、年齢を理由に役職を降りることに不満を感じることもあるでしょう。また、立場や収入が変わることで、仕事に対するモチベーションが保てなくなる人もいるかもしれません。
しかし、重要な役職を経験した後に、離れることで見えてくる景色もあります。職場の最前線は若手に譲ってサポートに回ったり、若手管理職の育成に注力したりして新たなやりがいが生まれることもあるのではないでしょうか。これまでの経験を生かして新たな貢献の道を見つけられれば、年収が下がっても満足度は向上するかもしれません。
5-2.長く働き続けられる環境は貴重
「定年後も働きたい」と考えている薬剤師にとって、再雇用制度を定めている職場や定年がない職場で働き続けられることは大きな魅力ではないでしょうか。
「人生100年時代」といわれるこれからの時代、60代、70代もこれまでのキャリアを生かして働き続けることができる環境は貴重です。将来的に希望通りの働き方ができる環境であれば、年収が希望する水準に満たなくとも納得して働ける場合もあるのではないでしょうか。
6.50代の薬剤師が納得できる年収を目指すために
50代の薬剤師は、さまざまな知識・経験・スキルを持った貴重な存在といえます。自身の強みを活用しながら、現職でのキャリアアップや転職によって年収アップを目指しましょう。ただし、働き続けることに心身の負担を感じるなら、収入よりも優先すべき条件があるかもしれません。50代だけでなく、60代、70代にどのような生き方をしていきたいかを考えながら、納得のできる働き方を目指すことが大切です。
🔽 年代ごとの薬剤師の平均年収について紹介した記事はこちら
🔽 50代の薬剤師の転職について解説した記事はこちら

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。
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