薬剤師のスキルアップ 公開日:2026.07.14 薬剤師のスキルアップ

かかりつけ薬剤師フォローアップ加算とは?2026年度調剤報酬改定のポイントも解説

文:篠原奨規(薬剤師)

2026年度調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師に関する評価体系が大きく見直されました。中でも注目したいのが、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算の新設です。かかりつけ薬剤師による服薬フォローアップ業務が、新たに服薬管理指導料の加算として評価されることとなりました。本記事では、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算の概要や算定要件を分かりやすく整理しました。かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の廃止やかかりつけ薬剤師訪問加算の新設など、2026年度改定におけるかかりつけ薬剤師関連の主な変更点も合わせて確認していきましょう。

 

※本記事の内容は、初出時の情報をもとにしたものです。2026(令和8)年度診療報酬改定に関する最新情報は、厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定について」などから確認してください。

1.かかりつけ薬剤師フォローアップ加算とは?

かかりつけ薬剤師フォローアップ加算とは、2026年度調剤報酬改定で新設された服薬管理指導料の加算です。かかりつけ薬剤師が、調剤後から次回の処方箋持参までの期間に服薬フォローアップを行った場合に算定できます。
 
従来は、かかりつけ薬剤師に対する評価として「かかりつけ薬剤師指導料」「かかりつけ薬剤師包括管理料」が設けられていました。しかし、かかりつけ薬剤師指導料の算定回数、同意取得件数などについて業務ノルマを設ける薬局が多かったことや、患者さんが来局の度にかかりつけ薬剤師の同意を求められるケースも発生していたことを踏まえ、患者さんの意思によってかかりつけ薬剤師を選択できるようにしていくため、評価体系の見直しが行われました。
 
2026年度調剤報酬改定により、かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料は廃止となり、かかりつけ薬剤師としての立場そのものではなく、患者さんへの具体的な薬学的介入に対して点数が付く仕組みとなっています。
 
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省
参考:調剤について(その2)|厚生労働省

 

 

1-1.服薬フォローアップとは?

服薬フォローアップとは、服薬期間中に患者さんの服薬状況や体調の変化などを把握し、必要な情報提供や指導を行う業務です。
 
2019年に公布された改正薬剤師法および薬機法により、2020年9月から薬剤師の業務として義務付けられました。薬剤師法第25条の二第2項では「調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認めるときに、患者の使用状況を継続的かつ的確に把握し、必要な指導を行うこと」が薬剤師に求められています。
 
調剤時の指導だけでは、服薬期間中の状況を把握できないこともあるでしょう。薬剤師は服薬フォローアップを通じて、飲み忘れや副作用の発現、効果の有無といった情報を継続的に把握し、必要に応じて医師への情報提供や処方提案につなげることで、安全な薬物療法を支える役割を担っています。
 
参考:「薬剤使用期間中の患者フォローアップの手引き」について|日本薬剤師会
参考:薬剤師及び薬局に関する改正薬機法の施行状況及び最近の状況|厚生労働省

 

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2.かかりつけ薬剤師フォローアップ加算の点数

かかりつけ薬剤師フォローアップ加算の点数は50点、算定上限は3月に1回です。
 
電話などを用いて継続的な確認を行った上で、次回の処方箋受付時に、服薬管理指導料に上乗せして算定します。算定タイミングはフォローアップを実施した日ではなく、その後の処方箋受付日である点がポイントです。
 
なお、再度処方箋を受け付けた際にかかりつけ薬剤師が不在で、他の薬剤師が対応した場合でも、本加算は算定できます。その際は、服薬管理指導料1のロまたは2のロに上乗せします。ただし、電話などによりフォローアップを行った旨や実施した日時、聞き取りや指導の内容に加えて、対応したかかりつけ薬剤師の氏名を薬剤服用歴に記載する必要があります。
 
参考:調剤報酬点数表|厚生労働省
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省
参考:疑義解釈資料の送付について(その2)|厚生労働省

3.かかりつけ薬剤師フォローアップ加算の算定要件

かかりつけ薬剤師フォローアップ加算は、前回の調剤後から次回の処方箋持参までの間に電話等で服薬状況や残薬の有無などを継続的に把握し、必要な指導を行うことで算定できます。
 
「前回の調剤後から次回の処方箋持参までの間」には、調剤した当日と次回の処方箋持参当日は含まれません。患者さんやその家族からの求めがあった場合、またはかかりつけ薬剤師が必要と判断した場合に、かかりつけ薬剤師が服薬フォローアップを行ったケースが対象です。
 
実施にあたって、フォローアップで行う聞き取りや指導の内容、加算によって発生する自己負担額を説明し、同意を得る必要があります。フォローアップ実施後は、日時と聞き取り・指導の内容を薬剤服用歴に記載します。
 
速やかに医療機関へ伝えるべき情報を得た場合は、医療機関へ情報提供するとともに、必要に応じて受診勧奨を行わなければなりません。また、フォローアップを行っても問題が解消しない場合、同じ対応を繰り返すだけでは不十分です。解消されなかった理由や背景を検証し、改善策を講じたうえで、その内容を薬剤服用歴に記載する必要があります。
 
服薬フォローアップのタイミングとしては、受診間隔を踏まえ、薬学的に適切と考えられる時期に実施することが求められます。

 

3-1.かかりつけ薬剤師フォローアップ加算の対象患者

対象となるのは、次のいずれにも該当する患者さんです。

 

● 服薬管理指導料1のイまたは2のイを算定していること
● 直近6月以内に、外来服薬支援料1、服用薬剤調整支援料1または2、調剤管理料の調剤時残薬調整加算または薬学的有害事象等防止加算のいずれかを算定していること

 

ただし、本加算に係る業務を行ったことで、フォローアップが必要となっていた残薬などの問題がすでに解消されている場合は対象外となります。

 

3-2.服薬フォローアップの手段

フォローアップの手段として、電話の他に情報通信機器も活用できます
 
ただし、患者さんに対して一方的に情報を発信するだけでは、継続的な服薬指導とは認められません。同じ内容の電子メールを一斉送信したり、画一的な通知を送ったりする方法では要件を満たさない扱いです。
 
アプリケーション上で患者さんが定型的な設問にチェックや回答を入力するだけの形式も、服薬状況や副作用の有無などに関して患者さんごとの確認や指導を伴わなければ算定対象外となります。
 
要件を満たすには、患者さんの状況に応じて双方向のやり取りを行い、状況確認と適切な指導を行うことが欠かせません。

 

3-3.かかりつけ薬剤師フォローアップ加算を算定できないケース

同月に次の項目を算定している患者さんに対して、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算は算定できません。

 

● 調剤後薬剤管理指導料
● 在宅患者訪問薬剤管理指導料
● 居宅療養管理指導費(介護報酬)のハ
● 介護予防居宅療養管理指導費(介護報酬)のハ

 

また、同一の患者さんに対して複数の薬局が服薬管理指導料1のイまたは2のイを算定していた場合、いずれの薬局も本加算を算定できません
 
なお、特別調剤基本料Bを算定している薬局も算定対象外となります。
 
参考:調剤報酬点数表|厚生労働省
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省

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4.2026年度調剤報酬改定におけるかかりつけ薬剤師関連の変更点

かかりつけ薬剤師フォローアップ加算の新設以外にも、2026年度の調剤報酬改定では、かかりつけ薬剤師に関する変更点があります。主な変更点は、次のとおりです。

 

● かかりつけ薬剤師の要件の変更
● かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の廃止
● かかりつけ薬剤師訪問加算の新設
● 服用薬剤調整支援料2の見直し

 

それぞれの変更点について、解説します。

 

4-1.かかりつけ薬剤師の要件の変更

かかりつけ薬剤師になるための要件のうち、薬剤師個人の基準は一部緩和される一方で、薬局の施設基準が新たに追加されました。
 
個人の要件では、在籍期間が1年以上から6カ月以上へ、勤務時間が週32時間以上から週31時間以上へと引き下げられます。保険薬剤師経験3年以上、研修認定の取得、地域活動への参画といった要件はこれまで通りです。薬局の施設基準には、勤務薬剤師の平均在籍期間が1年以上、または管理薬剤師の継続勤務が3年以上のいずれかを満たすことが新たに加わりました。
 
さらに、かかりつけ薬剤師の同意取得の方法も変更されています。従来は、かかりつけ薬剤師の業務内容や役割などを患者さんに説明した上で、同意書を取り交わす流れでした。改定後は、お薬手帳に担当薬剤師がかかりつけである旨を記載した上で、そのコピーを薬局に保管する対応に変わっています。
 
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省

 

4-2.かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の廃止

2026年度の調剤報酬改定により、かかりつけ薬剤師指導料(76点)とかかりつけ薬剤師包括管理料(291点)が廃止され、服薬管理指導料へ統合されました。
 
廃止の背景には、服薬管理指導料よりも高い点数が設定されていたことで、薬剤師側から患者さんへ同意を打診するケースが目立ち、患者さんが信頼できる薬剤師を選ぶという本来の形にはつながりにくくなっていたことがあります。
 
合わせて、かかりつけ薬剤師指導料の創設前からかかりつけ薬局として対応を続けてきた薬局では、患者さんへの追加負担を避けるために算定を控えてきたという意見も挙がっていました。
 
統合にあたって、服薬管理指導料1と2のそれぞれに新しい区分(イ・ロ)が設けられています。イがかかりつけ薬剤師が行った場合、ロがイ以外の場合です。1のイ・1のロが45点、2のイ・2のロが59点となっており、かかりつけ薬剤師が対応した場合とそれ以外の薬剤師が対応した場合のいずれにおいても、同じ点数が設定されています。
 
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省
参考:調剤について(その2)|厚生労働省

 

 

4-3.かかりつけ薬剤師訪問加算の新設

2026年度の改定では、かかりつけ薬剤師の取り組みを評価する加算として、かかりつけ薬剤師訪問加算が新設されました。患者さんやその家族からの求めに応じて自宅を訪問し、残薬整理や服薬管理を行った上で、その結果を医療機関へ情報提供した場合に算定できます。
 
点数は230点、算定上限は6月に1回です。対象となるのは、服薬管理指導料1のイまたは2のイを算定する患者さんです。
 
ただし、次の項目を算定している患者さんには算定できません。

 

● 外来服薬支援料1
● 施設連携加算
● 在宅患者訪問薬剤管理指導料
● 服薬情報等提供料
● 居宅療養管理指導費(介護報酬)のハ
● 介護予防居宅療養管理指導費(介護報酬)のハ

 

参考:調剤報酬点数表|厚生労働省
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省

 

4-4.服用薬剤調整支援料2の見直し

2026年度の調剤報酬改定において、服用薬剤調整支援料2は、かかりつけ薬剤師の関与を前提とした評価へ見直されました
 
患者さんの服用している薬剤を継続的かつ一元的に把握し、調整が必要と判断した上で、処方医に対して文書で薬剤調整を提案した場合に算定が可能です。算定にあたって、服用薬剤の状況などを総合的に管理・評価するための研修を修了している必要があります。
 
点数は1,000点へ引き上げられ、算定上限は同一の患者さんにつき6月に1回、かかりつけ薬剤師1人につき月4回までになります。なお、算定が可能になるのは2027年6月1日からです。
 
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省

5.かかりつけ薬剤師フォローアップ加算について理解を深めよう

かかりつけ薬剤師フォローアップ加算とは、2026年度調剤報酬改定で新設された服薬管理指導料の加算です。かかりつけ薬剤師が、調剤後から次回の処方箋持参までの期間に服薬フォローアップを行った場合に算定できます。点数は50点、算定上限は3月に1回です。
 
また、2026年度の改定では、かかりつけ薬剤師の要件の変更やかかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の廃止、かかりつけ薬剤師訪問加算の新設、服用薬剤調整支援料2の見直しといった変更点もあります。算定要件や対象となる患者さん、算定できないケースなどについて、正しく理解しておきましょう。

患者さんへの対応から
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執筆/篠原奨規

2児の父。調剤併設型ドラッグストアで勤務する現役薬剤師。薬剤師歴8年目。面薬局での勤務が長く、幅広い診療科の経験を積む。新入社員のOJT、若手社員への研修、社内薬剤師向けの勉強会にも携わる。音楽鑑賞が趣味で、月1でライブハウスに足を運ぶ。