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【熊本地震】医薬品供給網の一部に影響 ~ 被害56薬局、全貌なお不明

薬+読 編集部からのコメント

7月28日夕方に熊本地方を襲ったマグニチュード7.1の地震により、熊本県内では商業施設の爆発や製紙工場の煙突崩壊、高速道路の隆起など甚大な被害が出ており、医薬品業界関連でも薬局、医薬品卸、ドラッグストアなどに被害が広がっています。

熊本県熊本地方で28日夕方にマグニチュード7.1の地震が発生し、熊本県宇城市と氷川町で震度7の激しい揺れを観測した。県内では商業施設の爆発や製紙工場の煙突崩壊、高速道路の隆起など甚大な被害が出ており、医薬品業界関連でも薬局、医薬品卸、ドラッグストアなどに被害が広がっている。熊本県の災害対策本部会議が29日13時時点で把握した薬局の被害は56施設だが、被害の全容はなお明らかになっていない。

 

県薬務課によると、被害は熊本市を含む県内各地の薬局に及んでいる。ただ、被害の程度は様々で、被災しながらも営業を継続している薬局もある。一方、熊本県薬剤師会は、発災直後に災害対策本部を設置した。会員薬局向けの被災状況報告システムを通じて、約800の会員薬局のうち500軒超から回答が寄せられ、そのうち38薬局が被害を報告し、44薬局が調査中となっている。

 

特に震源地に近い八代市や宇城市では回答率が低く、「被災している薬局ほど連絡が取れていない可能性がある」として、被害件数はさらに増えるとの見方を示している。

 

現場では断水や建物被害が深刻化している。八代地域を中心に断水が続くほか、壁の損壊やシャッターの故障、薬品棚の転倒、医薬品の散乱などが相次ぐ。薬剤の片付けや施設点検に追われ、営業再開のメドが立たない薬局も少なくないようだ。

 

県と県薬は医療支援体制の確保にも動いている。県薬はモバイルファーマシーの出動準備を進めているが、29日時点で県からの正式な出動要請は出ていない。県薬務課も「まずは医療側の動きに合わせて対応していく」と説明している。

 

ドラッグストア業界への影響も広がっている。天井の剥落や商品棚(ゴンドラ)の倒壊など、大規模な被害が発生している店舗もある模様だ。九州を拠点に全国展開する大手ドラッグストアチェーンのコスモス薬品は、県内で展開する120店舗のうち17店舗で当面の営業再開が困難となっていると公表。ドラッグイレブンでも2店舗を臨時休業するなど、営業への影響が拡大している。

 

さらに、物流センターの被災や道路の損壊によって商品の受け入れ・配送能力が低下し、医薬品や生活関連物資の供給網にも支障が出ている。流通関係者は、「サプライチェーンが分断されている状況だ」と指摘しており、復旧には相応の時間を要するとの見方を示している。

 

今後は猛暑下での避難生活による二次的な健康被害への懸念も高まっている。29日9時現在、県下に465カ所の避難所が開設され、9872人が避難。県災害対策本部会議でも避難所の暑さ対策が議論されており、被災地域における医療提供体制と医薬品供給網の維持が重要な課題となっている。

 

厚生労働省は28日18時20分に厚生労働大臣をヘッドとした災害対策本部を設置した。同日には事務連絡を発出し、関係団体に対して医療機関等に対する医薬品、医療機器等の供給や適正な流通に向けて万全の措置を講じるよう協力を呼びかけた。

 

 配送ルートの混乱懸念も

また、医薬品卸各社によると、29日までに医薬品流通への影響は、大手卸の物流センターの供給機能には概ね大きな被害はないが、幹線道路などで通行止めが発生している影響で医療機関・薬局への配送に時間を要するなどの影響が出ているところもある。日本医薬品卸売業連合会は29日に災害対策本部を設置し、被害状況、配送状況、必要な支援について確認を進めていると発表した。

 

熊本県が地元の富田薬品は、八代物流センター(八代市)では従業員にけが人は出なかったが、商品が散乱し、復旧作業を優先する。医療機関向けの供給には時間を要しながら継続しているという。

 

九州などをエリアとするアステムなどを傘下に置くフォレストホールディングスは29日、「災害対策本部を立ち上げ、対策を検討、実施している」と回答したが、「詳細を答えられる余裕がない状況」という。

 

メディパルHDの29日9時時点の回答によると、九州・沖縄をエリアとするアトルでは、八代人吉支店(八代事業所)で停電が発生したが、自家発電装置で対応。他の拠点では大きな人的、物的な被害はなく、医薬品供給に支障はないという。アトルは28日の地震発生直後に災害対策本部を設置し、対応に当たっている。

 

アルフレッサHDは28日18時時点で「事業継続に影響は出ておらず、安定供給に支障はない」と回答。アルフレッサ熊本支店(熊本市東区)で一部商品の落下、一時停電、断水もあったが復旧。

 

一般用医薬品などヘルスケア製品を扱うアルフレッサヘルスケアの九州物流センター(上益城郡御船町)の被害状況は確認中だが、29日には関西物流センター(大阪府)、松山配送センター(愛媛県)からも出荷して支援していく方向で体制を組んでいる。ただ、道路の通行止めにより今後の配送への影響を懸念している。

 

東邦HDは29日8時時点で対象エリアの全従業員の安否を確認、営業・物流拠点、薬局店舗への影響はないと回答した。九州東邦の物流センター「TBC九州」(荒尾市)では一部商品が落下、良品と不良品を選別して陳列し、28日中には出荷準備を完了した。八代人吉営業所(八代市)エリア付近での道路の通行止めで九州東邦本社、他の営業部と連携し、迂回ルートの検討、減便などを検討している。28日に地震発生直後に東邦HDに対策本部を設置し、対応に当たっている。

 

スズケンは29日14時までの対応によると、グループ社員全員の無事を確認、九州をエリアとする翔薬の八代支店(八代市)で停電・断水が続いているが、翔薬の熊本、鹿児島、長崎の5支店、福岡物流センターにて商品落下等が発生したものの「事業継続に影響ない程度に復旧ができている」という。

 

各物流センターからの商品補充については「全支店に着荷できる予定であり、平常通りの医薬品供給が可能となっている。納品については、道路状況やお得意様の受け入れ体制など異なる状況に応じ対応している」と回答した。

 

一方、メーカーの三和化学研究所の熊本工場(宇土市)の建屋、設備への被害状況は調査中。スズケンとグループ各社は地震発生直後に災害対策本部を設置し、状況把握、支援物資や安定供給に関する対応を行っている。

 

メーカー関係では、熊本市に本社があるKMバイオロジクスは29日、「事業継続に支障を及ぼすような重大な事態は発生していない」と発表した。

 

日本製薬工業協会は29日時点で災害対策本部の設置には至っておらず、「情報収集をしている段階」とした。

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出典:薬事日報

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