医療

外国語対応で患者獲得へ ~ 都内で新型薬局続々参入

薬+読 編集部からのコメント

都内で外国人患者を新たな顧客層として取り込む薬局の開設が相次いでいます。国内の処方箋市場が伸び悩む中、中国語やベトナム語などに対応できる薬剤師やスタッフを配置し、外国人患者の言語障壁を解消し、新たな患者層の開拓につなげることが狙いです。

国内の処方箋市場が伸び悩む中、東京都内で外国人患者を新たな顧客層として取り込む薬局の開設が相次いでいる。中国語やベトナム語などに対応できる薬剤師やスタッフを配置し、外国人患者の医療上の言語障壁を解消すると共に、新たな患者層の開拓につなげる狙いだ。外国語対応を差別化要因とした新たな薬局モデルとして注目を集めている。

 

 処方箋減少で商機探る

6月の調剤報酬改定では、都市部に新規開設した薬局を対象に調剤基本料を引き下げる「門前薬局等立地依存減算」が導入されたが、外国人患者を幅広く集客できれば特定医療機関への依存度を下げながら処方箋を確保できる可能性がある。外国人需要を見据えた薬局展開への関心は高まっている。

 

錦糸町駅近くで6月に開局した錦糸町三和調剤薬局(東京都墨田区)は、その代表例だ。中国人女性で薬局開設者の潘賽一氏は2012年に来日し、製造業で国際営業に従事した後、薬局事業へ参入した。同薬局には管理薬剤師を含む4人の薬剤師が在籍し、うち2人が中国語に対応する。対応可能な薬剤師が不在の時間帯は潘氏自身が通訳を担う。

 

開設地として選んだのは、中国人住民が多く、民泊施設や観光客も多い錦糸町エリアだ。処方箋は中国人患者を多く診療するオンライン診療医療機関からの応需が中心となっている。開局間もないこともあり、現在の処方箋応需枚数は1日5~20枚程度だが、潘氏は将来的な需要拡大を見込む。

 

潘氏は「日本で暮らす中国人の中には、自分の症状や痛みを十分に伝えられない人が少なくない。そうした医療上の課題を解消していきたい」と話す。

 

外国人患者への対応では通訳アプリを活用する対応が増える中、管理薬剤師の伊藤誠人氏は人による外国語対応の重要性を強調する。「中国人の患者さんは表面的には『大丈夫です』と答えることが多い。実際に中国語で丁寧に話を聞くと薬を適切に服用できていなかったり、不安を抱えていたりすることが分かる」。人と人によるコミュニケーションで言語の壁を乗り越えれば、薬局の継続利用につながりやすい利点もある。

 

同薬局では地域密着型薬局としての機能強化も進めている。子供向けの調剤体験イベントには中国人、日本人双方の親子が参加し、地域住民との接点づくりを進める。墨田区薬剤師会への入会も検討中という。

 

今後は中国人住民をはじめとした外国人の居住者が多い地域で2店舗目の出店を計画する。潘氏は「外国人コミュニティへの情報発信を強化しながら展開を進めたい」と意欲を示す。

 

一方、東京都江戸川区では14日に東京調剤葛西薬局がオープンした。ドラッグストアや調剤薬局向けの外国人人材派遣事業を手がけるTHEパートナーズが運営し、外国語対応を強みに薬局事業へ参入した。

 

同薬局には薬剤師5人に加え、中国語、台湾語、ベトナム語、英語、ミャンマー語に対応可能な医療事務スタッフ7人が在籍。日本語でのコミュニケーションに不安を抱える外国人患者が安心して利用できる体制を整えた。

 

村上勝隆社長は「日本語である程度会話ができる方でも日本で病院を受診することに不安を感じるケースがある。母国語が通じる医療スタッフがいる医療機関や薬局を選びたいと思うのは自然なこと」と指摘する。

 

薬局経営を取り巻く環境が厳しさを増す中、村上氏は「待つだけの薬局ではなく、自ら患者を獲得する営業型薬局を目指したい」と語る。年間処方箋応需枚数2万枚を目標に掲げ、来年末までに2店舗目を開設するほか、3年後には5店舗体制の構築を目指す。

 

外国人居住者や訪日客の増加を背景に、外国語対応を差別化要因として打ち出す薬局は今後増える可能性がある。門前依存からの脱却や新たな患者層の開拓が求められる中、外国人患者を取り込む薬局モデルが浸透するか注目される。

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出典:薬事日報

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