医療

稲角薬事企画官「現場から薬剤師像提案を」 ~ へき地の医薬品提供課題 厚生労働省医薬局総務課

薬+読 編集部からのコメント

厚労省医薬局総務課の稲角薬事企画官が現場からの提案を踏まえ、今後の制度や政策を検討していく考えを述べました。医薬品アクセスが十分でない地域への対応を重要課題に挙げ、オンライン技術やAIなどを活用した医薬品提供体制の整備を進める方針です。

厚生労働省医薬局総務課の稲角嘉彦薬事企画官(写真㊧)は、就任に当たって本紙の取材に応じ、薬局・薬剤師のあり方について「将来に向けて新たな薬剤師像を示すのは一つのアイデア。国が将来像を示して引っ張るのではなく、まずは現場の皆さんの話を聞いてみたい」と抱負を述べた。現場からの提案を踏まえて、今後の制度や政策を検討していく考えだ。また、へき地や離島など医薬品アクセスが十分でない地域への対応を重要課題に挙げ、オンライン技術やAIなどを活用した医薬品提供体制の整備を進める方針を示した。

稲角氏は、2015年に策定された「患者のための薬局ビジョン」から10年以上が経過したにも関わらず、依然として処方箋集中率の高い、いわゆる門前薬局が多い現状に言及。日本保険薬局協会(NPhA)から「ビジョンを十分に総括できていない」との指摘が出ていることに対し、「掲げた姿に向けて進んでおり、現在も途上にあるとの認識だ」と説明。「ビジョンを変えることは考えていない」と述べ、基本的な方向性を維持する考えを示した。

 

その上で、「AI活用など策定当時と比べて薬局・薬剤師を取り巻く環境は大きく変化している」と指摘。「将来に向けて新たな薬剤師像を示すことは一つのアイデア。現場がどう考えているのかをまず聞いてみたい」と述べ、行政主導ではなく現場との対話を重視する姿勢を強調している。

 

薬局・薬剤師の供給過多や都市部集中が指摘される中での課題認識については、「外来中心だった医療需要は在宅へシフトしていく。それを支える医療職として薬剤師の役割はさらに重要になる」と説明。「都市部に薬局が多いこと以上に、へき地や離島の医療提供体制をしっかり整備しなければ、薬剤師は信頼されない」と話す。

 

今後に向けては、「薬を届けられていない地域には様々なツールや制度を活用し、需要側の希望に柔軟に応えていくことが必要だ」と指摘。全国どこでも必要な医薬品を届けられる体制の構築が重要との考えを示している。

 

調剤の機械化・自動化やオンライン技術、AIを活用した医薬品提供体制については、「これまでは規制改革の文脈で語られることが多かったが、へき地医療や医薬品提供の観点から必要になるケースはある」と説明。「制度をうまく活用しながら、医薬品を必要とする人たちの希望に応えていくことが重要」と述べ、柔軟な制度設計を検討する考えを示した。

 

27年度予算概算要求に盛り込んだ「薬局機能高度化推進事業」では、薬局におけるAI導入効果の検証や横展開を拡充する方針で、稲角氏は「薬局での生成AI活用の具体像がまだ見えていない。まずは予算を要求し、実態を調査した上で考えていきたい」と話している。

 

一方、薬剤師の地域・業態偏在や病院薬剤師不足、創薬人材の育成を見据え、「薬剤師のキャリアパスに関する懇談会」を立ち上げた。「臨床、研究、薬局、病院など様々な専門性について、こんな道があると示せるような整理にしたい」と話す。薬剤師の卒後臨床研修の制度化については、「受け入れのキャパシティを考えると現段階では難しい」との考えを示しつつ、「体制整備は支援していきたい」と語った。

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出典:薬事日報

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