薬剤師会

“いつでも連絡が取れてすぐ戻れる”など想定‐薬剤師不在時の一般薬販売で対応案示す

薬+読 編集部からのコメント

2017年3月30日、厚生労働省は薬剤師不在時の一般用医薬品の販売規制見直しに向けた対応案を示しました。在宅対応など、薬剤師が業務の一部を薬局外で行っている場合に限っては、いくつかの要件を満たせば登録販売者が第2類・第3類医薬品を販売することを認めるものです。これに対し、日本薬剤師会の乾英夫副会長は「まさか薬剤師がいなくてもいいという対応案が出るとは思わず、非常に遺憾だ」と述べています。

厚生労働省は3月30日、厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会に、薬剤師不在時の一般用医薬品の販売規制見直しに向けた対応案を示した。在宅対応など、薬局業務の一部を薬局外で行っている場合に限り、「いつでも連絡が取れてすぐ戻れる」「調剤を求める患者が困らない」などの要件を満たせば、薬局を閉めなくても登録販売者が第2類・第3類医薬品を販売することを認める。


 

規制の見直しは、昨年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」に盛り込まれていたもので、「2016年度検討・結論」「17年度上半期措置」とのスケジュールが示されていた。

 

3月13日には厚労省が関係者からヒアリングを実施。日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)を除く全ての参加者が、規制緩和に反対の姿勢を示していた。

 

ただ、既に会議側が「一定の条件下で薬剤師不在時にも登録販売者が第2類・第3類薬を販売できるようにする」との見直しの方向性を示していたことから、厚労省は薬剤師不在時の一般薬販売の対応案として、▽薬剤師が「実地に管理」していると見なせる状況(いつでも連絡が取れてすぐ戻れる)にあること▽調剤等の機能に係る区域を閉鎖すること▽調剤等を求める患者が困ることがないようにすること――を提示した。

 

具体的には、「在宅対応など、当該薬局の業務の一部を外で行っている場合に限定」し、三つの要件を満たした場合には、「薬剤師不在時にも薬局を閉局することなく、登録販売者による第2類、第3類薬の販売を認めてはどうか」とした。厚労省は今後、この考え方を踏まえ、より具体的な要件を示すと共に、今年9月までに「必要な省令改正などを実施」する予定。

 

日本薬剤師会の乾英夫副会長は、「まさか薬剤師がいなくてもいいという対応案が出るとは思わず、非常に遺憾だ」と述べた上で、想定されるケースについては「限定的にしてもらいたい」と訴えた。具体的には、「薬剤師一人でやむを得ず、緊急的に訪問する」場合に限定し、「それが常態化することはあり得ない。拡大解釈されないよう厳格な運営」を求めた。

医薬分業のKPI提示

 

この日の部会で厚労省は、医薬分業の質を評価するための指標(KPI)を示した。

 

厚労省は、▽患者の服薬情報の一元的・継続的把握のために、電子版お薬手帳や電子薬歴システムなど、ICTを導入している薬局数▽在宅業務を過去1年間に平均月1回以上実施した薬局数▽健康サポート薬局研修を修了した薬剤師を配置しており、その薬剤師が地域ケア会議等、地域の医療・介護関係の他職種と連携する会議に出席している薬局数(少なくとも過去1年間に1回)▽医師に対して患者の服薬情報を示す文書を過去1年間に平均月1回提供した実績がある薬局数――の四つについて、毎年全国集計し、KPIとして把握することを提案。数値目標として、「全項目が前年度に比べ増加」することを掲げた。

 

また厚労省は、都道府県がインターネットなどで薬局の機能に関する情報を公表している「薬局機能情報提供制度」に追加する項目案も提示。健康サポート薬局の研修を修了した薬剤師の人数や地域医療機関との連携体制への参加の有無と参加した活動の名称、退院時カンファレンスへの参加体制の有無などを挙げた。

 

委員からは、KPIに盛り込まれることが想定されていた「プレアボイド」などが落ちている点を指摘する声や、電子版お薬手帳を導入しただけで「服薬情報を一元管理したことになるのか」といった意見も出たが、厚労省は、「客観的かつ継続的に把握できる項目」としたことや、「薬局が最低限やらなければならないもののうち、数値で表すことができるもの」であることを説明し、理解を求めた。

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出典:薬事日報

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