薬剤師会

「カスハラで調剤拒否可能に」 ~ 患者との信頼関係喪失で 厚生労働省

薬+読 編集部からのコメント

患者の暴力・威嚇行為や暴言、人格否定などのカスハラ行為により薬剤師と患者との信頼関係が失われた場合、薬剤師は調剤の求めを拒否できるとの考え方が厚労省の通知(7月8日付)で提示されました。

厚生労働省は8日付の通知で、患者の暴力・威嚇行為や暴言、人格否定などのカスタマーハラスメントにより薬剤師と患者との信頼関係が失われた場合、薬剤師は調剤の求めを拒否できるとの考え方を示した。薬局薬剤師の約7割がカスハラ被害を経験している実態が明らかになる中、薬剤師法第21条に規定する「調剤応需義務」との関係を初めて体系的に整理した。

 

今回の通知は、2025年度厚生労働科学研究の成果を踏まえたもので、調剤応需義務について「正当な理由」がある場合に調剤の求めを拒否できる考え方を示した。

 

通知では、調剤応需義務について「薬剤師が国に対して負担する公法上の義務であり、患者に対する私法上の義務ではない」と明記。カスハラ行為によって薬剤師と患者との信頼関係が失われた場合には、調剤の求めを拒否することを正当化できるとした。

 

正当な理由の有無は、個々の事例ごとに総合的に判断するとした。患者の病状など緊急対応の必要性や調剤を求められた時間帯、患者と薬局・薬剤師との信頼関係などを踏まえ、拒否が不当でない事情があるか判断する。

 

患者との信頼関係については、まず労働施策総合推進法に規定されるカスハラの要件に照らして該当性を判断し、その行為によって調剤の基礎となる信頼関係が失われているかを検討する必要があるとした。

 

薬局におけるカスハラに起因する拒否事由としては、▽暴力・威嚇行為▽暴言・人格否定▽執拗な謝罪要求や長時間拘束▽揚げ足取りや不当な追及――などを例示。患者の執拗な言動や威圧的な態度により薬剤師の集中力が損なわれ、調剤ミスを誘発する恐れがある場合や、薬局内で騒ぐなどして他の患者のプライバシーや安全、静穏な環境を害する場合も正当な拒否事由になり得るとした。

 

一方、調剤内容や接遇に関する合理的な指摘や説明要求、改善を求める意見など患者側の要求内容が正当な場合は「拒否の理由にならない」と明記した。

 

また、カスハラ以外に調剤の求めを拒否できる場合として、▽病気や近親者の不幸、冠婚葬祭などで薬剤師が不在の場合▽疑義照会が必要にも関わらず処方医に連絡が取れない場合――などを例示。処方箋に記載された医薬品を薬局に備蓄していないことだけを理由に、調剤を拒否することは認められないとした。

 

調剤応需義務をめぐっては、これまで薬局業務運営ガイドラインなどで解釈が示されてきたが、主に災害や事故で物理的に調剤が不可能な場合や、医薬品の調達に時間を要する場合が対象だった。

 

24年に東京都薬剤師会が実施した会員アンケートでは、業務中にカスハラを受けた経験があると回答した薬局薬剤師が約7割に上った。日本薬剤師会や日本保険薬局協会などは、調剤応需義務に関する考え方の明確化を国に求めており、今回現場の要望を踏まえ、患者の言動による信頼関係の喪失も正当な拒否事由となり得ることを明確化した。

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出典:薬事日報

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