リフィル処方箋とは、2022年度診療報酬改定により導入された新しい制度で、一定期間内であれば同じ処方箋を繰り返し利用できる仕組みです。症状が安定している患者さんを対象としており、通院負担の軽減や医療費削減が期待されています。本記事では、リフィル処方箋の概要や長期処方・分割調剤との違いについて解説するとともに、メリット・デメリットやリフィル処方箋での薬のもらい方、対象外となる薬剤、調剤時のポイントについてお伝えします。

- 1.リフィル処方箋とは?
- 1-1.リフィル処方箋と長期処方の違い
- -2.リフィル処方箋と分割調剤との違い
- 2.リフィル処方箋のメリット
- 2-1.通院負担の軽減
- 2-2.より丁寧な服薬管理の実現
- 2-3.医療費の削減
- 2-4.医師の負担軽減
- 3.リフィル処方箋のデメリット
- 3-1.状態変化に気が付きにくい
- 3-2.リフィル処方箋の管理と制度上の制約
- 3-3.医療機関の収入減と転売リスク
- 3-4.薬剤師によるフォロー体制の強化が必要
- 4.リフィル処方箋での薬のもらい方
- 5.リフィル処方箋の対象外となる薬剤
- 6.薬剤師がリフィル処方箋による調剤を行うときのポイント
- 6-1.リフィル処方箋への記載事項の書き方
- 6-2.トレーシングレポートの書き方
- 6-3.患者さんへの説明・確認事項
- 6-4.レセプトの入力方法
- 7.リフィル処方箋の理解を深めよう
1.リフィル処方箋とは?
リフィル処方箋とは、医師が指定した一定の期間であれば、最大3回まで繰り返し使用できる処方箋を指します。症状が安定していることを前提として、期間中は医師の診察を受けずに処方薬を購入できるシステムです。
日本では2022年度診療報酬改定により、リフィル処方箋が導入されました。リフィル処方箋を利用できる人は、「薬剤師による服薬管理の下、一定期間内に処方箋の反復利用が可能」と医師が判断した「症状が安定している患者さん」です。有効期限や投薬期間など、いくつかのルールが設けられています。
参考:「リフィル処方箋」を知っていますか?1度の診察で最大3回まで薬の処方を受けられます!|政府広報オンライン
リフィル処方箋の利用状況については、デジタル庁のホームページで確認できます。
| 全国の 医療機関数 |
リフィル処方箋を発行した 医療機関数 |
割合 |
|---|---|---|
| 9万8,657 | 9,361 | 9.5% |
| 全処方箋の 発行件数 |
リフィル処方箋の 発行件数 |
割合 |
|---|---|---|
| 8億3,388万7,536 | 45万1,867 | 0.05% |
※いずれも2024年3月末時点の数値
参考:リフィル処方箋の認知率や利用状況に関するダッシュボード|デジタル庁
上記のデータから、約10%の医療機関はリフィル処方箋を発行していますが、発行件数はわずか0.05%にとどまっていることが分かります。制度としては導入されているものの、リフィル処方箋を利用可能な状況が限定されることもあり、広く普及している状況とはいえないでしょう。
1-1.リフィル処方箋と長期処方の違い
リフィル処方箋と混同されやすいのが長期処方です。これらは似ているようで、制度上の位置付けや運用方法が異なります。
リフィル処方箋は、患者さんが薬局に繰り返し持参することで診察なしに調剤を受けられます。一方、長期処方は一度の診察で長期間分の薬をまとめて処方する方法であり、薬局での再調剤ができません。
例えば、合わせて90日分の薬をもらうケースにおいて、リフィル処方箋は30日分の処方を3回調剤してもらうのに対して、長期処方は一度の調剤で90日分をもらいます。つまり、リフィル処方箋は「同じ処方を繰り返し受け取れる」制度であるのに対し、長期処方は「長期間分の薬を一度に処方されていること」を指しています。
リフィル処方箋と長期処方は、患者さんの通院や医師の業務における負担軽減が期待されますが、長期処方は医師だけでなく薬剤師も長期間介入しないため、対象疾患や安全性の点から使い分けることが求められています。
1-2.リフィル処方箋と分割調剤との違い
分割調剤もリフィル処方箋と混同されやすいものとして挙げられるでしょう。分割調剤は、使用期限が短く長期保存が難しい薬剤や、ジェネリック医薬品の使用に不安を抱く患者さんに対してお試し期間を設けるために利用するものです。
リフィル処方箋は対象となる患者さんの処方箋に医師がリフィル可のチェックを入れることで、利用条件内であれば通常の処方箋とほぼ同じように扱うことができます。
🔽 分割調剤について解説した記事はこちら
2.リフィル処方箋のメリット
リフィル処方箋は、通院回数の削減による負担軽減だけでなく、医師の診療効率向上や薬剤師による継続的な服薬管理の強化など、患者さんが安心・安全な薬物治療を受ける上で多くのメリットをもたらします。
医療費の適正化にもつながることから、持続可能な医療制度を支える取り組みとしても注目されています。ここでは、リフィル処方箋がもたらす主なメリットについてお伝えします。
2-1.通院負担の軽減
リフィル処方箋は、症状が安定している患者さんにとって大きな利点があります。従来は毎回診察を受けて処方箋を発行してもらう必要がありましたが、リフィル処方箋を利用すれば、一定期間に限り医療機関を受診せずにいつもの薬を受け取ることができます。
リフィル処方箋は繰り返し利用できるため、通院回数が減り、時間的・経済的な負担が軽減されるでしょう。患者さんのQOL(生活の質)向上にもつながります。
2-2.より丁寧な服薬管理の実現
リフィル処方箋は、薬局での再調剤時に薬剤師が服薬状況を確認できます。これにより服薬アドヒアランスの向上、副作用の早期発見、生活習慣改善のアドバイスなど、薬剤師による継続的で丁寧な服薬管理が可能になります。
例えば、今まで90日分で処方されていた薬剤が、リフィル処方箋によって30日分ずつの調剤に変わることで、定期的に薬剤師が体調や残薬をチェックできるようになります。長期処方よりも丁寧な服薬サポートができるため、安心・安全な薬物治療につながるでしょう。リフィル処方箋は定期的に薬剤師が介入するだけでなく、医療チーム全体での連携強化にもつながるため、安全性の向上や残薬の削減が望めます。
2-3.医療費の削減
リフィル処方箋によって通院回数が少なくなることは、診察料の抑制につながります。そのため、患者さんの自己負担軽減だけでなく、社会保障費全体の効率化も期待できるでしょう。
特に高齢化が進む日本では、医療費の増加が大きな課題となっており、リフィル処方箋の普及は持続可能な医療制度の実現に向けた有効な手段といえます。
2-4.医師の負担軽減
患者さんの診察回数が減ることで、医師は限られた診療時間をより必要性の高い患者さんに充てることができます。急性期や重症患者さんなどへの対応に集中できるため、診療効率の向上と医師の業務負担の軽減が期待されるでしょう。
時間にも余裕ができ、より丁寧な診察につながるだけでなく、医師不足に悩む医療機関にとってもメリットとなります。
3.リフィル処方箋のデメリット
リフィル処方箋には多くのメリットがある一方で、制度を安全かつ適切に活用するためには注意すべき点もあります。例えば、受診機会の減少による病状変化の見逃しや、医療機関の収入への影響、薬剤師によるフォロー体制の必要性など、運用面での課題が指摘されています。
また、対象外となる薬剤があるなど制度上の制約も存在します。ここでは、リフィル処方箋を利用する際に知っておきたいデメリットや留意点についてお伝えします。
3-1.状態変化に気が付きにくい
リフィル処方箋は通院回数を減らせるメリットがありますが、その一方で受診機会が減ることによるリスクも存在します。受診間隔が空くことで、病状の変化や副作用の兆候を見逃す可能性があり、症状悪化につながるかもしれません。特に慢性疾患の患者さんは、安定しているように見えても体調が変化することがあります。
そのため、リフィル処方箋を安全に活用するには、患者さん自身が体調変化に敏感であるとともに、医師・薬剤師が連携して定期的なチェックを行う仕組みが不可欠です。
3-2.リフィル処方箋の管理と制度上の制約
リフィル処方箋は繰り返し使用するため、紛失や管理不備のリスクが高まります。処方箋には使用期限があり、期限切れや紛失した場合には再受診が必要です。そのため、患者さんの負担が増える可能性があります。
また、麻薬・向精神薬・抗がん剤・湿布薬など、投与日数制限や厳格な管理が必要な薬は対象外となるため、制度上の制約が存在します。患者さんは「どの薬がリフィル可能か」を把握しておく必要があり、医師や薬剤師も適切な説明を行うことが求められるでしょう。
3-3.医療機関の収入減と転売リスク
通院回数が減ることで医療機関の診療報酬が減少し、経営に影響を与える可能性があります。特に外来診療に依存している医療機関では収入減が課題となり得るでしょう。
また、リフィル処方箋を繰り返し利用できる仕組みを悪用し、医薬品の転売や譲渡が行われるリスクも指摘されています。こうした不適切利用は患者さんの安全性を損なうだけでなく、社会的な問題にもつながるでしょう。制度を健全に運用するためには、医師・薬剤師による適切な管理と、患者さんへの啓発が不可欠です。
3-4.薬剤師によるフォロー体制の強化が必要
リフィル処方箋は薬局で繰り返し調剤を受けるため、薬剤師が患者さんの服薬アドヒアランスを継続的にチェックし、副作用や飲み忘れを早期に把握する役割を担います。患者さん自身の自己管理能力に依存する部分が大きいため、薬剤師による丁寧なフォローがなければ、適切に薬物治療を継続するのが難しくなることもあるでしょう。
そのため、薬剤師による服薬状況の確認や生活習慣へのアドバイスができるよう、薬局には十分な人員体制や幅広い知識・経験を持つ薬剤師の確保が求められます。
🔽 服薬フォローアップについて解説した記事はこちら
4.リフィル処方箋での薬のもらい方
リフィル処方箋は、同じ処方箋を最大3回まで利用できる仕組みです。1回目の有効期間は通常の処方箋と同じ4日以内で、患者さんは期限内に薬局で調剤を受けなければなりません。2回目以降は診察を受けずに薬局で薬を受け取ることができます。受取期間は「調剤予定日(投薬期間が終了する日)の前後7日間」です。
参考:「リフィル処方箋」を知っていますか?1度の診察で最大3回まで薬の処方を受けられます!|政府広報オンライン
2回目以降の調剤を異なる薬局で受け取ることも可能ですが、服薬状況を継続的に確認し、適切な管理を行うためには、できるだけ同じ薬局を利用することが望ましいとされています。
そのため、転居などで難しい場合には、次回来局予定の薬局に調剤を行った薬局から情報提供してもらうか、または調剤情報を患者さん自身が持参するといった対応が求められています。
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省
5.リフィル処方箋の対象外となる薬剤
投与量に限度がある医薬品や貼付剤は、リフィル処方箋による調剤を行うことができません。投与期間に上限が設けられている主な医薬品は以下のとおりです。
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省
● 鎮痛・消炎に係る効能・効果を有する貼付剤(麻薬・向精神薬・専ら皮膚疾患に用いるものは除く)
参考:「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について|厚生労働省
6.薬剤師がリフィル処方箋による調剤を行うときのポイント
リフィル処方箋による調剤は、正しい記載方法やトレーシングレポートの作成、患者さんへの説明、レセプト入力といった各工程に注意すべきポイントがあります。ここでは、薬剤師がリフィル処方箋を活用する際に押さえておくべきポイントについてお伝えします。
6-1.リフィル処方箋への記載事項の書き方
リフィル処方箋による調剤を行った場合、該当する実施回数欄に「✓」または「×」を記載し、調剤日と次回調剤予定日を記入することとされています。
調剤済みとなった場合は、リフィル処方箋を薬局で保管します。調剤済みとならなかった場合は、必要事項を記載して原本は患者さんへ返却し、写しと調剤録は薬局で保管しなければなりません。
参考:「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について|厚生労働省
6-2.トレーシングレポートの書き方
リフィル処方箋に基づく調剤では、薬剤師が服薬状況や副作用の有無を確認し、必要に応じてトレーシングレポートを作成します。
レポートには服薬アドヒアランス、残薬の有無、体調変化などを簡潔にまとめ、医師へ適切に情報提供することがポイントです。過不足なく記録することで医師との連携が強化され、患者さんの安全性向上につながります。
🔽 トレーシングレポートの書き方について解説した記事はこちら
厚生労働省の調査によると、リフィル処方箋を発行したことのある病院・診療所の医師が、薬剤師から提供してほしい情報とその割合は以下とされています。
| 患者情報 | 情報提供を希望する 医師の割合 |
|---|---|
| 患者さんの服薬状況 | 70.7% |
| 患者さんの状態 | 53.0% |
| 他医療機関から処方された薬の情報 | 43.9% |
| 患者さんへの服薬指導の要点 | 30.5% |
| 患者さんが容易に、または継続的に服薬できるための調剤上の工夫など | 17.1% |
参考:長期処方及びリフィル処方箋の実施状況調査報告書(案)<概要>|厚生労働省
この調査結果から、医師は患者さんの情報を細かく把握できるトレーシングレポートを求めていることが分かります。
また、トレーシングレポートによる情報提供は、要件を満たすことで服薬情報等提供料を算定できます。薬局薬剤師は、患者さんが安心・安全な薬物医療を受けられるよう積極的に医師と情報共有しましょう。
🔽 服薬情報等提供料について解説した記事はこちら
6-3.患者さんへの説明・確認事項
リフィル処方箋を用いた調剤では、患者さんへの説明が欠かせません。薬剤師は制度の仕組みや患者さん自身の自己管理が重要であることを伝えるとともに、体調変化や副作用の有無を確認します。
特に高齢者や慢性疾患患者さんには、残薬管理や服薬忘れを防ぐためのアドバイスを行い、必要に応じて医師と情報共有することが求められます。
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省
6-4.レセプトの入力方法
リフィル処方箋を受付けた場合、レセプトは「時間外等加算」欄に、総使用回数に対する当該調剤を行う回数を記載します。区分や項目などは以下のとおりです。
| 項番 | 区分 | 項目 | 略称 | 記載欄 |
|---|---|---|---|---|
| 47 | 区分番号00 | 総使用回数2回のうち、 1回目の調剤を行う場合 |
リ1/2 | 「時間外等加算」欄 |
| 48 | 総使用回数2回のうち、 2回目の調剤を行う場合 |
リ2/2 | ||
| 49 | 総使用回数3回のうち、 1回目の調剤を行う場合 |
リ1/3 | ||
| 50 | 総使用回数3回のうち、 2回目の調剤を行う場合 |
リ2/3 | ||
| 51 | 総使用回数3回のうち、 3回目の調剤を行う場合 |
リ3/3 |
参考:「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について|厚生労働省
7.リフィル処方箋の理解を深めよう
リフィル処方箋は、同じ薬を継続して使用する患者さんが、毎回受診しなくても薬を受け取れる仕組みです。通院回数が減ることで、日常生活の負担や医療費が軽減され、薬剤師による継続的な服薬状況の確認を受けられる点がメリットでしょう。
一方で、体調の変化に気づきにくくなる可能性や、対象となる薬が限られているなど、注意すべき点もあります。そのため、患者さんは体調に変化を感じた場合は、早めに医師へ相談することが重要です。
🔽 処方箋について解説した記事はこちら

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。
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