かかりつけ薬剤師 公開日:2017.03.23更新日:2018.11.21 かかりつけ薬剤師

かかりつけ薬剤師として算定要件を満たすために必要な最低限の条件とは

「かかりつけ薬剤師」として算定要件を満たすための条件とは?

2016年度の調剤報酬改定により新設された「かかりつけ薬剤師指導料」。業務と具体的に関わる内容になったことから、今まで以上にかかりつけ薬剤師としての働き方に関心を寄せている方は多いでしょう。では、実際にどうすれば算定要件を満たす「かかりつけ薬剤師」になれるのでしょうか?
今回はかかりつけ薬剤師になるために必要な最低限の条件として、薬局での業務経験、研修認定薬剤師の取得などについて具体的に解説します。

かかりつけ薬剤師になるために必要なこと

薬局が「かかりつけ薬剤師指導料」を算定するためには、局内にかかりつけ薬剤師が在籍している必要があります。勤務先の薬局でかかりつけ薬剤師になるため、最低限満たしていなければいけないのが下記の5つの基準です。

 

  • 1. 薬局勤務経験が3年以上
  • 2. 勤務先の薬局に週32時間以上勤務
  • 3. 勤務先の薬局に半年以上在籍
  • 4. 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定薬剤師の取得
  • 5. 医療に関わる地域活動への参加

 

薬局勤務経験については、病院で薬剤師として勤務していた期間は1年を上限として期間に含めてよいとされています。つまり、病院勤務経験が3年であったとしても、カウントされるのは1年のみ。加えて調剤薬局における勤務経験が2年以上必要になるというわけです。また勤務先の薬局での勤務時間や期間は、直近の継続が条件となります。例えばA薬局に5年間在籍していたとしても、一度退職して再雇用となった場合、在籍期間がリセットされます。再雇用の場合は、過去どんなに長く働いていたとしても、過去の勤務期間は考慮されません。
また、育児休暇を挟んで勤務している場合、育児休暇期間は勤務経験としてカウントされません。育児休暇期間を除いて3年以上の薬局勤務経験と、半年以上の在籍期間が必要となるわけです。

かかりつけ薬剤師に必要な「認定薬剤師」を取る方法

「認定薬剤師」といえば、「がん専門薬剤師」や「NST専門薬剤師」などの専門薬剤師制度をイメージする人も多いでしょう。しかし、かかりつけ薬剤師になるために必要なのはこれら専門薬剤師ではなく、認証団体により認証される「研修認定薬剤師」にあたります。2016年現在では、22団体が認証団体として認められており、なかでも有名なのが「公益財団法人日本薬剤師研修センター」です。

 

日本薬剤師研修センターの場合、はじめて研修認定薬剤師を取得する場合は単位取得取得を開始してから4年以内に40単位を取得する必要があります。4年以内に必要単位を取得できればよいため、最短1年での取得も可能です。研修認定薬剤師の取得後は3年ごとに30単位を取得し、更新していく必要があります。さらに少なくとも毎年5単位以上の取得が条件として挙げられており、満たせない場合は更新できません。

 

単位として認められる研修は、インターネットで受講できるもの、各薬剤師会が地域で主催する講習などと幅広くあります。勤務状況や都合に合わせて、無理なく受講できる工夫がなされています。どの認証団体でも必要取得単位数などは変わりませんが、40単位のうち20単位以上は自身の団体が主催する講習での取得義務があるなど、団体により細部が異なります。

地域活動とは、どんなことをすればよいの?

かかりつけ薬剤師になるためには「地域活動」も条件に含まれます。しかし、地域活動といわれても漠然としているような印象を持つことでしょう。そこで、2016年5月19日に厚生労働省が具体的な見解を公表し、それに従って活動することが前提となりました。

厚生労働省の見解によると、

  • ・地域行政や医療関係団体などが主催する講演会
  • ・研修会への参加や演者としての実績
  • ・学校薬剤師として子供たちに薬の適正使用などについて説明すること

などが地域活動として挙げられています。一方、メーカー主催の勉強会への参加は「地域活動」としては認められていません。

かかりつけ薬剤師の5条件をクリアするために早めの行動を

かかりつけ薬剤師になるためには、前述した5つの条件をクリアしなければなりません。具体的な条件からも読み取れるように、かかりつけ薬剤師として活動するのであれば、働きやすい環境にあることも大切な条件といえるでしょう。条件を満たすためにも、早い段階から計画的に行動していきたいですね。


執筆/植松 透

薬剤師、健康食品管理士。薬科大学卒業後、健康カウンセリング、健康食品の開発に携わり、広く健康を学ぶ。退職後、ライター活動を開始。オウンドメディア、個人サイト、けんぽ協会などの紙媒体で執筆・監修を手がける。最近は介護施設で健康関連の講演会も行っている。

<完全無料>転職やキャリアのご相談はマイナビ薬剤師へ