悪くなくても、クレームにはまず謝罪
過去の回でもお伝えしていますが、お客さんから苦情やクレームを受けたら、まずは謝罪します。「何も悪いことをしていないのにどうして謝るの?」と思うかもしれませんが、お客さんが不快な思いをした事実に対しての謝罪です。「それは申し訳ありません。お薬が効かなかったのですね」とお客さんの思いを確認した上で「もう少し詳しくお話を伺ってもよろしいですか」と続けます。
そして「それは大変でしたね」「おつらかったですね」などと共感しながら話を聞いたあとで、頭痛薬について説明し、理解を求めます。
今回のケースのように、言いたいことを言うだけでお客さんの気が収まることもありますから、話を真剣に聞く姿勢が大切です。
販売時の丁寧な説明がクレーム予防になる
お客さんがOTC医薬品を購入するのは、病院に行く時間がないといった事情が考えられますが、すぐに症状が改善することを期待しているのは間違いないでしょう。期待が大きければ大きいほど、思うように効果が得られないとき、その責任を薬局や薬剤師に押し付けようとする気持ちが働くようです。
OTC医薬品のクレーム予防には、販売時の丁寧な説明がとても大切です。OTC医薬品はすべての症状を改善するものではないこと、有効性が臨床試験で確認されていても効果発現には個人差があるためすべての人が満足する効果を得られるわけではないことなどを伝えます。これらを丁寧に伝えないと、用法を守ってもらえない可能性もありますから、気を付けましょう。
さらに、「頭痛の原因はいろいろありますので、効果が感じられない場合は早めに医師にご相談なさるのがよろしいと思います」のように、症状によっては早期の受診が必要であることも伝えましょう。過去にクレームを言ってきたことがあるお客さんは、今後も同様のふるまいをする可能性があります。接客時や販売時にさりげなく上記のポイントを伝えることがクレーム予防に効果的です。
クレームを受けると動揺してしまいがちですが、そんな時こそお客さんからの信頼を深めるチャンスです。薬剤師に対して「何かあったら、また相談しよう」と思ってもらえるきっかけになるため、真摯に対応してほしいと思います。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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