Q170 「薬剤師は楽でずるい」と思われるのはなぜ?
Q170 「薬剤師は楽でずるい」と思われるのはなぜ?
「楽でずるい」と思われやすい境遇にあることを理解しましょう
私の予想では、事務スタッフが不満を持っているという心配は当てはまらないように思います。むしろ、相談者さんへの信頼があるからこそ言い合える冗談のように感じられ、理想的な関係だと言えるのではないでしょうか。
余計な心配をすると、かえって日々の言動に迷いが出るかもしれませんから、現状のままコミュニケーションを続けていきましょう。
とはいえ、同じ薬局の中で働いていても、薬剤師と事務スタッフでは取り扱う業務が異なるのは事実です。薬剤師が服薬指導をメイン業務とするならば、事務スタッフは服薬指導までのいわば裏方の仕事、それも手のかかる細かい仕事を担当することが多いため、事務側は「大変なところは事務がやって、薬剤師は楽をしている」と感じることがあるかもしれません。
業務の違いだけでなく、待遇面でも差があるケースは多いですから、事務スタッフからすれば「薬剤師がうらやましい」と感じることが転じて「ずるい」発言につながってしまうようにも考えられます。
薬剤師は事務スタッフから「楽でずるい」と思われやすい境遇にあることを理解して、日ごろのコミュニケーションに注意を払いたいものです。
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薬剤師の接遇マナー・テクニック Q.166 調剤薬局で自分だけ仕事が忙しい
協働するチームの仲間として感謝と敬意を持ち続けましょう
また、薬局では患者さんの身体や命を預かる責任のある業務を行います。たとえ事務スタッフであっても、小さなミスも許されない緊張感がともなう職場であるため、スタッフ同士が互いを尊重し合えないと、ギスギスした雰囲気になってしまいがちです。
相談者さんの職場では杞憂かもしれませんが、不満を持たれないためには、事務スタッフに「楽でずるい」と思わせないだけの仕事を薬剤師がすればいいのだと思います。
服薬指導や患者さん応対はもちろんのこと、事務スタッフが担当するレセプト業務等々についても、事務スタッフ以上の知識や情報を習得し、わからないことは薬剤師に聞けば大丈夫、と頼りにされるような仕事をすることが肝心です。
そして何より大切なのは、たとえ職種が違っても、同じ職場で働くチームの仲間として、互いを敬い感謝する気持ちを持ち続けること。薬局業務は事務スタッフの働きがあって成り立っているというのは、多くの薬局に共通する紛れもない事実でしょう。
自身の仕事の質を向上させる意識は持ちつつも、「いつも一緒に働いてくれてありがとう」「おかげさまで安心して服薬指導ができます」という感謝の気持ちを持ち、上から目線にならないよう思いやりのあるコミュニケーションを心がけましょう。
患者さんは、スタッフの良好な関係性を見て「この薬局は安心して任せられる」と感じます。これからも、何でも言い合えるコミュニケーション豊かな職場環境を維持してほしいと思います。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
※投稿者の特定を避けるため、一部内容を変更して掲載しております。