Q173 薬局の保険証確認時にいつも「忘れた」と言う患者さんにどう対応する?
Q173 薬局の保険証確認時にいつも「忘れた」と言う患者さんにどう対応する?
保険請求の流れをわかりやすく説明しましょう
ここで気を付けたいのは、薬局・薬剤師にとって当たり前ともいえる「保険証確認」は、患者さんには決して当たり前ではない、ということです。保険証を持ってこない理由は人それぞれです。薬局の都合を押し付けることがないよう、患者さんごとに丁寧な説明と対応が欠かせません。
「保険証確認が必要な理由がわからない」「以前に見せたのになぜもう一度見せなくてはいけないのか?」などという患者さんには、処方薬には健康保険が適用されているため、調剤薬局では毎月、健康保険組合などの保険者に医療費を請求するためのレセプト業務をおこなうことを説明しましょう。
その際、保険証の記号や番号、負担割合に間違いがあると、請求しても受理されずに戻ってきてしまうこと、転職・退職時の健康保険の切り替えなどにより保険番号に誤りがあると、保険請求ができないため、患者さんに薬代を別途支払ってもらう必要が生じることなど、保険証を確認しなければならない理由を丁寧にお伝えします。
中には、処方せんに保険番号が記載されていることを理解していない患者さんもいます。そのような患者さんには、保険証は健康保険に入っている証明であり、保険証を提示することで処方薬の支払いが1~3割負担になる、といった基本的なことから説明するといいでしょう。
「医療機関で見せたから薬局で見せる必要はない」と思っている患者さんには、医療機関と薬局は別の組織であること、処方せんの保険番号などは入力ミスの可能性もあるため、薬局でも確認の必要があることを説明します。
一方で、単に保険証を持ってくるのが面倒なだけ、という患者さんもいると思います。その場合は、保険証を忘れると処方薬に必要な費用の全額を自費で支払うことになる、などと説明すると必要性を理解しやすいかもしれません。また、保険証の確認については、法律で義務付けられていることも説明しましょう。
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保険証確認はお願いの姿勢で臨みましょう
保険証の提示が義務付けられているとはいえ、保険証を確認する際の伝え方にも注意が必要です。いきなり「保険証をお願いします」と言うのではなく、「保険証を見せていただけますか」「保険証を確認させていただいてもよろしいでしょうか」などとお願いの姿勢で臨むのがオススメ。
さらにひと言「恐れ入りますが」「お手数をおかけしますが」などのクッション言葉を付け加えると、お手間をかけて申し訳ない、という気持ちを伝えることができますし、お願いもしやすくなります。
処方せんと一緒に保険証を提示してくれる患者さんには、「ありがとうございます」「いつも確認させていただき助かります」などとお礼の言葉を忘れずに伝えましょう。周囲で聞いている患者さんに「処方せんと一緒に出せばいいんだ」と気づいてもらうきっかけにもなります。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
※投稿者の特定を避けるため、一部内容を変更して掲載しております。