薬剤師のスキルアップ 公開日:2024.11.13 薬剤師のスキルアップ

病棟薬剤業務実施加算とは?算定要件や1と2の違いを分かりやすく解説

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

病棟薬剤業務実施加算は、病院薬剤師がその専門性を最大限に生かし、病棟などにおいて医療従事者の業務負担を軽減するとともに、患者さんの薬物治療の有効性、安全性を向上させることにつながる業務を実施することを評価したものです。本記事では、病棟薬剤業務実施加算の概要や1と2の違い、薬剤管理指導料との違いについて解説するとともに、算定要件や点数、施設基準などを分かりやすくお伝えします。また、病棟薬剤業務実施加算の算定に必要な病棟薬剤業務日誌についても紹介します。

1.病棟薬剤業務実施加算とは?

病棟薬剤業務実施加算とは、診療報酬の入院基本料等加算のひとつで、医療機関の病棟などにおいて、薬剤師が医師などの負担軽減や薬物療法の有効性・安全性向上のために薬剤関連の業務を実施していることを評価するものです。
 
病棟薬剤業務実施加算には1と2の区分があり、それぞれ算定要件や点数が異なります。

 

1-1.病棟薬剤業務実施加算1と2の違いとは?

病棟薬剤業務実施加算は、患者さんに算定する入院基本料または特定入院料によって算定区分が異なります(詳細は後述)。
 
また、病棟薬剤業務実施加算1は120点、病棟薬剤業務実施加算2は100点と、算定点数にも違いがあります

 

1-2.病棟薬剤業務実施加算と薬剤管理指導料の違いとは?

薬剤管理指導料とは、医学管理料等のひとつで、薬剤師が薬剤管理指導記録にもとづき、直接服薬指導や服薬支援、そのほかの薬学的管理指導を行うことを評価したものです。
 
日本病院薬剤師会の資料「薬剤師の病棟業務の進め方(Ver.1.2)」では、病棟薬剤業務実施加算と薬剤管理指導料に係る各業務について、以下のように区分しています。

 

■病棟薬剤業務(主に投薬前における患者に対する業務、医薬品の情報及び管理に関する業務、医療スタッフとのコミュニケーション)
1.患者背景及び持参薬の確認とその評価に基づく処方設計と提案
2.患者状況の把握と処方提案
3.医薬品の情報収集と医師への情報提供等
4.薬剤に関する相談体制の整備
5.副作用等による健康被害が発生した時の対応
6.多職種との連携
7.抗がん薬等の適切な無菌調製
8.当該医療機関及び当該病棟における医薬品の投与・注射状況の把握
9.当該病棟における医薬品の適正な保管・管理
10.当該病棟に係る業務日誌の作成等
11.病棟薬剤業務実施加算を算定できない病棟又は治療室においても病棟薬剤業務を実施するよう努める

 

■薬剤管理指導業務(主に投薬後における患者に対する業務)
1.薬歴の確認
2.処方内容の確認
3.ハイリスク薬・麻薬等への対応
4.患者等への説明と指導等
5.退院時指導
6.薬剤管理指導記録簿の作成

 

1-3.2024年度診療報酬改定で新設された「薬剤業務向上加算」とは?

2024年度診療報酬改定で新設された「薬剤業務向上加算」とは、病棟薬剤業務実施加算1の加算です。医療機関が薬剤業務向上加算を算定するためには、主に以下のような体制整備を行う必要があります。

 

● 免許取得直後の薬剤師を対象とした病棟業務などに関わる総合的な研修を実施する体制
● 都道府県の協力のもと薬剤師が別の医療機関に出向して地域医療に関わる業務などを実践的に修得できる体制

参照:令和6年度診療報酬改定の概要【個別改定事項(II)】|厚生労働省
 

上記の体制を整えている医療機関の入院患者さんに病棟薬剤業務実施加算1を算定している場合に、薬剤業務向上加算が算定できます。薬剤業務向上加算の算定要件や施設基準の詳細については、以下の記事をご覧ください。

 

2.病棟薬剤業務実施加算の点数

病棟薬剤業務実施加算1と2の点数は、以下のとおりです。

 

■病棟薬剤業務実施加算の点数
区分 点数 算定頻度
病棟薬剤業務実施加算1 120点 週1回
病棟薬剤業務実施加算2 100点 1日につき

参照:医科診療報酬点数表|厚生労働省

 

療養病棟入院基本料、精神病棟入院基本料または特定機能病院入院基本料(精神病棟に限る)を算定している患者さんについては、入院した日から起算して8週間を限度として加算できます。

3.病棟薬剤業務実施加算の算定要件

病棟薬剤業務実施加算の算定要件について見ていきましょう。
 
参照:医科診療報酬点数表に関する事項|厚生労働省

 

3-1.対象患者

病棟薬剤業務実施加算1または2を算定する患者さんは、以下の入院基本料または特定入院料を算定している方が対象となります。

 

病棟薬剤業務実施加算1 病棟薬剤業務実施加算2
A100 一般病棟入院基本料 A300 救命救急入院料
A101 療養病棟入院基本料 A301 特定集中治療室管理料
A102 結核病棟入院基本料 A301-2 ハイケアユニット入院医療管理料
A103 精神病棟入院基本料 A301-3 脳卒中ケアユニット入院医療管理料
A104 特定機能病院入院基本料 A301-4 小児特定集中治療室管理料
A105 専門病院入院基本料 A302 新生児特定集中治療室管理料
A304 地域包括医療病棟入院料 A302-2 新生児特定集中治療室重症児対応体制強化管理料
A307 小児入院医療管理料 A303 総合周産期特定集中治療室管理料

 

上記を算定する患者さんに対して、病棟薬剤業務実施加算1または2を算定できます。

 

3-2.病棟薬剤業務の実施事項

病棟薬剤業務実施加算の算定にあたって求められる病棟薬剤業務には、患者さんやその家族からの情報収集と服薬指導、医師などの他職種への情報提供、薬物治療における管理があります。
 
患者さんやその家族からの情報収集と服薬指導としては、以下のような業務が挙げられます。

 

■患者さんや家族からの情報収集と服薬指導
● 過去の投薬・注射や副作用歴などを患者さんや家族などから聞き取り
 (他の医療機関の投薬や注射についてもできる限り把握すること)
● 入院時に、持参薬の有無、薬剤名、規格、剤形などを確認し、服薬計画を書面で医師などに提案するとともに、その書面の写しを診療録などに添付すること
● 患者さんや家族に対し、治療方針に係る説明を行う中で、特に安全管理が必要な医薬品などの説明を投与前に行う必要がある場合には、病棟専任の薬剤師がこれを行うこと
● 退院時の薬学的管理指導について、可能な限り実施すること

 

なお、上記の「特に安全管理が必要な医薬品」とは、薬剤管理指導料の対象患者さんに規定する以下の医薬品のことを指します。

 

● 抗悪性腫瘍剤
● 免疫抑制剤
● 不整脈用剤
● 抗てんかん剤
● 血液凝固阻止剤(内服薬に限る)
● ジギタリス製剤
● テオフィリン製剤
● カリウム製剤(注射薬に限る)
● 精神神経用剤
● 糖尿病用剤
● 膵臓ホルモン剤
● 抗HIV薬

 

また、医師などの他職種への情報提供については、以下のようなものがあります。

 

■医師などの他職種への情報提供
● 医薬品医療機器情報配信サービス(PMDAメディナビ)など、インターネットを通じて常に以下の最新情報を収集し、重要な医薬品情報については、医療従事者へ周知していること
 1.医薬品緊急安全性情報
 2.医薬品・医療機器等安全性情報
 3.製造販売業者が作成する医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)
 4.医薬品・医療機器等の回収など
● 当該医療機関において投薬される医薬品について、以下の情報を知ったときは、速やかに当該患者さんの診療を担当する医師に対して文書で情報提供すること
 1.緊急安全性情報、安全性速報
 2.医薬品・医療機器等安全性情報
 3.医薬品・医療機器等の回収など
● 入院時に確認した持参薬について、服薬計画を書面で医師などに提案し、その書面の写しを診療録などに添付すること

 

薬物治療における管理については、以下のものがあります。

 

■薬物治療における管理
● 当該病棟に入院している患者さんに対して2種以上(注射薬及び内用薬を各1種以上含む)の薬剤が同時に投与される場合には、投与前に注射薬と内用薬との間の相互作用の有無などの確認を行うこと
● 特に安全管理が必要な医薬品などのうち、投与の際に流量または投与量の計算などが必要な場合は、投与前に病棟専任の薬剤師が当該計算などを実施すること
 ※治療上必要な応急措置として薬剤を投与する場合などは除く

 

さらに、「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」(平成22年4月30日医政発0430第1号)に掲げる以下の業務についても、可能な限り実施するよう努めることとされています。

 

● 薬剤の種類や投与量、投与方法、投与期間などの変更や検査のオーダについて、事前に作成・合意されたプロトコールにもとづき、専門的知見を活用して、医師などと協働すること
● 薬剤の選択や投与量、投与方法、投与期間などについて、医師へ積極的に処方提案をすること
● 薬物の血中濃度や副作用のモニタリングなどによって副作用の発現状況や有効性の確認を行うとともに、必要に応じて医師に薬剤の変更などを提案すること
● 薬物療法の経過などを確認した上で、医師に前回の処方内容と同一の内容の処方を提案すること
● 持参薬の内容を確認した上で、医師に服薬計画を提案するなど、患者さんの薬学的管理を行うこと
● 抗がん剤などの適切な無菌調製を行うこと

 

3-3.病棟薬剤業務の実施時の留意点

病棟薬剤業務を実施する際は、以下の点について留意することとされています。

 

● 病棟薬剤業務の内容によっては、医薬品情報の収集、抗がん剤の無菌調製などは、必ずしも病棟で実施されるものではないこと
● 病棟専任の薬剤師は、病棟に係る病棟薬剤業務日誌を作成・管理し、記入日から5年間保存しておくこと
● 患者さんの薬物療法に直接的に関わる業務については、可能な限り、実施内容を診療録などにも記録すること
● 病棟薬剤業務実施加算を算定できない病棟、または治療室においても病棟薬剤業務を実施するよう努めること

4.病棟薬剤業務実施加算1の施設基準

続いて、病棟薬剤業務実施加算1の施設基準について詳しくお伝えします。
 
参照:基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省

 

4-1.薬剤師の配置

薬剤師の配置については、常勤薬剤師が2名以上配置されているとともに、病棟薬剤業務の実施に必要な体制がとられていることとされています。
 
病棟薬剤業務に携わる非常勤薬剤師が複数いる場合は、以下の勤務形態の非常勤薬剤師を2名組み合わせることで、常勤薬剤師1名として換算することができます。

 

● 週3日以上常態として勤務
● 所定労働時間が週22時間以上の勤務
● 当該常勤薬剤師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤薬剤師を配置

 

ただし、常勤薬剤師に算入することができる非常勤薬剤師は、常勤薬剤師1名分までに限ります。
 
加えて、病棟薬剤業務を行う専任の薬剤師が当該保険医療機関の全ての病棟に配置されていなければなりません。
 
ただし、「A106」障害者施設等入院基本料、「A304」地域包括医療病棟入院料、「A307」小児入院医療管理料以外の特定入院料を算定する病棟は除きます。また、薬剤師の配置については、複数の薬剤師でひとつの病棟の病棟薬剤業務を担当することが認められています。
 
なお、病棟薬剤業務実施加算を算定できない手術室、治療室および小児入院医療管理料以外の特定入院料を算定する病棟においても、病棟薬剤業務の実施に努めることとされています。

 

4-2.病棟薬剤業務の実施時間

病棟専任の薬剤師による病棟薬剤業務の実施時間は、直近1カ月の実施時間を合算して1週間につき20時間相当に満たない病棟があってはならないこととされています。なお、以下の算定に係る業務については、実施時間に含められません。

 

● 「A307」小児入院医療管理料の退院時薬剤情報管理指導連携加算
● 「B008」薬剤管理指導料
● 「B014」退院時薬剤情報管理指導料

 

ただし、「A106」障害者施設等入院基本料、「A304」地域包括医療病棟入院料、「A307」小児入院医療管理料以外の特定入院料(病棟単位で行うものに限る)を算定する病棟を除きます。

 

4-3.医薬品情報管理室の体制整備

医薬品情報の収集・伝達を行うための専用施設(医薬品情報管理室)を有し、院内からの相談に対応できる体制を整備する必要があります。
 
院内からの相談対応に関する体制は、医療機関の医師などに周知していればよく、医薬品情報管理室に薬剤師が常時配置されている必要はありません。
 
また、医薬品情報管理室が、病棟専任の薬剤師を通じて、次のア~ウの医薬品安全性情報などを積極的に収集・評価するとともに、一元的管理を行い、有効に活用されるよう分かりやすく工夫して医療関係者に速やかに周知していることとされています。

 

ア:当該保険医療機関における医薬品の投薬および注射の状況(使用患者数、使用量、投与日数などを含む)
イ:当該保険医療機関において発生した医薬品に係る副作用、ヒヤリハット、インシデントなどの情報
ウ:公的機関、医薬品製造販売業者、卸売販売業者、学術誌、医療機関外の医療従事者など、外部から入手した医薬品の有効性、安全性、品質、ヒヤリハット、インシデントなどの情報(後発医薬品に関するこれらの情報を含む)

 

さらに、医薬品情報のデータベースを構築することなどによって、医療従事者が必要なときに医薬品情報管理室で管理している医薬品安全性情報などを容易に入手できる体制を有していなければなりません。

 

4-4.緊急時への対応

迅速な対応が必要となる医薬品安全性情報などを把握した際に、電子媒体に保存された診療録や薬剤管理指導記録などを活用して、当該医薬品を処方した医師や投与された患者さんを速やかに特定し、必要な措置を迅速に講じることができる体制を整えておく必要があります。

 

4-5.カンファレンスの実施

病棟専任の薬剤師と医薬品情報管理室の薬剤師が、必要に応じてカンファレンスなどを行うことも施設基準のひとつです。
 
各病棟での問題点などを情報共有し、各薬剤師が病棟薬剤業務を実施するにあたって必要な情報提供をしていることとされています。

 

4-6.医薬品業務手順書の作成

あらかじめ「医薬品の安全使用のための業務に関する手順書(医薬品業務手順書)」を定めておくことも必要です。
 
医薬品安全性情報などに関する規定の内容の具体的な実施手順と、新たに入手した情報の重要度に応じて、安全管理委員会、薬事委員会などの迅速な開催や、関連する医療従事者に対する周知方法などに関する手順を定めておき、それに従って必要な措置が実施されていることとしています。

 

4-7.薬剤管理指導料の届出

「B008」薬剤管理指導料に係る届出を行っていることも、病棟薬剤業務実施加算の施設基準に含まれています。
 
「薬剤管理指導料の施設基準に係る届出書添付書類(様式14)」に必要事項を記入した上で、調剤所および医薬品情報管理室の平面図や、当該保険医療機関に勤務する全ての薬剤師の名簿をあわせて提出することとされています。
 
参照:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省

 

4-8.病棟専任薬剤師の氏名の掲示

病棟薬剤業務実施加算1・2を算定するためには、病棟専任の薬剤師の氏名が病棟内に掲示されている必要があります。

5.病棟薬剤業務実施加算2の施設基準

病棟薬剤業務実施加算2は、病棟薬剤業務実施加算1に係る届出を行っていることが施設基準のひとつです。そのため、病棟薬剤業務実施加算1の施設基準を満たす必要があります。
 
そのほか、以下の施設基準をクリアすることで、病棟薬剤業務実施加算2を算定できます。

 

● 病棟薬剤業務を行う専任の薬剤師が当該加算を算定する治療室に配置されていること
● 治療室専任の薬剤師による病棟薬剤業務の直近1カ月の実施時間が、合算して1週間につき20時間相当に満たない治療室があってはならないこと
 ※以下の算定のための業務に要する時間については、病棟薬剤業務の実施時間に含まれない
 ○「B008」薬剤管理指導料
 ○「B014」退院時薬剤情報管理指導料
● 医薬品情報管理室が、治療室専任の薬剤師を通じて、医薬品安全性情報などを積極的に収集・評価するとともに、一元的管理を行い、有効に活用されるよう分かりやすく工夫した上で、関係する医療関係者に速やかに周知していること
● 治療室専任の薬剤師と医薬品情報管理室の薬剤師が必要に応じてカンファレンスなどを行い、各治療室での問題点などの情報を共有するとともに、各薬剤師が病棟薬剤業務を実施するにあたって必要な情報が提供されていること

参照:基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省

6.病棟薬剤業務実施加算の算定における注意点

病棟薬剤業務実施加算の算定における注意点について見ていきましょう。

 

6-1.医薬品情報管理室と病棟専任薬剤師の兼務

薬剤師の人数に余裕がない医療機関では、1人の薬剤師が複数の業務を兼務する場合もあるでしょう。
 
医薬品情報管理室の常勤薬剤師と病棟専任の薬剤師の兼務は、不可とはなっていません。しかし、それぞれの業務について適切に行われる必要があるとされています。
 
参照:疑義解釈資料の送付について(その1)2012年3月30日|厚生労働省

 

6-2.周術期薬剤管理加算に係る業務に要する時間の取り扱い

周術期薬剤管理加算における「専任の薬剤師」が行う周術期薬剤管理に係る業務に要する時間は、病棟薬剤業務実施加算の病棟薬剤業務の実施時間に含めることができません。
 
しかし、周術期薬剤管理加算における「病棟薬剤師」が行う薬剤関連業務に要する時間は、病棟薬剤業務実施加算の病棟薬剤業務の実施時間に含めることができます。
 
参照:疑義解釈資料の送付について(その1)2022年3月31日|厚生労働省

 

6-3.病棟薬剤業務日誌の記載事項

病棟薬剤業務日誌については、厚生労働省のホームページでフォーマットが公開されています。記載内容は以下のとおりです。

 

■病棟薬剤業務日誌の記載事項
● 病棟名
● 病棟専任の薬剤師名
● その日の病棟薬剤業務の実施時間
● 業務時間、業務内容の詳細
● 実施した薬剤師名

参照:病棟薬剤業務日誌|厚生労働省

 

業務内容については、該当する番号を記載する形式となっており、日誌の記載時間が短縮できるよう工夫されています。

 

6-4.病棟業務の実施時間の計算方法

病棟業務の実施時間は週20時間以上とされていますが、土日・祝日の日数によって以下のように20時間に満たない場合もあるでしょう。

 

  実施期間 週の実施時間 月の実施時間
【事例1】 第1週(1日~3日)
第2週(4日~10日)
第3週(11日~17日)
第4週(18日~24日)
第5週(25日~31日)
8時間
20時間
20時間
16時間
20時間
84時間
【事例2】 第1週(1日~3日)
第2週(4日~10日)
第3週(11日~17日)
第4週(18日~24日)
第5週(25日~31日)
8時間
24時間
16時間
16時間
28時間
92時間

 

病棟業務の実施時間は、直近1カ月の実施時間を合算し、1週間あたりの実施時間を算出します。

 

● 事例1:84時間/月÷31日/月×7日/週=18.97時間/週
● 事例2:92時間/月÷31日/月×7日/週=20.77時間/週

 

事例1は算定要件を満たしませんが、事例2は算定要件を満たします。
 
参照:疑義解釈資料の送付について(その2)2012年4月20日|厚生労働省

7.安心・安全な薬物治療を実施するためにサポートしよう

病棟薬剤業務実施加算は、薬剤師の配置や病棟薬剤業務の実施時間について細かく規定されています。また、医薬品情報管理室に関する体制整備についても細かな規定があり、薬剤師による丁寧な医薬品管理を評価する加算となっています。患者さんや医師などの医療従事者が安心・安全に薬物治療を実施するためにサポートしていきましょう。

 
🔽 2024年度調剤報酬改定について解説した記事はこちら

 
🔽 病院薬剤師に関連する診療報酬について解説した記事はこちら


執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。