医療

後発薬の導入促進で顕著な成果‐都の医療現場改善運動発表会から

薬+読 編集部からのコメント

東京都の医療施設が患者サービスの向上や経営の効率化を目指して取り組む、「テーマ別改善運動」(QCサークル活動)の成果発表会のレポートです。記事の後半には、薬剤師が病院経営の効率化に寄与した際の実績と具体的な取り組みが記載されていて、参考になりそうです。

東京都では、都立病院、公益財団法人東京都保健医療公社の各病院、施設および福祉保健局の医療施設が、患者サービスの向上や経営の効率化を目指して、職員自らが身近で具体的な業務改善に取り組む「テーマ別改善運動」(QCサークル活動)を実施している。今年度(2014年度)は各病院、施設において223サークルが改善運動に積極的に取り組み、そのうち優秀なサークルとして選ばれた18代表による発表会が、14日に都庁大会議場で開かれた。

 

優秀な提案は各病院と共有

 

東京都病院経営本部が進めている「都立病院改革推進プラン」(13~17年度)では、この「テーマ別改善運動」を通じて、職員の意識向上や職場の活性化を図り、病院全体の患者サービスの向上や経営改善につなげていくこととしている。これまでも優秀な提案を各病院に提案するなど、多角的な視点からの改善提案を参加病院や施設間で相互に共有し、病院運営に役立てている。

 

医療現場での取り組み報告では、多摩北部医療センター薬剤科の江藤壮志氏が「後発品の導入推進~後発品it go」と題して発表した。同院は地域医療支援病院として、北多摩北部地域(清瀬市、東久留米市、東村山市、小平市、西東京市)の中核病院としての役割を担っており、薬剤関係では各病棟に数人の常駐薬剤師を配置し、薬剤師もチーム医療の重要な一員として活躍している。

 

同院では昨年4月時点で、既に後発医薬品の使用割合が72・0%で、後発医薬品指数は「満点」を獲得していた。なお、全国DPC対象施設1585病院のうち、満点は189施設(東京都では11施設のみ)であったという。

 

このように既に十分な後発品の導入実績があったものの、数量シェアは低下の可能性もあるため、多職種と協同して、信頼性のある後発品を円滑かつ着実に選定できる体制強化を目指した。

 

後発品に切り替える上での問題点として、[1]数多い後発品の情報収集や評価等で薬剤師に量的・時間的負担がかかる[2]品質に対する理解の促進が必要[3]医療安全への配慮が必要[4]情報提供の充実──がある。そこで、まず選定業務の効率化、そして情報提供方法の改善(視覚的アプローチ含め)に取り組んだ。

 

従来は、薬品在庫管理システムからの昨年度出庫数量と調剤支援システムの処方数量から分析していたが、対象薬品の選定作業を効率化させるために、医事課から薬品ごとの使用数量データを提供してもらい、使用数が多く、薬価差の大きい薬剤を抽出した。この医事課作成表により、実際の前月使用数量、数量シェア(%)、その月次変化等がリアルタイムに分かるようになった。

 

また薬剤科では、情報整理方法の簡便化や評価負担の軽減および均一化を目的に「医薬品比較表」を作成した。選定に必要な情報としては、製剤の特徴、メーカーの質、薬品管理・利益面、医療安全対策など全部で30項目に及んだ。特に差がつく項目に色を付けたため比較が簡便で、情報整理が迅速にできるのが大きな利点という。

 

この医薬品比較表だが、多摩北部医療センターのように都立関連病院で作成している施設もあるが、各病院では評価項目は異なっているのが現状。そこで、これを統一化して各病院で使用できるような比較表を作成しようと、動き出しているという。

 

後発品への切り替えでは、実際に処方する医師の理解・協力は欠かせない。しかし、効果が異なると感じたり、理解が不十分なため切り替えに消極的な医師もある。そこで、作成した医薬品比較表のほか先発品と比較した薬物動態のデータ(品質担保の根拠資料)や、後発品導入後の収益シミュレーション等の資料を作成し、表やグラフで視認性を向上させ、医師への理解促進に努めた。

 

病院経営の効率化にも寄与

後発品への切り替えは院内で周知しているが、現状ではいつ切り替えたのか、先発品は何かを理解することは難しいと考えられた。そのため看護師へのアプローチとして、各病棟薬剤師からリアルタイムで情報提供を行った(薬品名の変更、注射薬の溶解性、類似バイアルの有無、外用薬の使用感など)。さらに、看護師や患者に対しては薬袋の中にリーフレット(お知らせ文書)を入れることで、配薬する際にも後発薬へ切り替えていることが確認できるようにした。同文書では変更前後の製品画像も載せており、視覚的にも分かりやすく、お薬手帳に貼って利用することも配慮した。

 

これらの活動により、昨年4月の後発品数量シェア72・5%が、10月には84・1%となり、切り替え品目数は21品目を数えた。また、後発品導入効果(薬価差額)は、5月は441万円だったが、10月は697万円となり、さらに250万円分の薬品費コスト削減となった。

 

一方、情報提供の効果も示されている。医薬品ヒヤリハット報告は4~10月まで計218件あり(内訳は先発品関連78%、後発品関連22%)、活動が本格化するにつれて、後発薬関連で「薬品名」等の件数が減少していった。

 

総括で江藤氏は、「選定項目を策定し、医薬品比較表を作成したことで、後発品の比較が簡便になり、高品質かつ安定供給できる後発品の選定を効率的に行うことができ、病院経営の効率化にもつながった。分かりやすい医薬品情報の提供にも努めたが、情報提供のあり方については引き続き検討も必要といえる。今後も安心・安全な医療の提供、患者に選ばれる病院を目指し、適正な後発品導入推進に努めていきたい」と結んだ。

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出典:薬事日報

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