医療費

【医薬品卸の動き】新たな制度・市場変化へ‐次世代型形態で挑む

薬+読 編集部からのコメント

8/8に発表された「医薬品卸経営アンケート」調査結果によると、年間総売上高は10兆0604億円、医薬品売上高は9兆0807億円となり、効率化や生産性向上により利益率は確保。
しかし、利益率の高い長期収載品が減り、安価なGE薬が急増したことで、非常に厳しいとされる医療品卸業界。今後、流通改善の推進が急務のようです。

医薬品卸を取り巻く環境は大きく変化し、非常に厳しいと言われている。利益の中心だった長期収載品は激減し、安価なジェネリック薬が急増して保管・物流における負担が重くなっている。薬価制度抜本改革も進められており、流通改善への取り組みでは、今年1月に、「国主導」が明記された厚生労働省医政局長・保険局長連名通知「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドラインについて」が発出されている。流通改善の具体的な成果が数字として見えてくるのは10月以降になるだろうが、これまでのところ各社は真摯に対応していると聞く。

 

8月8日、日本医薬品卸売業連合会から卸経営アンケート調査結果(速報)が発表された。既報しているが、ここでは詳細を見てみる。

 

医薬品卸の主要経営指標

 

また、4月の本紙創刊1万2000号特集に引き続き、創刊75周年の今特集でも医薬品卸各社トップの方々にこれからの展望について語っていただいた。各社では、従来型の医薬品卸売業ビジネスモデルだけに頼らず、製造、調剤薬局、医療・介護サービスなど各種事業を展開しているが、最近では、スペシャリティ医薬品、再生医療等製品物流へ着手したところも出現してきた。

 

さらに、クレコンリサーチ&コンサルティングの木村仁社長とヘルスケアリサーチセンターの小池千佳子センター長には、「医薬品流通の課題と未来」をテーマにした特別寄稿をいただいた。的確な諸課題分析と含蓄ある医薬品卸企業の未来像を示唆しており、ぜひとも一読されたい。

 

医薬品卸経営アンケート調査結果

各指標から見る経営状況‐効率化・生産性向上で利益確保

 

同調査は、2018年4月20日現在における、日本薬卸連の会員構成員全社(72本社)に調査票を郵送して行われ、有効回答数は53社(回答率73.61%)であった。回答率は74%だが、回答社合計の年間医家向け売上高は8兆6159億円で、ほぼ市場規模を網羅していると言える。年間総売上高は10兆0604億円、医薬品売上高は9兆0807億円だった。

 

53社の事業所数は1435、従業員数5万4550人(内勤6割:外勤4割)である。

 

経営指標における各伸び率を見ると、合計では売上高0.08%、販管費0.06%、人件費マイナス0.76%、従業員数0.01%だが、これを医家向け販売80%以上と80%未満で比べると、▽80%以上:売上高マイナス0.17%、販管費マイナス0.28%、人件費マイナス0.84%、従業員数マイナス0.02%▽80%未満:売上高3.31%、販管費3.48%、人件費0.57%、従業員数0.38%と、対照的な結果となっている。(表参照)

 

売上高について薬卸連では、医家向けはC型肝炎治療薬の減少、薬価改定による長期収載品からジェネリック薬への移行などが、一般薬ではインバウンド需要の継続、ドラッグストア向け商材の堅調な増加などが影響したと見ている。

 

売上総利益率は前年と同じく6.72%、販管費率は微減の5.79%で、結果、営業利益率は前年の0.83%から0.10%改善して0.93%(医家向け80%以上では0.94%)となった。

 

販売生産性(月)は、対前年で1.25%増の1536万9000円に改善している。MS販売生産性(月)は平均4957万9000円で、カテゴリー別では医療用医薬品が5087万4000円、一般用医薬品8151万9000円、医療機器2438万4000円、臨床試薬3050万1000円であった。

 

薬卸連の鈴木賢会長は、「各卸が販管費を圧縮して営業利益率を維持している状況だと思う。市場自体に急激な変化が起きていることは事実であるので、それに対応しながら取り組んでいかなければならない。卸は、災害時でも安定供給を果たしてきた実績がある。それも踏まえて、経営の変化における流通改善を推進しなければならない」と述べた。

 

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出典:薬事日報

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