創薬・臨床試験

バーチャル治験に本腰‐通院せず自宅から参加可能

薬+読 編集部からのコメント

モバイル機器や遠隔医療サービスを利用することで、治験実施施設まで行かなくとも治験の全部、もしくは治験の一部を自宅や地方診療所で実施する「バーチャル治験」。
スイスのノバルティスは分散型治験の大手、サイエンス37の技術を利用してそのバーチャル治験導入をすすめており、今年後半にはアメリカで皮膚科、神経科学、癌の領域に関する治験を始める予定と発表しました。

スイスのノバルティスは、被験者が医療機関に通院せずに、自宅からでも治験に参加可能な「バーチャル治験」の導入に取り組む。分散型治験をリードするソフトウェア企業「サイエンス37」が独占的所有権を持つ技術を利用し、今年後半には米国で皮膚科、神経科学、癌の領域に関する治験を開始する。今後3年間で最大10件のバーチャル治験モデルを実施することを目指す。

 

バーチャル治験は、患者がモバイル機器や遠隔医療サービスを用いることで、従来の大病院のような治験実施施設ではなく、被験者の自宅や地方診療所で治験の全部、もしくは一部を実施することが可能になる。臨床試験をめぐっては、治験実施計画の高度化・複雑化を背景に、既存の実施手法では被験者の確保などが難しくなっているが、製薬企業とデジタル技術に強い異業種企業が連携して、来院時以外の被験者データを連続的に計測して既存の治験データに組み合わせることで、登録する被験者数を減らし、治験実施期間の短縮やコスト削減、データの精度を高めると共に、医療従事者や被験者の負担軽減を実現する手法が模索されている。

 

デジタル化を推進するノバルティスは、長期にわたってサイエンス37に投資を行い、デジタルテクノロジーを用いて患者の治験参加を促進するバーチャル治験に関する共同研究を行ってきた。既に群発頭痛やにきび、非アルコール性脂肪性肝炎に関するバーチャル治験を開始している。

 

両社は、サイエンス37がカスタマイズしたソフトウェアを、ノバルティスの主要な臨床開発プログラムの一部に活用する予定。今後、被験者が治験実施医療機関に来院する治験モデルと、自宅や遠隔地からでも参加可能なバーチャル治験モデルを融合させ、徐々に分散化の度合いを高め、治験実施施設を立ち上げなくても、自宅から治験に参加できるモデルの確立を目指す。

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出典:薬事日報

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