処方せん

電子処方箋でモデル事業~重複投薬のルール検証

薬+読 編集部からのコメント

2023年1月から電子処方箋が本格運用されるのを受けて、厚労省では電子処方箋管理サービスが実装された環境で疑義照会や重複投薬のルールを検証するために来秋から一部地域対象のモデル事業をスタートします。実施期間を1年間とし、地域医療介護連携ネットワークを実施する医療機関と薬局の関係が良好な地域を対象にモデル地域を選ぶことで検討しています。一方で運用開始時には、処方内容の伝達での誤りが生じる可能性や、紙の処方箋と電子処方箋の混在状態で調剤が行われるため、現場が混乱することも予測されています。

厚生労働省は、2023年1月に電子処方箋が本格運用されるのを受け、電子処方箋管理サービスが実装された環境で疑義照会や重複投薬のルールを検証するため、来秋から一部地域を対象にモデル事業を開始する。実施期間は1年間。地域医療介護連携ネットワークを実施している医療機関と薬局の関係が良好な地域を対象にモデル地域を選ぶことで検討する。来夏頃までに暫定的な疑義照会や重複投薬のルールを策定し、モデル事業を通じてルールの検証を行い、恒久的なルール策定に反映する方針である。

 

運用ガイドラインも策定

電子処方箋のシステム調達は11月に契約が終了し、来年2月以降に医療機関と薬局で電子カルテのシステム改修をスタートさせる計画。来秋のモデル事業開始までに改修作業を完了するとしている。

 

ただ、運用開始時には、処方内容の伝達での誤りが生じる可能性や、紙の処方箋と電子処方箋が混在した状態で調剤が行われるため、現場が混乱することが予測される。

 

厚労省は、電子処方箋の重複投薬アラート機能による重複投薬の削減などサービス活用によって得られる効果を最大化していくため、単にシステムの整備を行うだけではなく、新たな環境に適合した運用面のルール整備が不可欠と判断。先行して電子処方箋を運用するモデル事業地域を選定し、その地域に含まれる複数の医療機関と薬局を対象にルール整備に向けた実地検証を行う。

 

今年度の補正予算で電子処方箋の環境整備として約9億3300万円を計上。来夏までに電子処方箋を用いた暫定的な疑義照会や重複投薬のルールを策定する。来秋にはモデル事業を開始し、疑義照会と重複投薬の暫定的ルールを実際に運用し、そこで生じた課題やルールの改善点を検証し、検証内容を報告してもらう。1年間のモデル事業で得られた知見から暫定的なルールの追加・修正を行い、電子処方箋の運用に必須となるルール策定へとつなげる。

 

さらに、電子処方箋を導入した薬局が電子処方箋を活用した効果的な服薬指導を実現するためのガイドライン策定につなげる。特定健診情報等を用いた効果的な服薬指導やポリファーマシー対策、残薬確認への活用などで先進的な取り組みを行っている地域を複数指定し、モデル事業の検証期間中に得られた優良な事例をもとに電子処方箋の活用方策に関する運用ガイドラインを策定する。全国の薬局がガイドラインを参照できるようにすることで早期普及を目指す。

 

モデル事業の対象地域や対象数などについては関係団体と調整しながら選定を行う。選定地域としては地域医療介護連携ネットワークを実施し、医療機関と薬局の関係が良好な地域を選出する。

 

国内で発行される年間約8億枚の処方箋のうち、約6000件の疑義照会が行われ、約4000件の重複投薬による処方変更が報告されている。厚労省は電子処方箋の導入により処方・調剤の段階で重複投薬を回避でき、一定規模の薬剤費を削減できると試算しており、モデル事業を通じて重複投薬件数の減少効果も検証する。

 

一方、電子処方箋の仕組みを構築する上で、▽医薬品コードの統一▽重複投薬の定義や重複投薬を判断する仕組み▽分割調剤への対応▽真正性の確保――などのシステム要件は、来春から始まる医療機関・薬局でのシステム改修作業開始までに方向性を示したい考えだ。

 

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出典:薬事日報

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