医療

紀平薬剤管理官、調剤料再編は「一つの形」~薬剤師業務の見える化実現

薬+読 編集部からのコメント

2022年度調剤報酬改定で調剤料が廃止。調剤業務が対物業務と対人業務に整理され、評価体系が見直されました。「薬剤調製料」「調剤管理料」「服薬管理指導料」と整理されたことに対して厚労省保険局医療課の紀平薬剤管理官が薬事日報社のインタビューに応え、「調剤料として評価されている業務に混在する対物業務と対人業務を分けることで、薬剤師業務の見える化が図られた」(紀平氏)と、その狙いを語っています。

厚生労働省保険局医療課の紀平哲也薬剤管理官(画像)は、本紙のインタビューに応じ、2022年度調剤報酬改定で調剤料が廃止され、「薬剤調製料」「調剤管理料」「服薬管理指導料」と整理されたことに対し、「調剤料として評価されている業務に混在する対物業務と対人業務を分けることで、薬剤師業務の見える化が図られた」と狙いを語った。調剤料の再編について日本薬剤師会などから「大きな改定」との評価が出ていることについては、「特別に変わったことに取り組んだという意識はないが、調剤の仕事について報酬の部分で見える化するという意味で一つの形としてできた」と収穫点に挙げた。

地域で頑張る薬局評価

 

今回の改定では、調剤業務を対物業務と対人業務に整理し、評価体系が見直された。対人中心業務である処方箋受付、患者情報等の分析・評価、処方内容の薬学的分析、調剤設計を「調剤管理料」、対物中心業務である薬剤の調製・取り揃え、最終監査を「薬剤調製料」、調剤時の服薬指導や調剤後の継続的服薬指導を「服薬管理指導料」で評価することになった。

 

調剤医療費の技術料の半分を占める調剤料は、対物業務として認識されている側面があり、中央社会保険医療協議会でも支払側委員から評価のあり方を見直すよう求める意見も出ていた。

 

紀平氏は、「薬剤師の調剤業務が薬の取り揃え業務に対する評価という受け止め方をされていた」と指摘。調剤業務が正しく理解されていないために、調剤費に対する厳しい指摘になったと分析する。

 

その上で、「薬を取り揃えるまでに行う患者からの聞き取りや薬学的分析、疑義照会などは医薬分業における本質的な薬剤師の役割だと思っているが、患者から見えづらい部分があった」と話す。調剤料を廃止し、対物業務と対人業務に整理された評価体系に変えることで、薬剤師業務の見える化を図りたい考えだ。

 

調剤料の再編で対物業務の点数を引き下げる意図については、「調剤料に含まれていた対人業務として調剤管理料が切り離されただけで、対物業務の評価を下げてはいない」と否定する。

 

一方、4区分の評価体系に見直された地域支援体制加算にも言及。調剤基本料1を算定した薬局に対しては「現状の要件を達成するとそれよりも上位の評価体系がなかったため、頑張っている薬局は、より高い評価があってもいいのではないか」とし、地域支援体制加算1(39点)よりも高い加算2(47点)が新設された狙いを説明する。

 

基本料1以外の薬局に対しても、加算3(17点)として新たな評価が設けられた。紀平氏は、「基本料1以外を算定している薬局に対する地域支援体制加算の要件が基本料1を算定している薬局よりもハードルが高く、現場から厳しいとの声が出ていた」と話す。現状の要件に届かなくても、地域に貢献している薬局には加算4(39点)より低い点数設定で評価することとなった。

 

地域支援体制加算の施設基準となる地域医療に貢献する体制を示す実績として、在宅薬剤管理の実績要件を年12回以上から年24回以上に引き上げられたことについては、「昨年8月にスタートした地域連携薬局の認定要件となる『在宅医療に関する取り組みの実績(月平均2回以上)』と整合させたもの」と話す。

 

地域支援体制加算の評価のあり方について、「地域性や薬局の規模などを考慮して、要件の設定を再検討することが今後の課題になるかもしれない」との考えを示す。

 

地域連携薬局に対する評価については「認定を取得したからといって報酬で評価する段階ではない。地域内でどのような価値があるのかが検証された段階で調剤報酬上のあり方を考えるべきであり、今後の動向を見て検証することになる」と述べるにとどめた。

 

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出典:薬事日報

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