医療

【茨城県つくば地区】歯科で地域フォーミュラリ~抗菌薬から運用スタート

薬+読 編集部からのコメント

2022年10月から地域フォーミュラリの運用を開始している茨城県つくば地区の医師会、歯科医師会、薬剤師会が、2月より国内初の試みとして歯科領域で使用する医薬品を地域フォーミュラリの対象医薬品に組み入れる取り組みを始めました。歯科診療における抗菌薬でも運用を始めており、4月中には鎮痛薬も追加する予定となっており、歯科領域でも院外処方箋発行を推進していく方向です。

茨城県つくば地区の医師会、歯科医師会、薬剤師会は、昨年10月から地域フォーミュラリの運用を開始し、今年2月からは歯科領域で使用する医薬品を地域フォーミュラリの対象医薬品に組み入れる取り組みを日本で初めてスタートさせた。歯科診療における抗菌薬で運用を開始し、今月には鎮痛薬も追加する予定で、歯科領域でも院外処方箋発行を推進していく方向だ。つくば薬剤師会の武田典子会長(写真㊧)は、「医師会や歯科医師会から薬剤師会に『薬に関して責任を持て』と頼りにしてもらっている。地域フォーミュラリは時代の要請であり、薬剤師会としても推進していきたい」と話す。

つくば市とつくばみらい市には約200軒の病院・診療所、つくば薬剤師会には140軒の会員薬局がある。つくば保健所は、2018年度に「つくば保健所後発品使用促進地域協議会」を立ち上げ、医療費削減に向けた後発品使用促進を行ってきた。

 

19年3月の第1回協議会で地域フォーミュラリ実施の提案があり、20年2月の第2回会合で、▽つくば市内の4病院で後発品採用リスト作成▽市内薬局のプロトンポンプ阻害剤(PPI)の在庫リスト作成▽PPI経口薬治療指針作成――の3点について実施することを決定した。

 

昨年7月に医師会、歯科医師会、薬剤師会と有識者で構成された地域フォーミュラリ委員会が発足。日本フォーミュラリ学会のモデル・フォーミュラリを参考にしつつ、つくば地区独自の選考基準を設け、PPI経口薬、スタチン系薬、インフルエンザ治療薬の3領域の推奨薬剤を選定し、昨年10月から地域フォーミュラリの運用を開始した。

 

PPI経口薬はランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾールの後発品を推奨し、スタチンはロスバスタチン後発品を第1推奨、アトルバスタチンとピタバスタチンの後発品を第2推奨とした。

 

一方、抗インフルエンザ薬はオセルタミビルのみを推奨とし、モデル・フォーミュラリで推奨となっているザナミビルとペラミビルは推奨薬が使えない場合のオプションとした。

 

歯科医師会から「歯科領域で使用する医薬品を地域フォーミュラリの対象医薬品にしてほしい」との提案が出され、歯科医師会で使用されている医薬品を調査し、リストアップされた結果から、抗生物質と消炎鎮痛薬をフォーミュラリの対象医薬品に組み入れることを決定した。

 

歯科診療における抗菌薬フォーミュラリでは、「アモキシリン水和物250mg」(先発品:サワシリン)の後発品を推奨し、オプションとして「グリンダマイシン塩酸塩150mg」(先発薬:ダラシン)を用いることを提案している。今月には第2弾として、鎮痛薬もフォーミュラリとして公表する予定だ。

 

武田氏は、これまでの取り組みについて、「地域フォーミュラリが始まってまだ半年なので、事業を検証できる段階ではない」としつつ、「病院や診療所で採用薬や処方薬について意見交換したことで、医薬品が地域でどういう使い方をされているかが分かったのが大きい」と述べ、地域の薬薬連携で大きな収穫があったと強調する。

 

歯科フォーミュラリについては「歯科医師会から在庫管理などの負担軽減から、院外処方箋発行を推進したいとの意見が出た。歯科で管理していた薬剤を薬局で管理できるようになればサポートできる」と話す。

 

その上で、「24年度診療報酬改定でフォーミュラリが改定分野に入る可能性もあり、時代の要請と捉えて薬剤師会としても三師会と協力して推進していきたい」と話している。

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出典:薬事日報

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