医療

OTC薬の小包装化で賛否~業界「利便性損なう」と反対

薬+読 編集部からのコメント

厚労省の「医薬品の販売制度に関する検討会」(6月12日)で濫用の恐れのある一般用医薬品の販売規制をめぐり、意見が二分しました。濫用の恐れのある一般薬を購買し、若年層に依存性患者が増加している現状に対し、構成員からはインターネット販売の中止と小包装のみを販売可とする規制強化が提言。一方、日本チェーンドラッグストア協会や日本OTC医薬品協会の構成員からは「医薬品にアクセスしたい生活者の利便性を損なう」と反対の声が上がっています。

厚生労働省の「医薬品の販売制度に関する検討会」が12日に開かれ、濫用の恐れのある一般用医薬品の販売規制をめぐって議論した。濫用の恐れのある一般薬を購買し、若年層に依存性患者が増加している現状に対し、構成員からはインターネット販売の中止と小包装のみを販売可とする規制強化が提言された。しかし、小包装のみを販売可とする対応策については、日本チェーンドラッグストア協会や日本OTC医薬品協会の構成員から「医薬品にアクセスしたい生活者の利便性を損なう」と反対の声が上がり、意見が割れた。

濫用の恐れのある医薬品の販売に当たっては、購入者が若年層である場合に氏名や年齢の確認を行い、原則として1包装のみを販売するよう求めているが、かぜ薬を中心に1箱の成分総含有量で致死量に達する製品があり、過剰摂取のリスクが指摘されている。

 

宮川政昭構成員(日本医師会常任理事)は「1包装に致死量が入っているというのはあってはならない。小分けをした上で、しっかりとしたリテラシーのもとで販売していくしかないだろう」と述べ、濫用の恐れのある一般薬を小包装化する必要性を訴えた。

 

これに対し、関口周吉構成員(日本チェーンドラッグストア協会理事)は、「濫用の恐れのある医薬品の対象品目は千数百品目もあり、購買額は数千億円、購買件数は億単位になる。(濫用防止は)重要な問題だが、一部の10代の問題だけを強調して言っていいのではなく、それ以外の購買者のことも考えないといけない」と指摘。

 

有効な対応策として、「すぐに効果があるのはネット販売の中止を検討すること。製品の小包装化を実行したとしても、ネット販売では小包装製品を多く買えるので抑止力を持たない」と述べ、ネット販売の中止が先決との考えを示した。

 

山本雅俊構成員(日本OTC医薬品協会事業活動戦略会議座長・薬制委員長)も「かぜ薬にはパーソナルユースと家族が使えるファミリーユースがあるが、ファミリーユースを小さい包装のみの品揃えとすることは生活者の利便性を損なう」と反対姿勢を示し、「販売時の年齢確認が最も効果がある対応策ではないか」と主張した。

 

こうした反論に宮川氏は、「ファミリーユースをパーソナルユースに使われることが問題」と応戦。「小包装にして薬剤師が購入者に必要な数量を確認して販売すれば済む話ではないか」と主張した。

 

山口育子構成員(認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は「OTC薬を家族で飲むケースもあるようだが、『家族で服用する』ときちんと伝えた上で買えばいいのであって、23日分のかぜ薬が一つの包装に入っているのは、少し規制をかけたほうがいいのではないか」と述べた。

 

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出典:薬事日報

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