医療

供給状況の情報提供拡充~包装規格単位、エクセルで

薬+読 編集部からのコメント

日本ジェネリックと日新製薬はDSJP(医療用医薬品供給状況データベース)を運営する一般社団法人asTasとの協議で、医療従事者に向けた供給状況の情報提供を拡充し、全製品の包装規格単位の供給状況一覧データをPDFに加え、エクセルでも自社ウェブサイトに掲載することにしました。一覧データによってDSJPへの入力作業が容易となります。

国内後発品メーカーの日本ジェネリックと日新製薬は、医療用医薬品供給状況データベース(通称:DSJP)を運営する一般社団法人asTasとの協議で医療従事者に向けた供給状況の情報提供を拡充し、全製品の包装規格単位の供給状況一覧データをPDFに加えて、エクセルでも自社ウェブサイトに掲載することにした。一覧データがあるとDSJPへの入力作業は容易になる。こうした動きが各社に広がることで、業界一丸の協力体制によって供給不安に対応している姿勢を社会に示すことになりそうだ。

DSJPは、製薬各社が販売する医療用医薬品の限定出荷や供給停止、販売中止、通常出荷等の情報を幅広く網羅したウェブサイト。代替品を検索する機能もある。医療現場が求める包装規格単位の供給情報をタイムリーに掲載するサイトは他にない。1カ月間の閲覧数が100万PVに達するなど、多数の医療従事者や医薬品卸関係者らが一次情報を確認する社会インフラになっている。

 

asTas運営メンバーは現在、薬局や病院で働く薬剤師3人。毎日各社のウェブサイトを閲覧して供給情報を把握し、DSJPに入力している。運営継続に向けて作業負担の軽減や運営費の確保が課題となっており、後発品メーカー各社の担当者とオンラインで定期的に会合を重ねて連携を働きかけてきたが、その声に呼応して活動に協力する製薬企業が出てきた。

 

日本ジェネリックは、6月末頃から自社ウェブサイトで包装規格単位の「全品目供給状況一覧」(コード付)のエクセル形式データの提供を開始した。約2年前から限定出荷など供給に課題がある医薬品に絞り、包装規格単位の一覧表をPDF形式でウェブサイトに掲載。5月末頃には新たにエクセル形式のデータを追加し、6月末頃から通常出荷品も含めて対象を全品目に広げた。

 

同社営業管理部長の小船洋将氏は「もともとエクセルでデータを提供した方が良いとの考えはあったが、asTasからの声が決め手になって開始した」と話す。医療従事者向けに開示している全製品の供給状況として、包装規格単位の一覧情報を提供している製薬企業は少ない。同社は、卸等流通サイド向けに包装規格単位の情報を発信している部門が医療従事者向け情報も担当しており、スムーズに取り組めたという。

 

日新製薬も6月から、自社サイトで全品目の包装規格単位の供給状況をエクセル形式で提供するようにした。昨年9月からPDFでの提供を開始していたが、さらにエクセルを加えた。

 

同社販売会社の日新薬品で管理部/営業運営課マネージャーを担当する千葉正利氏は、「asTasとの話し合いがきっかけで医療現場の利便性が高いとしてエクセルの提供を始め、そこに各種コードも盛り込んだ」と話す。

 

同社は、ジャストインタイムの考え方で、流通サイドを通じて医療現場の需要を包装規格単位で把握し、製造計画を調整している。供給可能数量などをリアルタイムで可視化し、販社や卸と共有する。こうした取り組みを踏まえ、医療従事者への一覧情報提供も必然的に包装規格単位で行うことになったという。

 

同社社長室の畑田康氏は「供給不安に対して薬剤師の方々が立ち上がり、手弁当で現場で必要とされる情報を提供している。データベースの充実や更新に対して、われわれとしてもできるところは協力したい」と話す。

 

asTas代表理事の山本高大氏(うさぎ薬局)は、両社の協力姿勢を「包装規格単位のエクセルデータがあると、DSJPへの入力作業が容易になる」と歓迎する。日々の情報入力は3人の薬剤師が担当。分担して製薬企業約170社のウェブサイトを巡回し、供給状況に関する情報更新の有無をチェックする。基本的に各社が発出するPDF文書から情報を抽出し、DSJP用のエクセルのフォーマットに入力したものを別の1人が監査する。

 

一連の作業時間は1日1人当たり約90分。包装規格単位の供給状況を一覧で示したエクセルデータがあれば、入力作業の負担が軽くなる。山本氏は、今回の2社にとどまらず、「製薬業界全体として各社が同様のデータを提供するようになってほしい」と期待感を示す。

 

このほか、山本氏は「供給状況の情報が更新された場合、製薬各社からasTasに通知してほしい。卸など流通サイドに連絡する時に、その一つとして加えてもらうだけで良い」と提案する。通知があれば、ウェブサイトを巡回する手間を省ける。実際に両社とは協力関係を構築する検討が進んでいる。

 

山本氏は、製薬各社に向けて「正確な情報を掲載するため協力してほしい。情報があれば通常出荷品などの状況もDSJPに掲載しており、企業からすればアピールのチャンスになる。各社と話し合う機会を持ちたいので、連絡してもらえればありがたい」と呼びかけている。

 

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出典:薬事日報

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