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【医療薬学会年会から】「リハ薬剤」認知度低く~昭和大藤が丘病院調査

薬+読 編集部からのコメント

「リハビリテーション薬剤」の概念を「知っている」と回答した急性期・回復期リハビリテーション病院の医療職はわずか17%にとどまるという調査結果が、医療薬学会年会のシンポジウムで報告されました。その一方、服用薬剤を中止した経験を持つリハビリセラピストの割合は2割にとどまり、薬剤調整を考慮せずにリハビリを中断している事例が示唆される結果に。薬剤師がリハ薬剤に関与していく必要性が示されました。

  薬剤師関与の必要性も

リハビリテーションと薬物療法を一緒に考え、フレイル高齢者の機能や活動、社会参加、QOLを最大限高める「リハビリテーション薬剤」の概念を「知っている」と回答した急性期・回復期リハビリテーション病院の医療職がわずか17%にとどまることが、昭和大学藤が丘病院薬剤部の藤原久登氏の調査で明らかになった。一方、服用薬剤を中止した経験を持つリハビリセラピストの割合はわずか2割と低かった。薬剤調整を考慮せずにリハビリを中断している事例が示唆される結果で、薬剤師がリハ薬剤に関与していく必要性が示された。

 

仙台市内で開催された医療薬学会年会のシンポジウムで報告されたもの。リハ薬剤の手法は、▽薬剤投与によって生じる副作用で機能障害や活動制限、参加制約を認める場合に、リハの訓練内容を考慮して薬剤調整を行うもの▽抗精神病薬やパーキンソン病のように薬の副作用が発現しても、疾患の特性上、薬剤の投与中止が難しい場合にどのようなリハを実施していくかリハビリのプログラムを見直していくもの――の二つがある。

 

主に回復期リハビリテーション病棟でリハ薬剤が行われ、薬によって活動が制限、社会参加に制限が生じていないかなどを患者を全人的に評価していくことが求められている。

 

調査は、同院の回復期リハ病棟に勤務する医師、看護師、セラピスト、急性期病院の全職種を対象に行った。その結果、リハ薬剤の認知率はわずか17%と低いことが分かった。担当患者がリハビリを継続させるために服用薬剤を中止した、中止を検討し提案した経験を聞いたところ、約38.6%が経験していた。

 

担当患者が服用している薬剤の影響により、リハビリを中断せざるを得ない場面を経験した割合は44.9%、回復期病院のセラピストで見ると57.1%と半数以上が経験していた。

 

リハビリの中断やリハビリプログラムの変更よりも薬剤変更を行うことが、セラピストにとってハードルが高い状況がうかがえる結果となった。

 

一方、リハ薬剤に関して薬剤師に相談した経験、相談したい意向を示した割合は44.1%と半数を切った。リハ薬剤の認知が低いものの、薬剤師への相談経験・意向が少なかった調査結果に対し、藤原氏は「薬剤師がリハ薬剤に関与していない、関与していない可能性があることが分かった」と指摘。「リハ薬剤の共通言語を薬剤師が広げて、底上げを図っていく必要があるのではないか」と提言した。

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出典:薬事日報

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