医療

薬剤師の学位取得後押し ~ 薬局出身教員不足解消へ 日本薬剤師会

薬+読 編集部からのコメント

日本薬剤師会が、社会人として働く薬剤師の大学院での学位取得を後押しするため、ホームページ内に支援サイトを立ち上げます。博士号取得を希望する薬剤師の背中を押す入口としての役割を担い、薬局出身の大学教員不足の解消につなげたい考えです。

日本薬剤師会は、社会人として働く薬剤師の大学院での学位取得を後押しするため、ホームページ内に支援サイトを立ち上げる。6月頃の開始を予定し、関心のある薬局薬剤師を対象に、社会人を受け入れている大学院の情報を提供するほか、博士号取得までの流れや働きながら学位を取得した経験者の体験談などを掲載する。博士号取得を希望する薬剤師の背中を押す入口としての役割を担い、薬局出身の大学教員不足の解消につなげたい考えだ。サイトは、岩月進会長が肝いりで立ち上げた日薬大学教員薬剤師部会による成果物の第1弾となる。

 


 

昨年3月に初開催された同部会全国会議では、実務教育の充実に向けた課題として「薬局出身の大学教員の不足」が指摘された。これを受け、日薬と大学が連携し、改善策に取り組むこととなった。理事の山浦克典部会長は、「初年度は支援サイトを通じて1~2人が大学院に入学し、その体験談を共有することで参加者が増えていくスパイラルを期待している」と語る。

 

全国会議には74大学が参加したが、病院薬剤師と比べて薬局現場を経験した大学教員が少なく、薬局薬剤師が博士号を取得するための制度や環境が十分に整っていないとの意見が多く出た。こうした状況を踏まえ、社会人博士課程を希望する薬局薬剤師に対し、大学と日薬が連携して紹介などを行う支援策として、学位取得支援サイトを6月頃からスタートする計画だ。9日に開催される第2回全国会議でも議論を深める。

 

サイトでは学位取得を目指す薬剤師へのメッセージを冒頭に、薬学の学位とは何か、学位を取得する意義やメリット、博士号取得までの流れを分かりやすく解説する。働きながら学位を取得した薬局薬剤師2人の体験談も掲載し、学位取得を目指したきっかけや仕事と学業の両立方法、直面した苦労などを共有できるようにする方針だ。

 

大学院で学びたい志願者からは「どの大学のどの研究室が社会人を受け入れているか分からない」「誰とコンタクトを取ればいいかが分からない」と情報提供に不満の声も聞こえる。社会人の受け入れを行っている大学院については、各大学のウェブサイトや入試情報などを大学院一覧ページにまとめ、サイト訪問者が必要な情報を得やすい構成とする方向だ。

 

日本保険薬局協会(NPhA)が正会員382社を対象に実施した調査では、学会や学術大会への参加経験がない薬局薬剤師が半数に上る実態が明らかになっている。山浦氏は、薬局薬剤師の学位取得が進まない背景として「学位取得者が身近に少ないこと」「キャリアアップに対する動機付けの不足」「病院との研究環境の違い」「勤務体制上の制約」などを挙げる。

 

一方で、「少人数体制の薬局では学会発表などで人員が抜けることが課題だったが、経営者の理解が進み、学会参加を推奨する薬局が増えてきている」と述べ、前向きな変化の兆しも出始めているとした。

 

サイトについて山浦氏は「学位取得の手順を分かりやすく示し、大学選びや受け入れまでの流れを理解しやすくすることで、薬剤師の挑戦を促進する設計としている。学位取得を目指す人の入口として機能し、背中を押す役割を果たしたい」と意義を強調する。

 

薬局薬剤師が学位取得を目指すことにより、大学側には「社会人学生が臨床現場に根ざしたテーマで研究を進めることで、大学と現場の連携強化や薬剤師業務のエビデンス構築が期待できる」とのメリットがある。日薬としても「学位取得を通じて薬剤師の地位向上や他職種からの信頼が高まり、地域医療の質の向上につながる」と効果を見込む。

 

初年度は、サイトを通じて1~2人の大学院入学者を目標に掲げるが、中長期的には「日薬内に学位取得者の部会を設立し、研究推進のコアメンバーとして新たな博士集団が化学反応を起こせれば」と将来構想も描いている。

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出典:薬事日報

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