【厚労科研調査】ジェネリックロス顕在化 ~ 後発品開発断念が4割超
先発品の特許切れ後も後発品が開発・上市されない「ジェネリック・ドラッグ・ロス」が国内で発生している実態が、厚生労働省研究班の調査で明らかになった。2020~24年度に後発品の開発断念または上市見送りを経験した企業は全体の4割超に上り、最大の要因は市場性・採算性の問題だった。複雑な医薬品や臨床試験が必要な医薬品を対象に薬価を10%加算するインセンティブ制度を導入しても、8割超の企業は「開発可能な品目がない」「開発可能であるか分からない」と回答した。
調査は、25年度厚生労働行政推進調査事業費補助金「後発品の安定供給の確保および持続可能な産業構造に向けた開発促進策の立案に資する研究」(研究代表者:立命館大学薬学部間宮弘晃氏)によるもの。後発品が上市されている成分では国内数量シェアが80%を超える一方、特許切れ後も後発品が上市されていない品目が存在することから実態を調査した。
製薬企業124社を対象としたアンケートによると、20~24年度に後発品の開発断念または上市見送りを経験した企業は52社(41.9%)だった。このうち、先発品の市場規模が大きいにも関わらず、後発品が開発されていない、あるいは欧米で後発品が存在するにも関わらず国内で導入されていない「ジェネリック・ドラッグ・ロス」に該当する品目で同様の経験があった企業は11社(17.7%)だった。
開発断念・上市見送りの要因として最も影響が大きかったのは「市場性・採算性の問題」だった。具体的には、先発品市場の規模や薬価の低さが課題として挙げられた。次いで「製剤技術・製造上の困難性」「薬事規制・臨床試験関連のハードル」「競合・制度的不確実性」「流通・管理コスト」が続いた。
製剤技術・製造面では、「原薬の調達が困難」「高額な専用設備投資が必要」との回答が多く、薬事規制・臨床試験関連では、「患者対象の生物学的同等性試験や臨床試験が必要」が最多だった。
後発品の開発促進策や産業構造改善策については、薬価制度の見直しに関して「物価・人件費上昇の反映」が最も重視されたほか、中間年改定の廃止、不採算品再算定の実効性向上を求める声が多かった。国際調和や規制緩和では、「原薬・添加剤規格の相互承認」「日本独自要件の見直し」が挙げられた。
また、複雑な医薬品や臨床試験が必要な後発品について、薬価を10%加算した場合の開発意向を尋ねたところ、「開発可能となる品目がある」と回答した企業は5社(4.1%)にとどまった。「限定的にある」を含めても18社(14.8%)で、「開発可能な品目がない」が53社(43.4%)、「分からない」が51社(41.8%)と、多くの企業が10%加算のみでは開発促進効果は限定的と見ていることが示された。
自由記述では、「薬価を上げるだけでなく毎年の薬価改定で下げないことが重要」「患者試験が必要な品目では10%加算では開発費用を補いきれない」といった意見が寄せられた。
一方、既存医薬品をもとに、剤形変更や新効能追加などを行う改良医薬品の承認を可能とする米国の「505(b)(2)」制度に類似したハイブリッド承認スキームを導入した場合の対応については、「後発品開発の余地がある」が12社(9.8%)、「限定的にある」が43社(35.2%)で、計45.1%の企業が一定の期待を示した。
研究班は、「市場性・採算性の問題の背景には、先発品市場規模や薬価の低さに加え、上市後の薬価下落スピードへの懸念もある。収載時薬価の引き上げだけではなく、中間年改定のあり方や薬価改定ルールの見直しを含めた包括的な対応が求められる」としている。
出典:薬事日報


薬+読 編集部からのコメント
厚労省研究班の調査によりますと、発品の特許切れ後も後発品が開発・上市されない「ジェネリック・ドラッグ・ロス」が国内で発生している実態が明らかになりました。最大の要因は市場性・採算性の問題です。