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29製品が一気に登場‐9月28日付承認医薬品

薬+読 編集部からのコメント

2016年9月28日(水)、厚生労働省は29製品を承認しました。「オプジーボ」の競合薬として話題の抗PD-1抗体「キイトルーダ点滴静注」や国内初の肝性脳症治療薬「リフリキシマ錠」、国内初の経口抗凝固薬(DOAC)に対する特異的中和剤「プリズバインド静注液」など、国内初の製剤も多く承認されています。

国内2番手の抗PD-1抗体‐国内初製剤も相次ぐ

 

厚生労働省が9月28日付で承認した新医薬品では、29製品が一気に登場した。国内2番手の抗PD-1抗体「キイトルーダ点滴静注」、国内初の肝性脳症治療薬「リフリキシマ錠」、国内初の経口抗凝固薬(DOAC)に対する特異的中和剤「プリズバインド静注液」などが特徴といえる。各企業で見ると、MSDが5製品の承認を取得するなど、最も目立った。

 

MSDが多くの新薬を開発

 

キイトルーダ点滴静注:MSD

「キイトルーダ点滴静注20mg、同100mg」(一般名:ペムブロリズマブ)は、T細胞に主に発現する受容体「PD-1」と、腫瘍細胞に主に発現するリガンド「PD-L1」「PD-L2」の相互作用を阻害するヒト化抗ヒトPD-1モノクロール抗体で、根治切除不能な悪性黒色腫に対する効能・効果としている。国内で承認された抗PD-1抗体では2番手製剤となる。製造販売はMSDが行い、販促活動はMSDと大鵬薬品が共同で行う。

 

デザレックス錠:MSD

「デザレックス錠5mg」(一般名:デスロラタジン)は、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎・皮膚掻痒症に伴い掻痒を適応とする第2世代抗ヒスタミン剤。販売は杏林製薬が単独で行う。

 

エレルサ錠/グラジナ錠:MSD

「エレルサ錠50mg」(一般名:エルバスピル)と「グラジナ錠50mg」(一般名:グラゾプレビル水和物)は、ジェノタイプ1型のC型慢性肝炎を対象とするNS5A阻害剤とNS3/4プロテアーゼ阻害剤で、2剤併用で1日1回経口投与する。

 

イニシンク配合錠:武田薬品

「イニシンク配合錠」(一般名:アログリプチン安息香酸塩25mg/メトホルミン塩酸塩500mg)は、2型糖尿病に対するDPP4阻害剤「ネシーナ錠」とメトホルミンの配合剤。DPP4阻害剤とメトホルミンの組み合わせで、日本で唯一の1日1回投与が可能な配合剤となっている。

 

ゼンタコートカプセル:ゼリア新薬

「ゼンタコートカプセル3mg」(一般名:ブデソニド)は、局所作用型の糖質コルチコイドで、小腸・結腸付近部で有効成分のブデソニドを放出するように設計された腸溶性徐放製剤。吸収後は肝臓で速やかな代謝を受け、全身性の副作用が軽減できることが特徴としている。軽症・中等度の活動期クローン病に対する治療を効能・効果とする。

 

エムプリシティ点滴静注用:ブリストル・マイヤーズ・スクイブ

「エムプリシティ点滴静注300mg、同400mg」(一般名:エロツズマブ)は、骨髄腫細胞やナチュラルキラー(NK)細胞の表面に発現している蛋白であるSLAMF7に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体で、再発・難治性の多発性骨髄腫に対してレナリドミド・デキサメタゾンとの併用で投与する。

 

エムプリシティがSLAMF7に結合することで、NK細胞が認識するためのタグとなり、エムプリシティのFc領域とNK細胞上のFc受容体が結合し、NK細胞による抗体依存性細胞傷害(ADCC)が誘導され骨髄腫細胞が死滅する。

 

エビリファイ:大塚製薬

「エビリファイ錠1mg、同錠3mg、6mg、12mg、同散1%、同OD錠3mg、6mg、12mg、同内用液0.1%」(一般名:アリピプラゾール)は、四つ目の適応症となる「小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性」の追加承認を取得した。

 

自閉スペクトラム症は、コミュニケーション障害、対人関係・社会性の障害、パターン化した行動などの症状があり、かんしゃく、攻撃性、自傷行為、またはこれらの複合行為の行動障害(易刺激性)を呈することがある。

 

また同剤は、開始用量である「エビリファイ錠1mg」の剤形追加承認も取得した。

 

アイクルシグ錠:大塚製薬

「アイクルシグ錠15mg」(一般名:ポナチニブ塩酸塩)は、既存のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)に抵抗性・不耐容の慢性骨髄性白血病(CML)と再発・難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)を効能・効果とする。既存のTKIへの抵抗性の原因となるT3151変異による変異型BCR-ABLにも阻害作用を示す。

 

ミケルナ配合点眼液:大塚製薬

「ミケルナ配合点眼液」(一般名:カルテオロール塩酸塩/ラタノプロスト)は、非選択性β遮断薬のカルテオロールと最も汎用されているプロスタグランジン関連薬であるラタノプロストの配合点眼液で、効能・効果は緑内障・高眼圧症。

 

従来は、眼圧が十分に下降しない場合は、複数の点眼液を併用し、点眼する間隔をあける必要があった。

 

リグロス歯科用液キット:科研製薬

「リグロス歯科用液キット600μg/1200μg」(一般名:トラフェルミン)は、組み換え型塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)を有効成分とする世界初の歯周組織再生医薬品で、歯周炎による歯槽骨の欠損を効能・効果とする。

 

bFGFは、生体内に存在し、細胞の増殖や分化の調節を行っている蛋白質の一種で、皮膚、血管、軟骨といった様々な組織の形成に関与している細胞成長因子の一つ。

 

DOAC中和剤は国内初

 

プリズバインド静注液:日本ベーリンガーインゲルハイム

「プリズバインド静注液2.5g」(一般名:イダルシズマブ)は、ヒト化抗体フラグメントとして、トロンピン阻害剤「プラザキサ」の有効成分であるダビガトランエテキシラートの中和剤。DOACに対する特異的中和剤としては国内初。ダビガトランに特異的に結合することで、凝固カスケードを妨げることなく抗凝固作用を中和する。

 

プラザキサを服用中に生命を脅かす出血または止血困難な出血発現時や、重大な出血が予想される緊急を要する手術・処置の施行時で、ダビガトランの抗凝固作用を迅速に中和する必要がある場合に使用される。

 

オビドレル皮下注シリンジ:メルクセローノ

「オビドレル皮下注シリンジ250μg」(一般名:コリオゴナドトロピンアルファ)は、不妊治療を目的とした国内初の遺伝子組み換えヒト絨毛性ゴナドトロピン製剤。「視床下部―下垂体機能障害に伴う無排卵、または希発排卵の排卵誘発性・黄体化、生殖補助医療における卵胞成熟・黄体化」を効能・効果とする。あらかじめ製剤がシリンジに充填されているプレフィルドシリンジ製剤であることから、溶解操作が不要で簡便に投与することが可能。

 

リアルダ錠:持田製薬

「リアルダ錠1200mg」(一般名:メサラジン)は、潰瘍性大腸炎治療薬「メザラジン」の新規ドラッグデリバリーシステム(DDS)製剤。潰瘍性大腸炎の患部である大腸の全域に、持続的に有効成分を放出するように製剤設計されており、活動期・寛解期ともに1日1回投与を可能とした。アイルランドのシャイアーから持田が導入し、開発を行った。

 

イデルビオン静注用:CSLベーリング

「イデルビオン静注用250、同500、同1000、同2000」(一般名:アルブトレペノナコグアルファ)は、血友病Bに対する半減期延長型の遺伝子組み換え血液凝固第IX因子アルブミン融合蛋白質製剤で、アルブミンを遺伝子レベルで血液凝固第IX因子と結合させる世界初の独自技術を取り入れている。

 

ビラノア錠:大鵬薬品

新規経口アレルギー性疾患治療薬「ビラノア錠20mg」(一般名:ビラスチン)について、「アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒」で承認を取得した。スペインのファエス・ファルマが創製した第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬で100カ国・地域以上で承認されている。国内では大鵬薬品とMeiji Seika ファルマが国内共同販売を行う。

 

肝性脳症治療薬にも注目

 

リクラスト点滴静注液:旭化成ファーマ

「リクラスト点滴静注液5mg」(一般名:ゾレドロン酸水和物)は、スイスのノバルティスが創製した年1回点滴静脈内投与のビスホスホネート製剤。国内の独占的開発・販売権を取得した旭化成ファーマが骨粗鬆症の適応で承認を取得した。海外115カ国以上で承認されている。

 

シグニフォーLAR:ノバルティスファーマ

「シグニフォーLAR筋注用キット20mg、同40mg、同60mg」(一般名:パシレオチドパモ酸塩)は、ホルモンを過剰分泌する良性腫瘍で発現しているソマトスタチン受容体に結合、活性化することにより、ホルモン分泌を抑制するSSA製剤。今回、「先端巨大症・下垂体性巨人症」の適応を取得した。第1世代のSSAと比較し、多くの患者で成長ホルモンとインスリン様成長因子(IGF-1)のコントロールを達成し、顕著な腫瘍体積の縮小や先端巨大症の臨床症状の改善傾向を示した。

 

リフリキシマ錠:あすか製薬

「リフリキシマ錠200mg」(一般名:リファキシミン)は、「肝性脳症における高アンモニア血症の改善」という国内初適応を取得したリファマイシン系の難吸収性抗菌薬。イタリアのアルファ・ワッサーマンが創製・開発し、あすか製薬が導入した。腸内細菌に作用し肝性脳症の主な原因となるアンモニア産生量を減少させ、肝性脳症における高アンモニア血症を改善する。

 

ブリリンタ錠:アストラゼネカ

「ブリリンタ錠60mg、同90mg」(一般名:チカグレロル)は、急性冠症候群・陳旧性心筋梗塞の適応を取得した。血小板のADP受容体(P2Y12)を直接的・可逆的に阻害することで効果を発揮する経口抗血小板薬。作用発現に肝臓での代謝活性化を必要としないため、早期からの血小板凝集阻害作用が得られ、投与終了後に速やかに作用が消失する。また、代謝酵素の遺伝子多型による影響を受けず、効果の患者個体差が少ないのが特徴。

 

ミカトリオ配合錠:日本ベーリンガーインゲルハイム

「ミカトリオ配合錠」は、アンジオテンシン1受容体拮抗薬(ARB)の「ミカルディス錠」(一般名:テルミサルタン)、持続性カルシウム拮抗薬のアムロジピン、チアジド系利尿薬のヒドロクロロチアジドをそれぞれ80mg、5mg、12.5mgを含有するフィルムコーティング錠で、高血圧症を適応に承認を取得した。

 

これまでのテルミサルタン製剤と同様に、日本ベーリンガーインゲルハイムが製造、アステラス製薬が販売、両社で共同販促を行う。

 

非感染性ぶどう膜炎の薬剤も

 

ヒュミラ:アッヴィ

「ヒュミラ皮下注20mgシリンジ0.4mL、同40mgシリンジ0.8mL、同シリンジ0.4mL、同皮下注80mgシリンジ0.8mL」(一般名:アダリムマブ)は、既存治療で効果不十分な非感染性の中間部、後部、汎ぶどう膜炎に関して、原疾患を問わず使用可能な初の生物学的製剤。主に副腎皮質ステロイドが治療に用いられるが、視力低下や失明につながる非感染性ぶどう膜炎に関与するTNF-αを阻害し、新たな治療選択肢を提供する。

 

ヴィキラックス配合錠:アッヴィ

「ヴィキラックス配合錠」(一般名:オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル)は、C型肝炎治療薬でジェノタイプ2型の適応を追加した。ジェノタイプ1型に加え、2型のC肝患者にも使用できるようになる。

 

ヴィキラックスに対する過敏症の既往歴を持つ患者、中等度以上の肝機能障害がある患者、腎機能・肝機能障害があり、コルヒチンを投与中の患者が禁忌とされたほか、使用上の注意として、B型肝炎ウイルス感染の患者、既往感染者に対しては慎重投与すべきとした。

 

ウプトラビ錠:日本新薬

「ウプトラビ錠0.2mg、同0.4mg」(一般名:セレキシパグ)は、アクテリオンファーマシューティカルズジャパンと国内で共同開発した肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬で、既にPAH治療剤として欧米各国などで承認、販売されている、世界初の経口投与可能な選択的プロスタサイクリン(IP)受容体作動薬。

 

血管拡張作用や血管平滑筋細胞の増殖阻害作用などによって、PAHに対して長期的な有効性を示す。

 

ジャクスタピッドカプセル:アエゲリオン・ファーマシューティカルズ

「ジャクスタピッドカプセル5mg、同10mg、同20mg」(一般名:ロミタピドメシル酸塩)は、経口のミクロソームトリグリセリド転送蛋白質(MTP)阻害薬で、他の経口脂質低下薬で効果不十分、忍容性が不良な場合に投与が検討されるホモ接合体家族性高コレステロール血症を効能・効果に承認を取得した。

 

小胞体内腔に存在するMTPに直接結合することで、肝細胞・小腸上皮細胞内でトリグリセリドをアポ蛋白B含有のリポ蛋白質への転送を阻害し、血漿中LDLコレステロール濃度を引き下げる。米国を本拠とするアエゲリオン・ファーマシューティカルズが開発を進めた。

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出典:薬事日報

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