”漢方”に強くなる! まるわかり中医学 公開日:2015.03.02更新日:2020.11.02 ”漢方”に強くなる! まるわかり中医学

第17回 中垣亜希子 先生

ちょっとした体調不良など、病気としての症状を起こす前の段階「未病」での手当てを可能にしてくれる中医学。今回は、薬膳薬局巣鴨店の中垣亜希子先生に中医学の考えを取り入れたセルフメディケーションの方法についてうかがいました。全6回シリーズです。

Q
6つの体質それぞれの特徴はわかりました。それでは、中医学に基づいて患者さんの体質に合わせた手当てをするためには、たとえばどのような方法があるのでしょうか。

『その人の“体質”に合わせ、体の弱点を補う治療』が中医学の考え方

 

“体質”によって手当ての仕方は千差万別

 

高血圧の治療を例にして、手当ての仕方についてみていきましょう。高血圧の場合は漢方薬と食材の組み合わせで、原因となる体質の改善を目指します。

 

中医学では、高血圧の原因の多くは血行不良や血液の汚れなど『瘀血(おけつ)』によるものと考えます。その他にも、ストレス型の『気滞(きたい)タイプ』、エネルギー不足型の『陰虚(いんきょ)タイプ』、血液が足りない『血虚(けっきょ)』タイプなど、おおまかに全部で4タイプに分けられます。

 

<瘀血タイプ>
最小血圧が高い人に多くみられる体質です。中性脂肪・コレストロール・HbA1cなどの数値が高い人も、瘀血タイプといえますね。体質改善には、ベニバナ・ウコン・センキュウ・タンジンなど様々な漢方薬を用います。
また、いわし・サンマなどの青魚、玉ねぎ・らっきょう・長ねぎ・にんにく・にら・長ねぎ・生姜などの辛み野菜、黒きくらげ・黒豆・黒酢などの黒い食品が、血行を改善し老廃物を排出します。ウコン茶、ローズティ、柿の葉茶などのお茶もおすすめです。

 

<気滞タイプ>
最大血圧が高い人に多くみられるタイプです。イライラ・気分の落ち込みなど精神的なストレスで一時的に、血圧が大きく上昇することもあります。体質改善には、ハッカ・コウブシ・サイコなどの漢方薬を用います。
その他に、香り野菜(紫蘇・セロリ・せり・三つ葉・ミント)、柑橘類、ゆり根、くこの実、菊の花、苦瓜、きゅうり、トマト、スイカ、もやし、春雨などの食材が、滞った『気』の巡りをよくし気持ちを安定させ、こもった熱をとってゆきます。
香りの良いものは気の巡りを良くするため、ミントティー・菊の花茶・ハブ茶・柿の葉茶・アールグレティ・ジャスミンティ・ローズティなどのお茶やアロマテラピーもおすすめです。

 

<陰虚タイプ>
高齢の方や慢性高血圧の方に多くみられます。今回はお話しできませんでしたが、『五臓六腑』のうち、肝心要の存在である、『肝(かん)』と『腎(じん)』の弱りが深くかかわります(『肝心要』という言葉は本来、『肝腎要』と書きます。『肝腎要』は中医学からきた言葉で、『肝』と『腎』が互いに助け合って命の根本を支えていることから、大切なことをそう言うようになりました)。体質改善には、サンヤク・くこの実・ジオウなどの漢方薬を用います。
また、山芋類(長芋・自然薯・大和芋など)・納豆・アワビ・すっぽん・はまぐりなどのヌルヌル食材、黒米・黒ごま・黒豆などの黒色の食材、豆腐、バナナ、杜仲茶、黒豆茶などの食材がおすすめです。

 

<血虚タイプ>
女性や高齢の方、胃腸が弱い方に多くみられます。体質改善には、トウキ・シャクヤク・ジオウなどの漢方薬を用います。
その他に、黒米・黒豆・黒きくらげ・プルーン・黒砂糖など黒色の食材、ニンジン・トマト・なつめなどの赤色の食材、牡蠣・ほうれん草・レバーなどの補血食材、ほうじ茶、紅茶がおすすめです。

 

中医学では、乱れたバランスを整えて元に戻すことで、心身を健康にし、その結果「自然と血圧が下がる」というところを目標とします。
瘀血タイプの人は血液がサラサラになってくると、血圧が改善されるだけではなく、このタイプの方に見られがちな肩こりや頭痛・生理痛など体全体が改善されてきます。
このように中医学では、特定の病気や症状をピンポイントで治療するのではなく、その人の体がもつ弱点を補う治療を行います。そのため自然と体全体のバランスが整い、まだ表面化していない病気やトラブルの芽を事前に摘み取ることができます。結果として、体を良い方向にもっていくことができるのです。

『その人の“体質”に合わせ、体の弱点を補う治療』が中医学の考え方

 

“体質”によって手当ての仕方は千差万別

 

高血圧の治療を例にして、手当ての仕方についてみていきましょう。高血圧の場合は漢方薬と食材の組み合わせで、原因となる体質の改善を目指します。

 

中医学では、高血圧の原因の多くは血行不良や血液の汚れなど『瘀血(おけつ)』によるものと考えます。その他にも、ストレス型の『気滞(きたい)タイプ』、エネルギー不足型の『陰虚(いんきょ)タイプ』、血液が足りない『血虚(けっきょ)』タイプなど、おおまかに全部で4タイプに分けられます。

 

<瘀血タイプ>
最小血圧が高い人に多くみられる体質です。中性脂肪・コレストロール・HbA1cなどの数値が高い人も、瘀血タイプといえますね。体質改善には、ベニバナ・ウコン・センキュウ・タンジンなど様々な漢方薬を用います。
また、いわし・サンマなどの青魚、玉ねぎ・らっきょう・長ねぎ・にんにく・にら・長ねぎ・生姜などの辛み野菜、黒きくらげ・黒豆・黒酢などの黒い食品が、血行を改善し老廃物を排出します。ウコン茶、ローズティ、柿の葉茶などのお茶もおすすめです。

 

<気滞タイプ>
最大血圧が高い人に多くみられるタイプです。イライラ・気分の落ち込みなど精神的なストレスで一時的に、血圧が大きく上昇することもあります。体質改善には、ハッカ・コウブシ・サイコなどの漢方薬を用います。
その他に、香り野菜(紫蘇・セロリ・せり・三つ葉・ミント)、柑橘類、ゆり根、くこの実、菊の花、苦瓜、きゅうり、トマト、スイカ、もやし、春雨などの食材が、滞った『気』の巡りをよくし気持ちを安定させ、こもった熱をとってゆきます。
香りの良いものは気の巡りを良くするため、ミントティー・菊の花茶・ハブ茶・柿の葉茶・アールグレティ・ジャスミンティ・ローズティなどのお茶やアロマテラピーもおすすめです。

 

<陰虚タイプ>
高齢の方や慢性高血圧の方に多くみられます。今回はお話しできませんでしたが、『五臓六腑』のうち、肝心要の存在である、『肝(かん)』と『腎(じん)』の弱りが深くかかわります(『肝心要』という言葉は本来、『肝腎要』と書きます。『肝腎要』は中医学からきた言葉で、『肝』と『腎』が互いに助け合って命の根本を支えていることから、大切なことをそう言うようになりました)。体質改善には、サンヤク・くこの実・ジオウなどの漢方薬を用います。
また、山芋類(長芋・自然薯・大和芋など)・納豆・アワビ・すっぽん・はまぐりなどのヌルヌル食材、黒米・黒ごま・黒豆などの黒色の食材、豆腐、バナナ、杜仲茶、黒豆茶などの食材がおすすめです。

 

<血虚タイプ>
女性や高齢の方、胃腸が弱い方に多くみられます。体質改善には、トウキ・シャクヤク・ジオウなどの漢方薬を用います。
その他に、黒米・黒豆・黒きくらげ・プルーン・黒砂糖など黒色の食材、ニンジン・トマト・なつめなどの赤色の食材、牡蠣・ほうれん草・レバーなどの補血食材、ほうじ茶、紅茶がおすすめです。

 

中医学では、乱れたバランスを整えて元に戻すことで、心身を健康にし、その結果「自然と血圧が下がる」というところを目標とします。
瘀血タイプの人は血液がサラサラになってくると、血圧が改善されるだけではなく、このタイプの方に見られがちな肩こりや頭痛・生理痛など体全体が改善されてきます。
このように中医学では、特定の病気や症状をピンポイントで治療するのではなく、その人の体がもつ弱点を補う治療を行います。そのため自然と体全体のバランスが整い、まだ表面化していない病気やトラブルの芽を事前に摘み取ることができます。結果として、体を良い方向にもっていくことができるのです。

中垣亜希子先生プロフィール
中垣亜希子先生プロフィール
すがも薬膳薬局代表。国際中医師、国際中医薬膳師、 医学気功整体師 、日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー、管理薬剤師。
薬局の漢方相談のほか、中医学・薬膳料理の執筆・講演を務める。
東京薬科大学薬学部卒業。長春中医薬大学、国立北京中医薬大学、国立北京中医薬大学日本校にて中医学を学ぶ。「顔をみて病気をチェックする本」(PHPビジュアル実用BOOKS猪越恭也著)の薬膳を担当執筆。
すがも薬膳薬局: http://www.yakuzen-sugamo.com/

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