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困ったときに薬(やく)立つ、薬剤師の接遇・マナー
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Q131 認知症患者さんとのコミュニケーションで気を付けること
Q131 認知症患者さんとのコミュニケーションで気を付けること
在宅訪問サービスで認知症患者さんのお宅に伺うことになりました。患者さんは80代の男性で、奥さまとふたり暮らしのようです。認知症患者さんとコミュニケーションをとる際どのようなことに気を付けたら良いでしょうか?

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否定せず、いったん受け入れてから対応する
在宅医療における薬剤師の役割は、医薬品の専門家として、薬の正しい飲み方を説明したり副作用・相互作用を確認したりして、患者さんのQOLや治療効果を高めることです。認知症の患者さんの場合、認知機能の低下により服薬管理が難しい点もありますので、十分注意したいところです。
 
認知症の患者さんに見られる服薬上の問題点としては、薬の飲み忘れ、飲み間違い、嫌がって薬を飲まないこと等が考えられます。いずれも、認知機能の低下によるところが大きいと思いますが、ここで気を付けたいのが、患者さんとのコミュニケーション。
 
たとえ患者さんが間違ったことを言ったとしても、否定することなく一旦受け入れることが大切です。「でも」「だけど」「違います」のような否定的な言葉も控えましょう。服薬を忘れたことについて指導しているつもりでも、言い方によっては患者さんが「責められている」「否定された」と感じるかもしれません。患者さんの自尊心を傷つけてしまうこともあるため要注意です。
 
記憶障害によって、薬を飲んだのに飲んだこと自体を忘れている場合、「まだ飲んでいない」と患者さんがさらに薬を求めてくることがあります。また飲もうとする患者さんに「もう飲んだから、飲む必要はありません」と否定したり、「さっき飲んだでしょ」と頭ごなしに言い返したりするのもNG。「そうですね、お薬を飲んでないんですね」というように患者さんの話を受けいれます。「薬が足りなかった」と患者さんが言ったときも、「そうですか、薬が足りなかったんですね」などと調子を合わせます。患者さんの発する言葉にとらわれずに、患者さんが安心する言葉を落ち着いて返すことが大切です。
 

家族の話にも耳を傾け、悩みや苦労に共感を示しましょう
今回の相談は、奥さまとふたり暮らしという事例ですから、患者さん本人に説明しても理解が得られない場合は、奥さまの協力を求めて、服薬管理を依頼することが可能かもしれません。
 
このような場合に欠かせないのが、理解と協力を得るための家族とのコミュニケーションです。患者さん本人の話を丁寧に聞くのはもちろん大切ですが、家族の話にもきちんと耳を傾けましょう。家族から相談があれば親身になって聴き、悩みや苦労に共感を示します。家族からの情報を在宅医療チームで共有すれば、薬物治療の効果を高めるだけでなく、他職種の医療介護サービスの質を高めることにもつながります。なお、家族の協力を得るのが難しい場合は医師に相談して剤形や服薬時間を変更するなどの対応が必要です。
 
認知症の患者さんから怒られたり責められたりすることもあると思います。決して相談者さんが悪いわけではありませんから、病気の影響であると理解して、うまく聞き流すことも覚えてほしいと思います。
 
不安を一番感じているのは認知症の患者さん本人です。わかりやすい言葉で説明し、忘れてしまったときに備えて繰り返し伝えるなど、本人の不安を取り除くことに努めましょう。認知症状の改善につながると理解し、薬物治療のプロとして患者さん目線の対応を心がけてほしいと思います。
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患者さんが間違っていても否定せずに受け入れ、本人と家族の不安に共感を示しましょう。
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村尾 孝子
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
薬剤師さんからの質問大募集!村尾孝子先生が、あなたの質問にお答えします
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