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最新 薬剤師業界のTopicsをラク〜にまとめ読み 医薬NEWS超楽読

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2019年12月にピックアップするのは、患者さんの社会生活に大きな影響を及ぼしかねない「市販類似薬」の問題と「後発医薬品」の現状について。両トピックとも重要事項ですので薬剤師のみなさんは詳細をしっかり確認しておきましょう。

市販類似薬が保険対象外に/後発医薬品の調剤割合が約80%に達する

ラク~にまとめ読み
  • Topics 1 市販類似薬が保険対象外に——薬剤師の役割はどう変わる?
  • 感冒薬、花粉症薬、湿布薬、漢方薬、皮膚保湿剤などの軽度の症例に使用する市販類似薬が保険対象外となる見込み。医療費抑制を目的とした提案だが、医療機関から足が遠のくことでかえって医療費が増大するのではないかという懸念点が指摘されている。
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  • Topics 2 後発医薬品の調剤割合が約80%に達する——2年前より16.5ポイント上昇
  • 後発医薬品の調剤割合は2019年4月~6月の期間で77.1%。「一般名処方加算」により後発品の使用が促進されたことや、薬剤師により疑義照会や患者さんの意思確認が広く行われた結果と考えられる。
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Topics 1 市販類似薬が保険対象外に——薬剤師の役割はどう変わる?

2019年11月30日、政府は、同等の効果があるため市販薬で代替可能な「市販類似薬」を公的医療保険の対象から除外する方向で調整していることが明らかになりました。どの市販類似薬を保険適用の対象外とするかについては現在検討中とのことです。市販類似薬を保険適用外にするとの案は、2019年8月に健康保険組合連合会が提唱していたもの。政府も全世代型社会保障改革の一環としてこの案を支持し、来年以降、実現に向けた取り組みを進めていくとしています。

今回、保険適用の対象外となるのは、感冒薬、花粉症薬、湿布薬、漢方薬、皮膚保湿剤などの軽度の症例に対して使用する市販類似薬とされています。これまで、同等の効果がある市販薬を調剤薬局やドラッグストアなどで全額自己負担により購入せずに、病院を受診して市販類似薬の処方を受けることで経済的に(少ない窓口負担で)入手することが可能でした。そのため、患者さんが市販類似薬を入手するために必ずしも必要とはいえない受診をするケースがあり、医療費の増大や医療機関の負担が問題となっていました。

健康保険組合連合会によれば、病院で処方される市販類似薬に係る医療費は年間で2000億円以上とのこと。超高齢化がますます進んでいく今後も医療費の増大が予想されるため、厚労省の方針を「必要な改革」と評価する声も聞かれます。

また近年、非常に高額なオプジーボやキムリアなどのがん治療薬が相次いで登場し、政府はこれらの薬を必要とする患者さんのために保険適用を認めました。がんなどの「大きなリスク」に「公助」で対処する一方、「小さなリスク」である軽症の患者さんには可能な限り「自助」で対処してもらおうという政府の方針は、財源が限られる中でやむを得ない選択かもしれません。

日本医師会などは、軽症の患者さんが自己判断で市販薬に頼りきりになると、医療機関から足が遠のき背景にある重病の発見が遅れる可能性があることや、それにともなって結果的に医療費が増大する可能性があることなどを挙げ、政府の方針に反対の立場を取っています。

いずれにせよ、市販類似薬が保険適用外になれば、調剤薬局やドラッグストアで勤務する薬剤師の役割はさらに重要になります。日本医師会が主張する通り、医学的知識の少ない患者さんにとって自身の症状から健康リスクの度合いを的確に判断するのは難しいことです。医療機関での早急な治療が必要であるにもかかわらず、市販薬のみを使用し重症化するケースも増加することが予測されます。

そのため、薬剤師は患者さんの誤った自己判断による重症化を防ぐゲートキーパーとしての役割をいっそう期待されるようになるのではないでしょうか。市販薬を購入する患者さんの相談に乗り、的確なアドバイスを行うといった従来の業務も重要性を増していきます。薬剤師のみなさんは、薬剤の知識はもちろん医学的知識の習得に努め、健康に関する話題には常にアンテナを張りましょう。患者さんの症状を的確に把握したり、その人に合った薬剤を提案したりできるよう、日頃から細やかなコミュニケーションを心がけることも大切です。

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Topics 2 後発医薬品の調剤割合が約80%に達する——2年前より16.5ポイント上昇

2019年11月15日の中央社会保険医療協議会総会で了承された「後発医薬品の使用促進策の影響及び実施状況調査報告書」によれば、2019年4~6月の保険薬局における後発品の調剤割合は77.1%でした。2017年度同期から16.5ポイントも上昇しており、後発品の使用が急増していることが分かります。

これは、2012年度より導入された「一般名処方加算」により後発品の使用促進が後押しされた結果だと考えられます(前出の報告書によると、一般名処方の割合は2018年度から8.2ポイント上昇し51.5%になっている)。しかし、要因はそれだけではなく、薬剤師から医師への働きかけや疑義照会、患者さんの意思確認などが広く行われるようになったことも影響しているはずです。

ご存じの通り、後発品は先発品より安価で医療費を低く抑えることができます。成分は先発品と同一なので、効果や副作用の発現にほとんど差はないとされています。増大する医療費を抑え、適切な医療資源の配分ができるように、後発品の使用促進は今後も重要となるでしょう。

薬剤師に期待される取り組みは、患者さんに後発品の正しい知識を伝え、積極的に使用するよう働きかけることです。患者さんに正しい知識を伝えるためには、続々と誕生する後発品について勉強が必要です。日々の業務がある中ですべてを把握するのは困難ですが、研修会などを活用して積極的に知識のアップデートを続けることをおすすめします。

<参考URL>
市販類似薬は保険対象外 病院処方の風邪薬など 医療費抑制へ政府調整(産経新聞、2019年12月1日)
【19年度改定調査】後発品調剤、8割に迫る-一般名処方も大きく前進(薬事日報2019年11月18日)

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※この記事に掲載された情報は2019年12月26日(木)時点のものです。

執筆/成田亜希子(なりた あきこ)

医師・ライター。2011年に医師免許取得後、臨床研修を経て一般内科医として勤務。その後、国立保健医療科学院や結核研究所での研修を修了し、保健所勤務の経験もあり。公衆衛生や感染症を中心として、介護行政、母子保健、精神福祉など幅広い分野に詳しい。日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会に所属。

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