- 1.かかりつけ薬剤師とは?
- 2.かかりつけ薬剤師として薬学管理料を算定するための施設基準
- 2-1.施設基準の要件①薬剤師の勤務経験
- 2-2.施設基準の要件②認定薬剤師などの資格取得
- 2-3.施設基準の要件③地域活動への参画
- 2-4.施設基準の要件④患者さんのプライバシーへの配慮
- 3.かかりつけ薬剤師が算定できる指導料と包括管理料
- 3-1.かかりつけ薬剤師指導料
- 3-2.かかりつけ薬剤師包括管理料
- 4.かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の算定要件のポイント
- 4-1.かかりつけ薬剤師指導料とかかりつけ薬剤師包括管理料の算定要件の違い
- 4-2.一元的で継続的な服薬管理・服薬指導
- 4-3.同意書の取得
- 4-4.かかりつけ薬剤師が対応できない場合の対処法
- 4-5.加算など算定における注意点
- 4-6.その他の算定要件
- 5.かかりつけ薬剤師として患者さんを担当するためには
- 6.「かかりつけ薬剤師はいらない」と患者さんにいわれてしまう理由
- 6-1.費用がかかるイメージがある
- 6-2.薬剤師を1人に絞らなければならない
- 6-3.患者さんがかかりつけ薬剤師を自由に選べるわけではない
- 6-4.そもそも、かかりつけ薬剤師を必要としていない
- 7.かかりつけ薬剤師の声かけをするタイミング
- 7-1.患者さんから質問を受けた時
- 7-2.かかりつけ薬剤師の業務を行った時
- 7-3.来局頻度の高い患者さんへ服薬指導をした時
- 8.かかりつけ薬剤師はコミュニケーション能力を磨くことも大切
1.かかりつけ薬剤師とは?
かかりつけ薬剤師とは、担当患者さんが服用している薬などのさまざまな情報を継続的・一元的に把握し、24時間体制で患者さんからの薬の相談に乗ったり、治療のサポートを行ったりする薬剤師のことです。
もちろん、かかりつけ薬剤師でなくても、処方薬の飲み合わせや副作用の有無、市販薬や健康食品との飲み合わせなどを確認しなければなりません。しかし、かかりつけ薬剤師になることで、服用歴や治療経過を把握しやすくなり、さまざまなケースでスムーズに対応できるようになるでしょう。
例えば、患者さんの中には、体調が悪くなったので病院を受診したいものの、都合がつかず、とりあえず市販薬で様子を見たいという人もいるでしょう。そうした時に、かかりつけ薬剤師に相談することで、安心して市販薬を選択できるようになります。
そのほか、深夜に発熱して病院受診ができない場合や誤って重複服用してしまった時などに、時間を問わず相談できるので、かかりつけ薬剤師は患者さんにとって頼りになる存在です。
かかりつけ薬剤師は、普段の生活で困ったことが起こったときに気軽に相談できる医療従事者としての役割を担います。
参照:かかりつけ薬剤師・薬局とは?|日本薬剤師会
2.かかりつけ薬剤師として薬学管理料を算定するための施設基準
かかりつけ薬剤師として「かかりつけ薬剤師包括管理料」や「かかりつけ薬剤師指導料」などの薬学管理料を算定するためには、まず施設基準をクリアし、地方厚生局長等に届け出る必要があります。施設基準は、以下の4つの要件を全て満たす保険薬剤師が配置されていることです。
2-1.施設基準の要件①薬剤師の勤務経験
薬剤師の勤務経験に関する要件は3つあります。
1.保険薬剤師としての薬局勤務経験年数が3年以上であること
2.勤務している薬局での勤務時間が週32時間以上であること
3.勤務している薬局の在籍期間が継続して1年以上であること
上記全てをクリアした場合のみ、勤務経験の要件を満たします。
ただし、薬局勤務経験については、病院で薬剤師として勤務していた期間は1年を上限として期間に含めてよいとされています。つまり、病院勤務経験が3年であったとしても、カウントされるのは1年のみ。加えて調剤薬局における勤務経験が2年以上必要になるということです。
勤務先の薬局での勤務時間や期間は、直近の継続が条件となります。例えば5年間在籍していた薬局を一度退職した場合、再雇用の際には在籍期間がリセットされます。再雇用の場合は、過去にどんなに長く働いていたとしても、過去の勤務期間は考慮されません。
また、育児休暇を挟んで勤務している場合、育児休暇期間は勤務経験としてカウントされません。育児休暇期間を除いて3年以上の薬局勤務経験と、1年以上の在籍期間が必要となります。
勤務時間については、2018年度改定で育児や介護などをする人への配慮がなされ、育児などのために短時間勤務を行う場合、週24時間以上かつ週4日以上の勤務が基準とされました。
ただし、短時間勤務を行う薬剤師のみで届出を行うことはできません。同じ薬局で、他に週32時間以上勤務をするかかりつけ薬剤師がいることが条件となっています。
2-2.施設基準の要件②認定薬剤師などの資格取得
薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度などの研修認定を取得していることも、かかりつけ薬剤師の要件です。薬剤師認定制度認証機構が認証しているプロバイダーの種類は、大きく以下の4つに分かれます。
● 特定領域認定制度:P(日本在宅薬学会など)
● 専門薬剤師認定制度:S
● その他の薬剤師認定制度:E(東北大学大学院薬学研究科)
2023年3月時点では、薬剤師認定制度認証機構が認証している「専門薬剤師認定制度:S」は記載がありません。しかし、『保険調剤Q&A 令和4年版』(日本薬剤師会・編)には、一般社団法人日本医療薬学会の認定制度も研修認定として認められていることが記載されています。かかりつけ薬剤師を目指すのであれば、該当するプロバイダーで研修認定を受けましょう。
また、資格取得までの工程や更新時の条件は、各プロバイダーによって違いがあります。
● 必要な単位取得数、年限
単位として認められる研修についても異なり、インターネットで受講できるもの、各薬剤師会が地域で主催する講習などと幅広くあります。
例えば、日本薬剤師研修センターの場合、資格の取得時と更新時に以下のような条件があります。
● 更新時:3年ごとに30単位以上を取得すること。少なくとも毎年5単位以上取得すること
これらが資格取得・更新の条件として挙げられています。勤務状況や都合に合わせて、柔軟に受講できる工夫がなされていますが、短い期間でまとめて単位を取得するのは難しいかもしれません。年間を通して計画的に受講することが大切です。
また、各プロバイダーの研修での取得単位には、互換性を持たせていることがあります。複数のプロバイダーの研修を受けて単位を取得し、それらを合計して好きなプロバイダーへ申請し認定を受けることも可能です。プロバイダーによって「他プロバイダーからの受け入れ単位数は●単位まで」などと独自のルールを設けていることがあるため、事前に確認しておきましょう。
薬局の中には、e-ラーニング研修などを実施する団体と契約し、認定取得をバックアップしている例もあります。就職・転職を考える時には、職場選びの一つのポイントになるかもしれません。
2-3.施設基準の要件③地域活動への参画
「医療に係る地域医療活動の取組に参加していること」も要件となります。地域医療への参画とは、「地域包括ケアシステムを構築するための活動」「地域住民とのつながり」「顔が見える関係が築けるような活動」をすることです。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
● 学校薬剤師として子供たちに薬の適正使用についての説明
● 地域ケア会議など多職種が連携して定期的かつ継続的に行われている医療・介護に関する会議
● 地域の行政機関や医療介護関係団体などが主催する住民への研修会などへの主体的、継続的な参加
● 行政機関や地域医師会、歯科医師会、薬剤師会の協力の下で実施している休日夜間薬局としての対応、休日夜間診療所への派遣
一方、メーカーが主催する勉強会への参加は、「地域活動」としては認められていません。2015年に発表された「患者のための薬局ビジョン」では、2025年までに全ての保険薬局にかかりつけ機能を持たせるという方針が示されています。
参照:「患者のための薬局ビジョン」~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~ を策定しました|厚生労働省
今後は、薬局に勤務する薬剤師は、かかりつけ薬剤師であることが“普通”になっていくと予想されます。かかりつけ薬剤師を目指す人は、上記5つの要件を踏まえ、積極的に研修を受講するなど計画的に取り組みましょう。
2-4.施設基準の要件④患者さんのプライバシーへの配慮
4点目は2020年度診療報酬改定で新設された要件です。「患者との会話のやりとりが他の患者に聞こえないようパーテーション等で区切られた独立したカウンターを有するなど、患者のプライバシーに配慮していること」が施設基準に加わりました。
かかりつけ薬剤師として服薬指導を行う場合は、プライバシーを守りながら対応できるスペースを確保しなければなりません。
3.かかりつけ薬剤師が算定できる指導料と包括管理料
かかりつけ薬剤師として薬学管理料を算定するための施設基準を満たすと、「かかりつけ薬剤師指導料」もしくは「かかりつけ薬剤師包括管理料」を算定できます。それぞれの保険点数を見ていきましょう。
3-1.かかりつけ薬剤師指導料
「かかりつけ薬剤師指導料」は、要件を満たした保険薬剤師が患者さんの同意を得て必要な指導等を行った場合に、処方箋受付1回につき算定できます。
かかりつけ薬剤師指導料は2020年度の診療報酬改定後、76点に変更され、以前より3点アップしています。
3-2.かかりつけ薬剤師包括管理料
「かかりつけ薬剤師包括管理料」は、医療機関で地域包括診療加算もしくは認知症地域包括診療加算を算定されている患者さんのかかりつけ薬剤師として、患者さんから同意を得た上で処方箋受付1回につき所定点数を算定できます。
かかりつけ薬剤師包括管理料は、2020年度の診療報酬改定後291点に変更され、以前より10点アップしています。
🔽 かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料について詳しく解説した記事はこちら
4.かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の算定要件のポイント
「かかりつけ薬剤師指導料」と「かかりつけ薬剤師包括管理料」の算定要件を見てみましょう。
4-1.かかりつけ薬剤師指導料とかかりつけ薬剤師包括管理料の算定要件の違い
「かかりつけ薬剤師指導料」と「かかりつけ薬剤師包括管理料」の算定要件に大きな違いはありません。
「かかりつけ薬剤師指導料」の算定要件に「地域包括診療加算もしくは認知症地域包括診療加算を算定している患者」を加えたものが、「かかりつけ薬剤師包括管理料」の算定要件となります。続いて、共通の算定要件について見ていきましょう。
4-2.一元的で継続的な服薬管理・服薬指導
かかりつけ薬剤師は保険医と連携して患者さんの服薬状況を一元的・継続的に把握することになります。そのため、患者さんは複数の調剤薬局それぞれでかかりつけ薬剤師を持つことはできません。かかりつけ薬剤師の重複を防止するためにも、お薬手帳などにかかりつけ薬剤師の氏名や勤務先について記載するよう定められています。
また、全ての服用薬を管理するため、処方薬や市販薬、サプリメントなどの服用歴についても聞き取り、薬歴やお薬手帳に記録。加えて、自宅にある残薬整理を促す「ブラウンバッグ運動」についても周知することが求められています。
🔽 服薬指導について詳しく解説した記事はこちら
4-3.同意書の取得
かかりつけ薬剤師に関する指導料を算定するためには、必ず対応する薬剤師本人が、患者さんから同意書を取得しなければなりません。
かかりつけ薬剤師を持つメリットや費用などを説明後、取得した同意書は薬局で保管し、薬歴にも記載します。また、育児や介護などにより週の勤務時間が32時間に満たない場合は、勤務時間が通常より短いことを説明する必要があります。
なお、同意書を取得した当日は算定ができないため、次回の処方箋受付時以降に算定しましょう。
🔽 かかりつけ薬剤師の同意書の取得について詳しく解説した記事はこちら
4-4.かかりつけ薬剤師が対応できない場合の対処法
前述した通り、原則はかかりつけ薬剤師が対応することになりますが、不在時などやむを得ない場合は、他の薬剤師が服薬指導を行います。その際は「かかりつけ薬剤師指導料」の代わりに「薬剤服用歴管理指導料(特例)59点」を算定します。
薬剤服用歴管理指導料(特例)は、2022年度の診療報酬改定で新しく新設された項目です。直近の調剤で、かかりつけ薬剤師が対応した患者さんが対象となっており、やむを得ない事情でかかりつけ薬剤師が対応できない場合に、患者さんの同意を得た上でかかりつけ薬剤師と連携を取っている薬剤師が服薬指導を行った場合に算定できます。
また、24時間相談に応じる体制を取るため、開局時間外の連絡先や勤務表などを渡すことになっています。勤務時間外や深夜などかかりつけ薬剤師が対応できない時間帯は、他の薬剤師が対応する旨を伝えることで、かかりつけ薬剤師以外の薬剤師が勤務時間以外の時間帯に対応可能になります。
4-5.加算など算定における注意点
かかりつけ薬剤師指導料については、要件を満たすことで以下の加算項目を算定できます。
● 特定薬剤管理指導加算1、2
● 乳幼児服薬指導加算
● 小児特定加算
かかりつけ薬剤師包括管理料については、上記の加算を算定できないため注意しましょう。また、「薬剤服用歴管理指導料」・「かかりつけ薬剤師指導料」・「かかりつけ薬剤師包括管理料」は同時に算定することができない薬学管理料です。服薬指導を行った場合は該当するいずれかの一つを算定することになります。
4-6.その他の算定要件
薬剤師としての通常業務ともいえますが、「かかりつけ薬剤師指導料を算定する患者さん以外の患者への服薬指導や、地域住民からの相談に対しても丁寧に対応した上で、必要に応じて保険医療機関へ受診勧奨を行うよう努めること」も算定要件に含まれています。
5.かかりつけ薬剤師として患者さんを担当するためには
かかりつけ薬剤師指導料を算定する患者さんは通常より多くの医療費を負担することになります。かかりつけ薬剤師は、この負担額に見合った医療を提供することが求められるでしょう。
普段の服薬指導に加え、よりプライベートに踏み込んだ指導を行うことで、生活習慣や患者さんの価値観にさらに寄り添った服薬サポートができます。
丁寧なサポートを行うためには、処方薬だけでなく市販薬やサプリメントなど幅広い薬の知識を深めることに加え、患者さんが気軽に相談できるような人柄であることが大切です。
どんなことでも気軽に話せる相手になることで、些細な体調の変化に気がついたり、生活習慣を詳細に把握できたりすることで、アドヒアランス向上につながるでしょう。かかりつけ薬剤師は今以上に身近な存在になるよう努力が必要です。
🔽 かかりつけ薬剤師に必要な心構えを紹介した記事はこちら
🔽 アドヒアランスについて詳しく解説した記事はこちら
6.「かかりつけ薬剤師はいらない」と患者さんにいわれてしまう理由
患者さんに声かけをしても「かかりつけ薬剤師はいらない」といわれてしまうことがあります。ここでは、断られる理由について考えてみましょう。
6-1.費用がかかるイメージがある
かかりつけ薬剤師によって、費用がかかると考える患者さんもいます。かかりつけ薬剤師を持たない時の服薬管理指導料は、45点または59点。かかりつけ薬剤師指導料は76点であることから、点数の差は、17~31点です。患者さんの負担額は、50~90円ほど増すことになります。
こうした具体的な費用を把握しておらず、イメージだけで拒否感を持つ人もいるかもしれません。かかりつけ薬剤師を持つように勧める時は、まず費用の説明をするとよいでしょう。
それでも「かかりつけ薬剤師はいらない」といわれる場合には、どのような業務をしているのか、かかりつけ薬剤師を活用するメリットなどを改めて伝えてみましょう。
6-2.薬剤師を1人に絞らなければならない
患者さんは、かかりつけ薬剤師を1人しか持つことができません。複数の薬局を利用している患者さんの中には、それぞれの薬局に頼りにしている薬剤師がいる場合もあるでしょう。かかりつけ薬剤師を持つということは、基本的には利用する薬局を1つに絞るということを意味します。
もちろん、かかりつけ薬剤師が在籍する薬局以外から薬をもらうことは可能ですが、その時は別の薬局にかかりつけ薬剤師がいることを伝えなければなりません。複数の薬局にそれぞれ頼りにしている薬剤師がいる患者さんは、自身の担当となる薬剤師を1人に絞るのが難しいと感じて、受け入れ難いのかもしれません。
そうした患者さんには、来局頻度の高い薬局の薬剤師をかかりつけ薬剤師に選ぶよう説明するのも、一つの方法です。
6-3.患者さんがかかりつけ薬剤師を自由に選べるわけではない
頼りにしている薬剤師にかかりつけ薬剤師になってほしいと考える患者さんもいることでしょう。しかし、前述した通り、かかりつけ薬剤師になるには、在籍する薬局や薬剤師自身がさまざまな要件をクリアする必要があります。
患者さん自ら、かかりつけ薬剤師を希望しても、薬局や薬剤師側が要件を満たしていないために対応できないこともあります。そうした経験から、「かかりつけ薬剤師はいらない」と思ってしまうかもしれません。
患者さんが自由に選べないことがある点も、かかりつけ薬剤師を断られる理由となります。自身が指名された時を想定し、かかりつけ薬剤師の条件をクリアしておくことが大切です。
6-4.そもそも、かかりつけ薬剤師を必要としていない
医療機関で薬を処方してもらうのは、風邪を引いた時やけがをした時だけといった患者さんもいます。あるいは、継続的に服用している薬は1、2種類程度で、服薬管理に困っていないと考える人もいるでしょう。
定期的に医療機関を受診しない人や受診していても服用している薬の数が少ない場合、薬剤師のサポートを必要としない傾向にあります。そういった患者さんにかかりつけ薬剤師の声かけをしたとしても、「かかりつけ薬剤師はいらない」と断られるのは容易に想像できます。
しかし、サプリメントや市販薬などを服用しているなど、薬剤師の聞き取りによって把握できる服用歴がある患者さんには、幅広くサポートできる点をお伝えすると、かかりつけ薬剤師の必要性が伝わるかもしれません。
7.かかりつけ薬剤師の声かけをするタイミング
かかりつけ薬剤師の声かけをするのであれば、患者さんのニーズを見極める必要があるでしょう。ここでは、患者さんへ声かけをするタイミングについてお伝えします。
7-1.患者さんから質問を受けた時
まずは、かかりつけ薬剤師を必要としているかどうかを見極めることが大切です。判断基準として、自身の健康や服薬管理に不安や悩みを抱えている点があげられるでしょう。
中でも、毎回何らかの質問や相談をする患者さんは、かかりつけ薬剤師の声かけをする候補といえます。質問や相談の多い患者さんに服薬指導を行った際は、かかりつけ薬剤師の声かけをしてみてはいかがでしょうか。
7-2.かかりつけ薬剤師の業務を行った時
患者さんから副作用の問い合わせがあったり、他薬局に服薬情報を確認したり、医師へ情報共有や処方提案を行ったりといった対応は、かかりつけ薬剤師が行う業務です。
これらは、どの薬剤師も行う業務ではありますが、専属で24時間サポートできるといった、かかりつけ薬剤師を持つメリットを伝えることで、患者さんは安心して薬物治療を受けられるでしょう。かかりつけ薬剤師の業務を行った時も患者さんに声をかけるタイミングといえます。
7-3.来局頻度の高い患者さんへ服薬指導をした時
かかりつけ薬剤師は、いつ連絡が来ても対応できるように、患者さんの情報をある程度、頭に入れておく必要があります。そのため、常連の患者さんは薬歴を確認しなくても、顔や名前、服用薬や治療歴といった情報がわかる場合、その患者さんのかかりつけ薬剤師になるための準備ができているといえるでしょう。
また、複数の診療科にかかっている患者さんは来局頻度が多い傾向にあり、中には、月に数回来局する患者さんもいることでしょう。そういった患者さんがかかりつけ薬剤師を持つと、薬歴の確認作業が短縮できる上に、重複投与や副作用などにも気がつきやすくなります。来局頻度の高い患者さんへ服薬指導を行った時も、かかりつけ薬剤師の声かけをするタイミングです。
8.かかりつけ薬剤師はコミュニケーション能力を磨くことも大切
薬剤師は日々医療に関するあらゆる知識を蓄積し、患者さんに還元するように求められます。さらに、患者さんと良好な関係を築くためのコミュニケーション能力を身に付けることも大切です。豊富な知識やスキルに加え、信頼できる人柄を心がけ、患者さんが健康に関するすべてを任せたくなるかかりつけ薬剤師を目指しましょう。
※本記事は下記の参考URLを参考に2023年3月時点の情報をまとめたものです。最新の情報は 厚生労働省「薬局・薬剤師に関する情報」をご参照ください。
🔽 かかりつけ薬剤師がコミュニケーションスキルを高める方法を紹介した記事はこちら
🔽 かかりつけ薬剤師の夜間電話対応について詳しく解説した記事はこちら
■ 平成28年度診療報酬改定及び薬剤関連の診療報酬改定の概要|厚生労働省
■ 平成30年度診療報酬改定 かかりつけ薬剤師・薬局の評価|厚生労働省
■ 研修認定薬剤師制度に関するQ&A|日本薬剤師研修センター
■ 薬剤師認定制度認証機構
■ (書籍)日本薬剤師会・編『保険調剤Q&A 令和4年版』(じほう、2022年)
執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)
薬剤師ライター。2児の母。大学卒業後、調剤薬局→病院→調剤薬局と3度の転職を経験。循環器内科・小児科・内科・糖尿病科など幅広い診療科の経験を積む。2人目を出産後、仕事と子育ての両立が難しくなったことがきっかけで、Webライターとして活動開始。転職・ビジネス・栄養・美容など幅広いジャンルの記事を執筆。趣味は家庭菜園、裁縫、BBQ、キャンプ。
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