薬剤師のスキルアップ 公開日:2025.10.09 薬剤師のスキルアップ

薬剤師のキャリアプランにはどんなものがある?面接で聞かれたときの例文も紹介

文:秋谷侭美(薬剤師ライター)

薬剤師の中には、明確なキャリアプランは立てていないという人もいるかもしれません。しかし、キャリアプランを立てることは、目標達成に向けて積極的に業務に取り組み、自己研鑽を続けるモチベーションにもつながります。本記事では、薬剤師がキャリアプランを立てるときのポイントや、キャリアプランの例を解説するとともに、キャリアプランについて面接で聞かれたときの例文、キャリアアップを目指す方法などについてもお伝えします。

1.薬剤師がキャリアプランを立てる重要性とは?

薬剤師として成長し続けていくためには、将来のビジョンを明確にして、計画的にスキルや知識を習得していくことが大切です。薬剤師がキャリアプランを立てることは、働き続けるためのモチベーションとなるだけでなく、充実した人生を送ることにもつながります。
 
ここでは、薬剤師がキャリアプランを立てる重要性についてお伝えします。

 

1-1.将来のビジョンが明確になる

現実的かつ戦略的なキャリアプランを立てるためには、どのような職種で活躍したいのか、管理職を目指すのか、あるいは薬剤師として専門性を深めたいのかを具体的に考える必要があります。
 
そのため、キャリアプランを立てることは、将来のビジョンを明確にする大きな手がかりとなるでしょう。

 

1-2.必要となるスキルや知識が分かる

前述した通り、キャリアプランを立てることで、自身の理想像が明確になります。そのため、理想を実現するために必要なスキルや知識もはっきりするでしょう。
 
目標に向かって努力するべきことが分かり、計画的に自己研鑽を積み重ねることができます。

 

1-3.モチベーションアップにつながる

キャリアプランを明確化することは、日々の業務に対してのモチベーションの維持・向上につながるでしょう。また、スキルアップや知識の習得にも積極的に取り組みやすくなります。
 
モチベーションを上げるためには、短期的な目標と長期的な目標を立てるのがおすすめです。小さな成功を積み重ねることで、大きな目標に対する達成意欲も高まっていくでしょう。

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2.薬剤師のキャリアプランの例

薬剤師のキャリアプランは、職種によって異なります。ここでは、職種ごとのキャリアプランの例を紹介します。

 

2-1.薬局薬剤師

薬局薬剤師のキャリアプランとしては、新卒から数年は薬剤師としてのスキルや知識の習得を積み重ね、中堅クラスになったら管理薬剤師やエリアマネージャーなどの管理職を目指すのが一般的でしょう。
 
認定薬剤師や専門薬剤師の資格取得、コミュニケーションスキルの向上などを図りながら、後輩薬剤師の育成を行う指導者として活躍する道もあります。
 
ベテラン薬剤師の中には、独立や開業を視野に入れたり、製薬企業などの他業種への転職にチャレンジしたりする人もいるでしょう。

 
🔽 薬局薬剤師について解説した記事はこちら

 

2-2.病院薬剤師

病院薬剤師は、新卒から数年間は薬局薬剤師と同様に、薬剤師として身に付けておくべき基本的なスキルや知識の習得を目指します
 
中堅クラスになると、チーム医療に積極的に関与するとともに、臨床研究や学会発表を行ったり、認定薬剤師や専門薬剤師の資格取得を通して専門性を高めたりすることができるでしょう。
 
薬剤師としてのキャリアを積んでいくと、薬剤部の主任や部長といった管理職へステップアップし、病院の運営に関わる業務を行うこともあります。

 
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2-3.ドラッグストア薬剤師

ドラッグストア薬剤師も、薬局薬剤師や病院薬剤師と同様に、新卒から数年は薬剤師に必要な基本スキルの習得に集中することになるでしょう。
 
OTC医薬品や調剤業務、健康相談など幅広い業務を行いながら、管理薬剤師や店舗責任者を目指して経営やマネジメントのスキルを習得します。
 
次のステップとしては、複数店舗を管理するエリアマネージャーや、本部で経営戦略を行う本部職への昇進などが挙げられます。

 
🔽 ドラッグストア薬剤師について解説した記事はこちら

 

2-4.企業薬剤師

薬剤師が企業に就職する場合、MRやCRA・CRC、薬学研究者などの職種が挙げられます。
 
基本業務やそれぞれの職種の専門業務を習得し、経験を積みながら、チームリーダーや課長、部長などへの昇進を目指します。

 
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2-5.その他

その他には、公務員薬剤師やフリーランスとして活躍したり、独立や開業をしたりするキャリアプランがあります。
 
公務員薬剤師は、保健所や厚生労働省などの行政関連の職場に就職し、基本業務を習得しながら、専門性を高めて管理職への昇進を目指すことができます。
 
フリーランス薬剤師や独立・開業を目指す場合は、計画的に薬剤師としての経験や知識を積み上げた上で、各種手続きや経営に関するノウハウについても学んでいく必要があるでしょう。

 
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3.薬剤師としてのキャリアプランを面接で聞かれたときの例文

薬剤師としてのキャリアプランを面接で聞かれたときは、自身のキャリアプランが志望先の強みやビジョンと合致していることを示すのが大切です。
 
ここでは、調剤薬局または病院でキャリアプランについて聞かれたときの例文を紹介します。ただし、以下で紹介するのはあくまで例文なので、志望先に合わせた内容の回答を考えておきましょう。

 

3-1.調剤薬局の場合

私は、患者さんに寄り添った服薬指導を行い、地域医療に貢献できる薬剤師を目指しています。まずは調剤業務や服薬指導のスキルを磨き、患者さんの健康をサポートできるよう努めていきたいです。
 
将来的には、管理薬剤師として薬局の運営に関わり、後輩薬剤師の指導・育成にも携わりたいと考えています。また、御社が注力している在宅医療の分野にも興味があり、訪問薬剤管理指導の経験を積んで、地域の患者さんの健康維持・増進に貢献したいです。

 
🔽 薬剤師が薬局への転職を成功させるポイントについて解説した記事はこちら

 

3-2.病院の場合

私は、病院薬剤師としてチーム医療に積極的に関わり、患者さんの治療をサポートできる薬剤師を目指しています。まずは病棟業務や服薬指導のスキルを磨き、医師や看護師と連携を取りながら、患者さんに最適な薬物療法を提供できるよう努めます。
 
将来的には、感染制御やがん治療などの専門薬剤師を取得し、御院でより高度な医療に貢献したいと考えています。また、臨床研究や学会発表にも挑戦し、病院薬剤師としての専門性を高めていきたいです。

 
🔽 薬剤師が病院で面接を受けるときのマナーについて解説した記事はこちら

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4.薬剤師がキャリアプランを立てるときのポイント

薬剤師としてこれからの道を考えるなら、まずはこれまでの経験を見直して、自分なりの理想のキャリア像を描いてみましょう。ここでは、キャリアプランを立てるときのポイントをお伝えします。

 

4-1.キャリアの棚卸しを行う

まずは自己分析を行い、これまでに培ったスキルや知識などを洗い出します。過去の経験をリストアップして、職務経歴書を時系列に整理しましょう。
 
担当した業務や成果、達成した目標などを具体的に書き出します。同時に、業務を通じて習得した専門知識、資格のほか、コミュニケーションやリーダーシップなどのスキルもリスト化します。
 
自身の強みや改善点を把握することで、今後のキャリアプランをより現実的に立てることができるでしょう。

 

4-2.具体的なキャリアビジョンを定める

5年後、10年後の自分がどのような立場にあり、どのようなスキルや専門知識を備えていたいのかを具体的にイメージすることは、キャリア形成を考える上で欠かせません。
 
明確なビジョンを持つことで、目指す方向性が定まり、日々の行動にも戦略性が生まれます。「専門性を高めたい」「仕事とプライベートを両立したい」など、自分の価値観に合わせたキャリアビジョンを定めましょう。
 
短期、中期、長期で目標を設定し、目標を達成するためにやるべきことを洗い出すと、より具体的なキャリアプランを作成できます。

 

4-3.ライフステージの変化も考慮する

キャリアプランは一度決めたらそこで終わりではなく、ライフステージの変化に対応していくため、定期的に見直していくことが大切です。
 
例えば、結婚や子育て、親の介護、自身の健康状態の変化などにより、キャリアプランを変更しなければならないこともあります。そういった変化を考慮して、定期的に見直していきましょう。
 
20代、30代、40代と目標を定めて、ライフステージの変化に対応したキャリアプランを考えるのも良いでしょう。
 
例えば、子育てや介護のための休職制度や時短勤務が活用できる企業に転職するなど、長く働ける環境を選ぶことも選択肢のひとつといえます。

5.薬剤師がキャリアアップを目指すには?

薬剤師がキャリアアップを目指すのであれば、理想のキャリアを目指せる環境に身を置き、スキルや知識を習得することが大切です。
 
ここでは、薬剤師がキャリアアップを目指すためのポイントを紹介します。

 

5-1.マネジメントスキルを身に付ける

薬剤師が管理職へのキャリアアップを目指すには、マネジメントスキルが求められます
 
自分の業務だけでなく、チーム全体の動きを意識したり、経営の視点を持って業務の効率化や改善を考えたりするようにしましょう。

 
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5-2.専門性を高めるために資格を取得する

キャリアアップのために、専門性を高めることも大切です。業務に必要な専門知識を身に付けたり、理想のキャリアを実現するために必要な知識・スキルを習得したりしましょう。
 
認定薬剤師や専門薬剤師、コミュニケーションスキルやマネジメントスキルなどに関する資格取得を目指して、計画的に自己研鑽することが大切です。

 
🔽 認定薬剤師の資格について紹介した記事はこちら

 
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5-3.理想のキャリアを実現できる職場に転職する

理想のキャリアを実現するためには、目標を達成できる環境に身を置くことも大切です。例えば、専門薬剤師を取得したいのであれば、症例の多い医療機関や学会発表をサポートしてくれる医療機関などに就職すると、資格取得の近道となるでしょう。
 
現職では目標を達成するのに時間がかかったり、難しかったりするのであれば、転職を検討するのも一案です。

6.最適なキャリアプランを立てよう

薬剤師の働き方は、薬局や医療機関などで勤務する以外にも、企業や公務員への就職、フリーランスや独立など多岐にわたる選択肢があります。
 
また、「専門性を高めたい」「ワークライフバランスを意識したい」など重視する価値観によって、理想のキャリアプランは異なるでしょう。
 
充実した人生を送れるように、価値観、目標などを明確にして、自身に合ったキャリアプランを立てましょう。

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執筆/秋谷侭美(あきや・ままみ)

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。