【薬学教育協議会調査】初任給バブルがピークに~薬局は男女「30万円超」が最多
■超売り手市場、高額化に拍車
薬学教育協議会がまとめた「2019年3月薬系大学卒業生・大学院修了者就職動向調査」によると、6年制学科卒業生で最も就職者が多かった薬局の初任給の分布は、男女共に「30万円以上」が最多となった。昨年に比べて男性では「30万円以上」の割合が増加に転じ、「24万~26万円」と「26万~28万円」の割合が減少。女性でも「30万円以上」の割合が増えており、初任給バブルはかつてないピークに達した。同協議会は「依然として平均金額に男女格差がある」と分析しているものの、初任給の高額化に一層拍車がかかっている格好だ。病院・診療所薬局の初任給は「20万~22万円」「22万~24万円」が最も多い傾向は変わらず、初任給が最も高額なのはドラッグストアなどの医薬品販売業となった。
初任給の調査は、就職者8826人のうち6893人(卒業生の78.1%)からの回答をもとに集計したもの。初任給は本俸を原則としつつ、職域・職場による解釈が異なる場合があることから、全体の傾向についての解析結果を示している。
初任給が最も高額な職種はドラッグストアなどの医薬品販売業で、昨年と同様、男女共に「30万円以上」が最多となった。男性の49.0%、女性の55.7%が「30万円以上」との回答で、売り手市場を背景に高止まりが続いている傾向に変わりはない。
就職者が最も多い保険薬局の初任給は「16万~18万円」から「30万円以上」まで幅が見られたが、男性では「30万円超」が最多となった。昨年と比べて「30万円以上」の割合はさらに増加し、全体の31.4%と3割を突破。一方で「24万~26万円」と「26万~28万円」の割合は減少しており、初任給の高額化が一層進んだ格好となった。
女性でも「30万円以上」が最多となり、次いで「24万~26万円」「26万~28万円」「28万~30万円」の順となった。同協議会は「女性は男性と比べると低い金額層により多く分布しており、依然として平均金額に男女格差がある」と指摘しているものの、昨年と比べて高い給与分布の「30万円以上」「28万~30万円」の割合が増加し、昨年よりも金額が増加していると考えられた。
薬局の初任給で男女合わせると「30万円以上」が最多となった。薬局・ドラッグストアの初任給はさらに上昇傾向を示し、「30万円以上」が最も多いという“超売り手市場”のバブルがピークに達した状況がうかがえる。
国立大学病院など国立系病院薬局の初任給は、男女共に「20万~22万円」が最も多い傾向に変化はなく、男性の56.2%、女性の50.2%と半数以上を占めた。次いで「22万~24万円」が多かった。公務員給与の初任給も「20万~22万円」と考えられ、国立系病院薬局の就職者の初任給は、半数近くが「20万~22万円」の範囲にある例年の傾向を示した。
公立大学病院や自治体系病院薬局の初任給について見ると、男性は「20万~22万円」「22万~24万円」の割合がほぼ同率だったが、女性では「22万~24万円」の割合が最も多かった。昨年は「22万~24万円」の割合が「20万~22万円」の約1.5倍に達するなど給与は上昇傾向を示したが、今年は大きな差は見られていない。私立大学病院・一般病院薬局の初任給は男性が「20万~22万円」、女性は「22万~24万円」が最も多かった。
一方、製薬企業など医薬品関連企業の初任給は、職種によってバラツキが大きいものの、ほとんどが「20万~30万円以上」の範囲にあった。
開発・学術職、医薬情報担当者(MR)、研究・試験・製造職は共に「24万~26万円」が最も多かったが、研究・試験・製造職の女性については、「22万~24万円」が最も多く、開発・学術職、MR、研究・試験・製造職では初任給が「30万円以上」となった人も見られている。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
6年制学科卒業生で最も就職者が多かった薬局の初任給の分布によりますと、男女共に「30万円以上」が最多となっており、初任給バブルはかつてないピークに達している模様です。初任給が最も高額なのは売り手市場を背景に高止まりが続いているドラッグストアなどの医薬品販売業で、病院・診療所薬局の初任給は「20万~22万円」「22万~24万円」が最も多い傾向です。