薬剤師会

地域医療連携へ手引き~入退院時の情報共有など【日本病院薬剤師会】

薬+読 編集部からのコメント

日本病院薬剤師会は、外来や入退院時に、医療機関の薬剤師が薬局薬剤師や他施設の医療従事者と情報共有を図ることを目的とした「地域医療連携の手引き」(第1版)をまとめました。この手引きは、▽地域医療連携の目的・導入・体制構築・運用▽保険医療機関における地域医療連携の実際▽地域医療連携を充実させるための方法▽教育・研修体制で構成されており、これを参考にすることで、安心で安全な薬物療法が切れ目なく提供される地域の広がりが期待されます。
日本病院薬剤師会 地域医療連携の手引き(Ver.1)
https://www.jshp.or.jp/banner/guideline/20200423.pdf

日本病院薬剤師会は、「地域医療連携の手引き」(第1版)をまとめた。外来や入退院時に、医療機関の薬剤師が薬局薬剤師や他施設の医療従事者と情報共有を図ることを目的に作成されたもので、地域医療連携の目的やきっかけをはじめ、具体的な運用例、必要な教育・研修体制などを示している。手引きを参考にすることで、安心で安全な薬物療法が切れ目なく提供される地域の広がりが期待されている。

 

手引きは、▽地域医療連携の目的・導入・体制構築・運用▽保険医療機関における地域医療連携の実際▽地域医療連携を充実させるための方法▽教育・研修体制――で構成している。

 

地域医療連携の目的では、病院薬剤師と薬局薬剤師が情報共有を図ることの重要性を指摘。双方が患者の薬物療法に関する情報を互いに共有し、医療安全を確保するためには共通認識を持ち、患者情報を確実に引き継ぐなどして、薬剤師職能を果たす体制を作る必要があるとした。

 

連携の範囲については、近隣薬局など特定の施設と連携すれば患者が限られてしまうと指摘。全患者を対象に、薬剤師はもちろん医師など全ての医療従事者との間で連携体制を構築し、地域包括ケアに向けて介護従事者との連携も視野に入れるべきとした。

 

また、連携のためのツールとしては、お薬手帳や施設間情報連絡書(薬剤管理サマリー)、服薬情報提供文書(トレーシングレポート)を挙げ、それぞれの活用方法を示した。

 

地域医療連携の導入に当たっては、病院薬剤師と薬剤師会の連絡会やお薬手帳の活用を考える会など、日常業務をテーマとする勉強会を薬剤師同士で開催することがきっかけになるとしている。

 

地域医療連携の実際については、外来や入院、退院時における運用例を紹介。外来では、化学療法のレジメン内容の共有をベースに、医療機関と地域が一体となり副作用のモニタリングを行うことや、地域から医療機関に対する取り組みとして、薬局薬剤師から薬剤部門に届くトレーシングレポートの活用によって連携が円滑になるとした。

 

地域医療を充実させるための方法では、医療機関内の地域連携部門の活用法や、連携先となっている医療機関や薬局からの情報収集方法などを提示。

 

そのうち、医療機関の薬剤師と薬局薬剤師の守備範囲については、原則として入院以前に薬局で調剤した分は薬局薬剤師、入院中に調剤した分は退院後でも飲み切るまでは医療機関の薬剤師が責任を持つべきと指摘。医療機関の薬剤師と薬局薬剤師が十分に連携し、医療安全の確保を図ることが重要とした。

 

薬剤師同士の連携に焦点を当てた教育・研修体制の具体例としては、▽地域全体で行う薬学生実務実習終了報告会▽トレーシングレポートに関する勉強会▽ハイリスク薬の管理に関する勉強会▽薬局薬剤師への後方支援▽薬局との医療安全情報の共有や現場確認――を挙げた。

 

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出典:薬事日報

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