薬局間連携で「ハブ薬局」~無菌調剤や災害など対応
厚生労働省の「薬局薬剤師の業務および薬局の機能に関するワーキンググループ」が19日に開かれ、地域における薬局間連携で「ハブ機能」を担う薬局を設ける厚労省案に肯定的な意見が相次いだ。災害等対応に関しては、行政や医師会、薬剤師会が中心となって対応を検討する必要性が示される一方、薬剤師会の協力姿勢を疑問視する声も上がった。
地域包括ケアシステムの構築を目指す中、小規模薬局が単独で多様な薬局・薬剤師サービスを提供するのは難しいため、地域で求められるサービスを提供するには薬局間の連携が不可欠とされている。この日の作業部会で厚労省は、地域連携のあり方として薬局間連携の中心となる「ハブ薬局」を位置づけ、各薬局が連携を通じ特色あるサービスを提供していく姿を示した。
ハブ薬局は、地域内の薬局が持つ多様なリソースを把握し、連携のハブ機能や個別薬局では難しいサービス提供などを担うとした。薬局間の連携内容としては▽無菌調剤▽災害対応▽医薬品の融通――などを例示した。
橋場元構成員(日本薬剤師会常務理事)は、「ハブ薬局という新しい類型を作るのとは異なるし、全国にハブ薬局を作るのも違う」とハブ薬局設置ありきの案に慎重姿勢を示す一方、「地域のステークホルダーが連携のあり方を話し合い、その結果としてハブ機能を持つ薬局があっても良い」と地域医療計画の中で位置づけるべきとの考えを述べた。
藤井江美構成員(日本保険薬局協会常務理事)は、へき地など医療資源が少ない地域での活用を挙げ、「医療機関も毎日は開いていない中、地域を支える意味で調整の役割を担う薬局も必要」と賛同した。
猪口雄二構成員(日本医師会副会長)は「人材や設備が充実しているチェーン薬局がハブ薬局を担うようになれば、チェーン薬局と個人薬局の問題が出てくるので、どう整理するかが難しい」と指摘。「小規模薬局の質を上げる方向に行かないと、なかなかうまくまとまらない話」とした。
山口育子構成員(ささえあい医療人権センターCOML理事長)も、「大手チェーン薬局はスタッフの異動が多い」として、薬局間の信頼関係構築に影響が出ることを懸念した。
また、災害や新興感染症の発生時に備えた対応に関して、橋場氏は「多職種が一堂に会して決めることが必要で、その中に地域の薬剤師会が関わることが絶対に大事」との認識を示した。
しかし、佐々木淳構成員(医療法人社団悠翔会理事長)は、在宅療養となった新型コロナウイルス患者への対応を引き合いに「大手チェーン薬局が患者宅に医薬品を届け、地域の在宅患者の死亡率を確実に下げた」と評価した一方、「薬剤師会は門前払いだった。公的業務は薬剤師会が出てくると聞いているが、ほとんど機能していない」と対応を批判した。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
4月19日、厚労省の「薬局薬剤師の業務および薬局の機能に関するワーキンググループ」が開かれ、地域における薬局間連携で「ハブ機能」を担う薬局を設置するという厚労省案に肯定的な意見が相次ぎました。地域包括ケアシステムの構築を目指す中、小規模薬局が単独で多様な薬局・薬剤師サービスを提供するのは困難なため、地域で求められるサービスを提供するには薬局間の連携が不可欠とされています。