オーソライズドジェネリック(AG)は、一般的に有効成分だけでなく、添加物や製法などが先発品と同じ後発品のことを指します。本記事では、オーソライズドジェネリックの概要や種類、先発品・一般的なジェネリック医薬品の違いについて解説するとともに、メリット・デメリットと服薬指導の注意点についてもお伝えします。

- 1.オーソライズドジェネリック(AG)とは?
- 1-1.ジェネリック医薬品とは?
- 2.オーソライズドジェネリックと先発品の違い
- 3.オーソライズドジェネリックと一般的なジェネリック医薬品の違い
- 4.オーソライズドジェネリックの種類
- 5.オーソライズドジェネリックのメリット
- 5-1.患者さんへの提案がしやすい
- 5-2.生産・供給体制が安定している
- 6.オーソライズドジェネリックのデメリット
- 6-1.他のジェネリックより薬価が高くなる場合がある
- 6-2.販売の有無が確認しにくい
- 6-3.先発品メーカーの利益構造に影響がある
- 7.薬剤師がオーソライズドジェネリックの服薬指導をするときのポイント
- 8.オーソライズドジェネリックへの理解を深めよう
1.オーソライズドジェネリック(AG)とは?
オーソライズドジェネリック(AG)とは、先発品メーカーの許諾を受けた後発品メーカーが製造するジェネリック医薬品のことです。英語で書くとAuthorized Generic(許諾を受けたジェネリック)となり、略して「AG」と呼ばれています。
オーソライズドジェネリックの定義は明確ではないものの、一般的には有効成分や原薬、添加物、製法などが先発品と同一であるジェネリック医薬品を指します。
オーソライズドジェネリックは、先発品メーカーと契約を交わした後発品メーカーや、先発品メーカーの完全子会社によって製造されます。
中には、同じ製造工場で製造されるものもあり、先発品との違いが名称や識別コードだけであるオーソライズドジェネリックも存在します。
参考:医薬品の安定供給について|厚生労働省
1-1.ジェネリック医薬品とは?
ジェネリック医薬品とは、先発品と有効成分の含量や効果が同等であると認められた医薬品を指します。先発品メーカーと無関係な後発品メーカーが製造する一般的なジェネリック医薬品は、原薬製造や添加物、製法、製造所などが先発品とは異なります。
また、先発品の特許が切れたあとに製造・販売されるため、研究・開発費がかからない分、先発品と比較して値段が安くなります。
参考:安心してご利用ください ジェネリック医薬品|政府広報オンライン
2.オーソライズドジェネリックと先発品の違い
先発品は、長年の研究開発と臨床試験を経て承認された新薬であり、独自の製法・添加物・品質管理体制のもとで製造されます。特許期間は、他社が同じ有効成分を使った医薬品を販売できないため、先発品メーカーは販売を独占できるのが特徴です。
これに対しオーソライズドジェネリックは、先発品メーカーの許諾を受けた上で、有効成分・製法などを同一にして製造されるジェネリック医薬品です。製造工場やラインが同一であるものもあり、品質や安定性は先発品とほぼ同等とされます。
オーソライズドジェネリックは、薬価がジェネリック水準に設定されるため、先発品に比べて収益性は低くなるのがデメリットです。しかし、先発品メーカーは、先発品の特許が切れるタイミングでオーソライズドジェネリックに切り替え、市場シェアを維持できるメリットがあり、特許切れによる他社ジェネリックの参入で、急激に売り上げが下がるのを緩和することができます。
3.オーソライズドジェネリックと一般的なジェネリック医薬品の違い
一般的なジェネリックは、先発品の特許期間終了後に厚生労働省の承認を得て製造・販売されます。有効成分・効能効果・用法用量は先発品と同一ですが、添加物や製法などは異なることがあり、製造工場も別です。そのため、品質や使用感に差が出る場合があります。
一方、オーソライズドジェネリックは、先発品とほぼ同じ品質を持ちます。さらに、再審査期間終了後であれば特許期間中でも販売できるため、一般的なジェネリックより早く市場に出回ることがあります。
| 一般的な ジェネリック(例) |
オーソライズド ジェネリック (例1) |
オーソライズド ジェネリック (例2) |
|
|---|---|---|---|
| 先発品メーカーと 後発品メーカーの関係 |
無関係 | 契約関係 | 完全子会社 |
| 有効成分 | 同じ | 同じ | 同じ |
| 原薬製造 | 異なる | 同じ | 同じ |
| 添加物 | 異なる | 同じ | 同じ |
| 製法 | 異なる | 同じ | 同じ |
| 製造所 | 異なる | 異なる | 同じ |
| 名称 | 異なる | 異なる | 異なる |
| 販売期間 | 特許期間・再審査期間が終了後 | 再審査期間が終了後 (特許期間中でも販売可) |
|
一般的なジェネリック医薬品に比べてオーソライズドジェネリックは「先発品との違いが少ないジェネリック」であるため、患者さんの不安を軽減しやすいのが特徴です。そのため、医療現場でも優先的に選択されやすいでしょう。
4.オーソライズドジェネリックの種類
先述したように、オーソライズドジェネリックは、基本的に有効成分や製法などが先発品と同一とされています。しかし、その全てが「完全に」同一というわけではありません。オーソライズドジェネリックは製造する過程によって、大まかに3種類に分けられるとされています。
| AGの種類 | 生物学的 同等性試験 |
原薬 | 製法 | 製造技術 | 製造工場 |
|---|---|---|---|---|---|
| ① | 不要 | 同一 | 同一 | 同一 | 同一 |
| ② | 必要 | 同一 | 同一 | 異なる | 異なる |
| ③ | 必要 | 異なる | 同一 | 異なる | 異なる |
参考:オーソライズドジェネリック(AG)とは何ですか|日医工株式会社
1つ目は、先発品と同じ原薬、製法、製造技術、製造工場を使用して製造したものです。これは、先発品とほぼ同一と考えて差し支えないでしょう。2つ目は、先発品と同一の製法、原薬を用いていますが、異なる製造技術や製造工場で製造したもの。そして3つ目は、製法のみ同じで、原薬や製造技術、製造工場が異なるものです。
オーソライズドジェネリックの種類によって、国への申請方法にも違いがあります。製法、原薬、製造技術、製造工場が全て先発品と同一の場合は、申請の際に生物学的同等性試験は不要ですが、完全に同一でない場合は、他のジェネリックと同様に試験の実施が求められます。オーソライズドジェネリックと一口にいっても、中には先発品と異なる部分もあると理解した上で患者さんに説明できるようになりましょう。
5.オーソライズドジェネリックのメリット
オーソライズドジェネリックのメリットについて見ていきましょう。
5-1.患者さんへの提案がしやすい
そもそもジェネリックは、先発品に比べて薬価が安いため、医療費を抑えたいと考える患者さんにとって大きなメリットがあるといえます。しかし、中には「ジェネリックは効かないのでは?」と不安を感じる患者さんもいます。
その点、オーソライズドジェネリックは、他のジェネリックと比べて、先発品との共通点が多く、先発品で蓄積された有効性・安全性についてのデータも活用できるため、医師・薬剤師から提案しやすいという利点があります。
5-2.生産・供給体制が安定している
先発品メーカーの関連会社などがオーソライズドジェネリックを製造する場合、すでに安定的な生産・供給体制が整っていることが多いのもメリットです。
医薬品流通が不安定な昨今において、比較的安定して医療機関に納入されるのは安心感があるでしょう。物流が安定していると、患者さんにとっても服用薬のメーカーが頻繁に変わらないため、安心して治療に取り組めるのではないでしょうか。
さらに、他のジェネリックに先駆けて販売されることも多く、いち早く切り替えることができます。医療費の関係などで早くジェネリックを使いたいと考える患者さんにとってメリットとなるでしょう。
参考:医薬品の安定供給について|厚生労働省
6.オーソライズドジェネリックのデメリット
続いて、オーソライズドジェネリックのデメリットについてお伝えします。
6-1.他のジェネリックより薬価が高くなる場合がある
デメリットとして注目したいのが、他のジェネリックよりも薬価が高い場合があることです。
そのため、患者さんによっては薬代が下がるメリットを感じにくいこともあるでしょう。
6-2.販売の有無が確認しにくい
ジェネリックが存在する全ての薬に対して、オーソライズドジェネリックが販売されるとは限らないこともデメリットといえるでしょう。
薬剤師が特にデメリットとして感じやすいのが、オーソライズドジェネリックには公的な一覧表がなく、調べることや見分けることが大変な点ではないでしょうか。
オーソライズドジェネリックを確認するためには、各ジェネリックメーカーの公式サイトなどで確認する必要があり、手間がかかりやすいのが難点です。
6-3.先発品メーカーの利益構造に影響がある
厚生労働省の資料では、オーソライズドジェネリックが特許切れ後も先発品メーカーの収益源として使われていると指摘されています。
本来は、特許期間中に新薬の開発費を回収し、特許が切れたら市場から引いて、次の新薬の研究・開発に取り組むことが望ましいとされています。先発品メーカーには、医療の発展に寄与することや、国際的な競争力を高める役割が期待されているのです。
一方で、オーソライズドジェネリックは品質が先発品と同一であることや、患者さんへの説明のしやすさなどから、多くの病院や薬局で採用されているのが現実です。そのため、今後はオーソライズドジェネリックの制度や役割を見直して、先発品の収益構造とのバランスを考える必要があるとされています。
参考:医薬品の安定供給について|厚生労働省
7.薬剤師がオーソライズドジェネリックの服薬指導をするときのポイント
薬剤師が患者さんに服薬指導をする際は、オーソライズドジェネリックの特徴や一般的なジェネリックとの違いについて正しい情報を伝えることが大切です。
先発品希望の患者さんにオーソライズドジェネリックを勧める際は、先発品とどこが一緒で、何が違うのか、先発品と同じ薬なのになぜ値段が安いのかなどの疑問に的確に答えられるように、薬剤師自身も十分に理解を深めておきましょう。
8.オーソライズドジェネリックへの理解を深めよう
オーソライズドジェネリックは、先発品と同じ成分・製法で製造されているため、患者さんへの説明もしやすい場合があります。ただし、オーソライズドジェネリックであっても、患者さんがジェネリック変更に納得していない状況での無理な切り替えは好ましくありません。医師や薬剤師が患者さんの疑問に丁寧に答え、メリットを理解してもらった上で進めることが大切です。患者さんが安心して治療を受けられるように、薬剤師はオーソライズドジェネリックへの理解を深めましょう。

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。
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