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薬局倒産は過去2番目水準~大手と中小の二極化傾向 東京商工リサーチ

薬+読 編集部からのコメント

2025年1~8月の調剤薬局の倒産は20件と、過去最高となった2021年同期、24年同期の22件に迫る多さになったことを東京商工リサーチが発表しました。2024年度の業績は調剤薬局大手が増収増益、中小・零細薬局は増収大幅減益と、二極化している傾向が浮かび上がっています。

東京商工リサーチは、1~8月における調剤薬局の倒産が20件と過去最高となった2021年同期、24年同期の22件に迫る多さになったと発表した。資本金1億円以上の調剤薬局大手の24年度業績が増収増益と好調だったのに対し、資本金1億円未満の中小・零細薬局は増収大幅減益と規模で二極化していると分析。同社は、今後の展開について「年間初の30件台の倒産数となる可能性がある」と見通した。

 

1~8月の調剤薬局の倒産件数が20件となり、2番目の高水準で高止まりしている。主な倒産では、8月に首都圏中心に調剤薬局をグループで展開していたシティ・メディカル・ホールディングスと関連会社3社が負債合計30億2600万円を抱えて会社更生手続開始決定を受けた。24年7月には、約60カ所の調剤薬局を全国展開していた寛一商店と関連8社が負債合計111億6000万円を抱えて会社更生法の適用を申請している。

 

調剤薬局の倒産は中小・零細企業が中心だが、最近は複数のグループ企業を傘下に置く中堅規模の企業も目立っている。調剤薬局は地方を中心に薬剤師不足が深刻さを増し、人材確保には待遇アップが必要だが、賃上げ原資の確保については企業規模で対応が分かれる。

 

業績についても大手と中小・零細で業績が二極化している傾向が浮かび上がった。24年4月期から25年3月期を24年度(最新期)とし、3期連続で売上高と当期利益が判明した603社の業績動向を分析した。その結果、24年度は売上高1兆5748億円(前期比6.0%増)、当期利益234億円(同24.0%減)で、中小・零細企業の大幅減益に引きずられ、増収減益となった。

 

利益率は22年度、23年度は資本金1億円未満が2%を超え、同1億円以上を上回ったが、最新期は資本金1億円未満が1.3%に落ち込み、同1億円以上が1.6%で逆転した。

 

水道光熱費・家賃などの高騰に加え、薬剤師や従業員確保のための人件費アップも調剤薬局の利益を圧迫しているという。その背景について、同社は「大手が事業の多角化やM&Aなどで、スケールメリットを生かす戦略の推進で利益を改善させたのに対し、中小・零細企業はリソース不足でコストアップに有効な対抗策が打てず、収益悪化に陥った企業が多い」と分析している。

 

退出動向を見ると、24年は倒産28件、休廃業・解散87件で合計115件が退出している一方、新設法人数は120件で、新規参入企業が退出企業数を5件上回った。15年以降、退出企業数が新設法人数を上回ったのは22年のみ。新設法人数は19年の163件をピークに、コロナ禍の22年は109件まで減少したが、23年以降はじわりと増加に転じた。

 

同社は、収益が悪化する中小企業が増加する一方、新規参入が多い調剤薬局について、「ドラッグストアや大手の総合小売業者など他業種からの参入もあり、顧客の奪い合いは加速している」との見方を示している。

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出典:株式会社薬事日報社 

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