薬剤師による服薬フォローアップは、薬の安全性と治療効果を確保するための重要なプロセスです。本記事では、服薬フォローアップの概要や流れ、具体例を解説するとともに、服薬フォローアップに関連する調剤報酬「調剤後薬剤管理指導料(旧:調剤後薬剤管理指導加算)」「服薬情報等提供料2のイ」についてお伝えします。

- 1.服薬フォローアップとは?
- 2.薬剤師による服薬フォローアップの流れ
- 2-1.服薬フォローアップの必要性を判断
- 2-2.患者さんの課題や最終目標を設定
- 2-3.服薬フォローアップの実施
- 2-4.服薬フォローアップの情報を記録・共有
- 2-5.次回以降の対応を計画
- 3.服薬フォローアップの具体例
- 3-1.【全疾患共通】来局早期の服薬フォローアップ具体例
- 3-2.【全疾患共通】継続中長期の服薬フォローアップ具体例
- 3-3.【心不全】来局早期の服薬フォローアップ具体例
- 3-4.【心不全】継続中長期の服薬フォローアップ具体例
- 4.服薬フォローアップに関連する調剤報酬
- 4-1.調剤後薬剤管理指導料(旧:調剤後薬剤管理指導加算)
- 4-2.服薬情報等提供料2のイ
- 5.服薬フォローアップは薬剤師の重要な役割
1.服薬フォローアップとは?
服薬フォローアップとは、薬剤師が薬を渡すときだけでなく、薬を使用している期間を通じて患者さんを継続的に支える取り組みのことです。薬剤師法・薬機法改正によって2020年9月から義務化されました。
参考:薬剤師及び薬局に関する改正薬機法の施行状況及び最近の状況|厚生労働省
具体的には、以下のような情報を把握し、薬学的な知見に基づいて分析・評価を行うことを指します。
● 一般用医薬品(市販薬)を含む併用薬
● 患者さんの体調や生活環境
投薬後に必要な対応を行うことで、患者さんが安心して治療を続けられるようサポートします。
服薬フォローアップは、薬剤師による継続的な薬学管理の一環であり、薬物療法の「質」と「安全性」を高めるための重要な手段です。患者さん一人ひとりに合わせた薬物療法を実現するために行います。
参考:薬剤使用期間中の患者フォローアップ~適正な薬物治療共同管理計画に向けたフォローを実施するために~|厚生労働省
2.薬剤師による服薬フォローアップの流れ
薬剤師による服薬フォローアップは、計画から確認、記録、共有、そして再評価へと続く一連の流れで進められます。対応にあたっては、患者さんの理解度や生活背景を踏まえて、副作用の早期発見と服薬継続の支援を重視することが大切です。
ここでは、薬剤師による服薬フォローアップの流れについて解説します。
2-1.服薬フォローアップの必要性を判断
まずは、初回来局時に、患者さんの情報と薬学的知見に基づいて、服薬フォローアップの必要性を検討します。その後、処方薬や服薬指導から得た情報などから、投薬後に服薬フォローアップが必要かどうかを総合的に判断します。
このとき、服薬フォローアップの実施を前提に必要性を判断しないようにしましょう。ハイリスク薬が処方されているといった一律の条件をもとに判断せず、処方薬や服薬指導の内容などを丁寧にアセスメントすることが大切です。必要な患者さんに対して、適切に実施できるよう心がけましょう。
2-2.患者さんの課題や最終目標を設定
患者さんの情報や服薬指導から服薬フォローアップが必要と判断された場合には、患者さんの課題や最終的な目標を設定します。
ここで大切なのは、薬剤師の視点だけに偏らず、患者さん自身がどうありたいかという希望を尊重することです。薬剤師は患者さんと課題や目標を共有し、目標達成を目指していく姿勢が求められます。
2-3.服薬フォローアップの実施
服薬フォローアップを行う際は、実施のタイミングや方法、内容を検討した上で進めることが大切です。電話やメールなどを通じて服薬状況や体調を確認し、患者さんの理解度に応じて専門用語を避けながら服薬の重要性を伝えます。
副作用については「眠気」や「胃の不快感」といった具体的な症状を例示し、患者さんが答えやすいように聞き取りを行いましょう。飲み忘れや自己判断による中断などがないかを丁寧に確認し、服薬アドヒアランスを把握します。
2-4.服薬フォローアップの情報を記録・共有
服薬フォローアップで得られた情報は、薬歴に記録します。薬歴には、患者さんの訴えや副作用の有無、服薬状況などの情報を詳細に記録するとともに、評価や次回来局時の対応についても記載しましょう。
必要に応じて、医師や看護師などの他職種へ情報共有し、患者さんが安心・安全な薬物治療を行えるよう支援することが重要です。
🔽 薬歴について解説した記事はこちら
2-5.次回以降の対応を計画
服薬フォローアップは、一度きりで完結するものではありません。疾患の進行状況や服薬期間に加え、治療効果の変化、さらには患者さんの生活環境や心情の移り変わりによって、時間の経過とともに新たな課題が生じる可能性もあります。
そのため、薬剤師は長期的な視点を持ち、「どの時期にどの課題へ重点を置いて服薬フォローアップを行うのか」を見極める姿勢が求められます。来局のタイミングを適切に活用しながら、継続的にフォローアップを実施していくことが期待されています。
参考:薬剤使用期間中の患者フォローアップ ~適正な薬物治療共同管理計画に向けたフォローを実施するために~|厚生労働省
3.服薬フォローアップの具体例
厚生労働省が提示する服薬フォローアップの手引きでは、患者さんの課題に対する目標の設定について、疾患ごとに来局早期と継続中長期に分けて具体例が示されています。
ここでは、厚生労働省が提示する服薬フォローアップの具体例を紹介します。
3-1.【全疾患共通】来局早期の服薬フォローアップ具体例
| プロブレム | アドヒアランス不良となる可能性がある |
|---|---|
| プロブレムの原因 | 薬の服用方法・使用方法の理解が不十分でアドヒアランスが低下する恐れがある |
| 対処 | ● 薬の服用方法や使用方法について説明だけで終わらず、患者さんが正しく理解しているか理解度を確認する ● 認知機能低下などにより理解度に不安がある場合は、家族やサポートしてくれる人に説明を行い協力が得られる体制を構築する |
| ゴール | 服用方法・使用方法を正しく守り、アドヒアランスが保たれている |
3-2.【全疾患共通】継続中長期の服薬フォローアップ具体例
| プロブレム | 副作用出現または薬の効果などに問題がある |
|---|---|
| プロブレムの原因 | 目標検査値を理解していない、または適正検査値範囲内におさまっていない |
| 対処 | ● 患者さんが医療機関で検査を受けている場合は、可能な限り検査値を聞き取る ● 目標検査値を明確にし、適正検査値範囲内におさまっているか確認する ● 適正検査値範囲内におさまっていない場合は、アドヒアランスの確認をする |
| ゴール | 目標検査値の把握、適正検査値範囲内におさまっている |
3-3.【心不全】来局早期の服薬フォローアップ具体例
| プロブレム | 患者さんの特性で注意する点がある |
|---|---|
| プロブレムの原因 | 腎機能低下がある |
| 対処 | ジギタリス製剤は腎排泄性薬剤のため、腎機能低下者、高齢者など生理的要因に合わせた用量・用法になっていることを確認する |
| ゴール | 腎機能に応じた用量・用法になっている |
3-4.【心不全】継続中長期の服薬フォローアップ具体例
| プロブレム | 副作用出現または薬の効果などに問題がある |
|---|---|
| プロブレムの原因 | 薬物相互作用があり、作用増強がみられる |
| 対処 | 併用注意薬があれば注意し、必要であれば相互作用のない代替薬の提案や血中濃度特定の依頼をする ● ジゴキシンの作用を増強する薬(解熱・鎮痛・消炎剤、不整脈用薬、β遮断薬など) ● β遮断薬の作用を増強する薬(Ca拮抗薬など)など |
| ゴール | 薬物相互作用を回避することで、薬の作用増強はみられない |
参考:薬剤使用期間中の患者フォローアップ~適正な薬物治療共同管理計画に向けたフォローを実施するために~|厚生労働省
4.服薬フォローアップに関連する調剤報酬
服薬フォローアップに関連する調剤報酬として、調剤後薬剤管理指導料(旧:調剤後薬剤管理指導加算)と服薬情報等提供料があります。ここでは、2026年1月時点の情報をもとに、それぞれについて解説します。
4-1.調剤後薬剤管理指導料(旧:調剤後薬剤管理指導加算)
調剤後薬剤管理指導料とは、糖尿病または慢性心不全の患者さんが安心・安全な薬物治療を実施できるよう、医療機関と薬局が連携してサポートを行った場合に算定できる薬学管理料です。
2024年度診療報酬改定で「調剤後薬剤管理指導加算」から「調剤後薬剤管理指導料」へ変更されました。
調剤後薬剤管理指導料の点数と主な算定要件は以下のとおりです。
| 対象者 | 糖尿病治療薬の追加・変更があった糖尿病の患者さん | 入院経験があり循環器官用薬などを複数服用中の慢性心不全の患者さん |
|---|---|---|
| 点数 | 60点(1回/月) | |
| 薬局の要件 | 地域支援体制加算を届け出ている保険薬局 | |
| 管理・指導 | 調剤後に電話などにより、治療薬の使用状況、体調の変化、副作用が疑われる症状などの有無を継続的に確認・指導 | |
| 患者さんの同意 | 必要 | |
| 実施の判断 | ● 医療機関からの求めがあった場合 ● 患者さんや家族などの求めがあり、薬剤師が必要性を認めて、医師の了解を得た場合 |
|
| 医療機関への情報提供 | 文書 | |
調剤後薬剤管理指導料は、以下を算定する場合は算定できません。
● 服薬情報等提供料1・2・3(同内容の文書の場合)
また、特別調剤基本料Aを算定する薬局が不動産取引などの特別な関係のある医療機関へ情報提供した場合にも、調剤後薬剤管理指導料は算定できません。
🔽 調剤後薬剤管理指導料について解説した記事はこちら
4-2.服薬情報等提供料2のイ
服薬情報等提供料2にはイ、ロ、ハがあり、以下のケースで算定できます。
| 項目 | 点数 | |
|---|---|---|
| イ | 医療機関に必要な情報を文書により提供した場合 | 20点 |
| ロ | リフィル処方箋による調剤後、処方医に必要な情報を文書により提供した場合 | |
| ハ | 介護支援専門員に必要な情報を文書により提供した場合 | |
服薬指導や服薬フォローアップなどで得た情報を医療機関へ文書で共有した場合には、服薬情報等提供料2のイが算定できるでしょう。そのため、服薬情報等提供料2のイは、服薬フォローアップそのものを評価したものではありませんが、関連する調剤報酬といえます。
服薬情報等提供料2のイの主な算定要件は以下のとおりです。
| 患者さんの同意 | 必要 |
|---|---|
| 情報提供の内容 | ● 服用薬・服薬状況 ● 服薬指導の要点 ● 服薬期間中の患者さんの状態の変化等 ● 副作用等の症状がある場合は、その原因の可能性がある薬剤の推定 ● 患者が容易にまたは継続的に服用できるための技術工夫等の調剤情報 |
| 医療機関への情報提供 | 文書 |
服薬情報等提供料2は、以下を算定している場合、算定できません。
● かかりつけ薬剤師包括管理料
● 在宅患者訪問薬剤管理指導料
また、同内容の文書の場合、以下についても算定できません。
● 吸入薬指導加算
● 服用薬剤調整支援料2
● 調剤後薬剤管理指導料1・2
また、特別調剤基本料Aを算定する薬局が不動産取引などの特別な関係のある医療機関へ情報提供した場合や、特別調剤基本料Bを算定している薬局も調剤後薬剤管理指導料は算定できません。
🔽 服薬情報等提供料について解説した記事はこちら
5.服薬フォローアップは薬剤師の重要な役割
薬剤師による服薬フォローアップは、患者さんの安全性と治療効果を守るために不可欠です。義務化により、薬剤師は投薬後も継続的に状況を確認し、必要に応じて医師へ情報提供する役割を担います。
また、服薬フォローアップに関連する調剤報酬として「調剤後薬剤管理指導料」や「服薬情報等提供料2のイ」があり、薬局と医療機関の連携を通じて質の高い薬物療法を支える仕組みが整えられています。
🔽 服薬指導について解説した記事はこちら

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。
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