バイオ後続品調剤体制加算は、2026年度調剤報酬改定により調剤基本料の加算として新設されました。バイオ医薬品は温度管理や在庫リスクなど、薬局側に高度な管理体制が求められる医薬品です。そのため、患者さんが安心してバイオ後続品を選択できる環境整備を進めることが重要視され、調剤体制の整備状況を評価する仕組みが導入されました。本記事では、バイオ後続品調剤体制加算が新設された背景や点数・算定要件、施設基準を解説するとともに、対象薬剤や届出方法、バイオ後続品に関連する他項目の改定について分かりやすく解説します。

1.バイオ後続品調剤体制加算とは?
バイオ後続品調剤体制加算とは、バイオ後続品の調剤体制を整備している薬局を評価するために、2026年度調剤報酬改定で新設された調剤基本料の加算です。
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省
医科診療報酬では、2024年度診療報酬改定で「バイオ後続品使用体制加算」が新設されました。医科診療報酬に続いて調剤報酬でも、バイオ後続品の取り扱いを評価することとなりました。
1-1.2026年度調剤報酬改定で新設された背景
2026年度調剤報酬改定でバイオ後続品調剤体制加算が新設されたのは、バイオ後続品を取り扱う薬局・薬剤師を適切に評価し、使用を促進するためです。
バイオ医薬品はその特性上、徹底した温度管理が求められるため、薬局は保冷庫管理をするための設備体制を整えなければなりません。加えて、バイオ医薬品自体が高額であり、在庫を抱えることは薬局経営におけるリスクとなりえます。
また、患者さんにとって安心・安全な薬物治療ができるよう、薬剤師には安全性や有効性、品質、取り扱いについての知識やスキルが求められます。
このように、バイオ医薬品は取り扱う上で設備投資や専門性などが必要です。そのため、バイオ医薬品の取り扱いを適切に評価して使用促進を促すことを目的に、バイオ後続品調剤体制加算が新設されました。
参考:個別事項(その12)後発医薬品、バイオ後続品の使用体制②|厚生労働省
2.バイオ後続品調剤体制加算の点数と算定要件
バイオ後続品調剤体制加算の算定点数は50点で、インスリン製剤を除くバイオ後続品を調剤した場合に算定することができます。算定要件は以下のとおりです。
| 対象医薬品 | バイオ後続品(インスリン製剤を除く) |
|---|---|
| 薬剤師の対応 | 先行バイオ医薬品とバイオ後続品の効能または効果が異なるバイオ医薬品の一般的名称が記載された処方箋を受け付けた薬局の薬剤師は、後発医薬品の調剤と同様に適切な対応を行うこと |
| 留意事項 | 先行バイオ医薬品について処方箋に銘柄名が記載されている場合は、薬局から処方医へ事前に確認することなくバイオ後続品に変更して調剤することはできない |
また、特別調剤基本料Aを算定している薬局は、バイオ後続品調剤体制加算の所定点数を100分の10にし、小数点以下第一位を四捨五入した点数を算定することとされています。
特別調剤基本料Bを算定している薬局は、上記の要件を満たしていてもバイオ後続品調剤体制加算を算定できません。
2-1.バイオ後続品調剤体制加算の対象薬剤
バイオ後続品調剤体制加算の対象薬剤は、厚生労働省が公表している「『診療報酬における加算等の算定対象等となるバイオ後続品』について」の別紙1に示されるバイオ後続品のうち、インスリン製剤を除く薬剤とされています。必要に応じてリストを確認しましょう。
3.バイオ後続品調剤体制加算の施設基準
バイオ後続品調剤体制加算の施設基準は以下のとおりです。
● バイオ後続品の調剤を積極的に行っている旨を薬局の内側および外側の見えやすい場所に掲示すること。
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
3-1.バイオ後続品調剤体制加算の届出・計算方法
バイオ後続品調剤体制加算は、施設基準に係る届出を行うことで算定できます。別添2の様式87の3の7「バイオ後続品調剤体制加算に係る届出添付文書」を用いることとされており、バイオ医薬品の成分数は、調剤実績のある成分のみを計算に含めなければなりません。
「バイオ後続品調剤体制加算に係る届出添付文書」には、調剤割合を計算するバイオ医薬品成分名として、以下の8成分が記載されています。
2. インスリンアスパルト(遺伝子組換え)
3. インスリングラルギン(遺伝子組換え)
4. インスリンリスプロ(遺伝子組換え)
5. エタネルセプト(遺伝子組換え)
6. ソマトロピン(遺伝子組換え)
7. テリパラチド(遺伝子組換え)
8. フィルグラスチム(遺伝子組換え)
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
届出書の「バイオ後続品調剤数量」「バイオ先行品調剤数量」については、薬局の実態を適切に反映した任意の月数または期間における実績を記入する必要があります。
4.2026年度調剤報酬改定におけるバイオ後続品関連の変更点
2026年度調剤報酬改定では、バイオ後続品調剤体制加算の新設以外にも、バイオ後続品に関連する見直しが行われました。ここでは、特定薬剤管理指導加算3と薬担規則について、バイオ後続品に関連する変更点をお伝えします。
4-1.特定薬剤管理指導加算3の見直し
特定薬剤管理指導加算3のロは、医薬品の選択に関わる情報が特に必要な患者さんに対して説明・指導を行った場合に算定できるもので、要件を満たすことで10点を算定できます。
2026年度調剤報酬改定により、以下の患者さんに対してバイオ後続品の品質や有効性、安全性などの説明を行った場合にも算定できるようになりました。
● バイオ後続品を処方された患者さん
4-2.薬担規則などの一部改正
バイオ後続品の使用を促進する観点から、保険医療機関及び保険医療養担当規則(薬担規則)などについても一部改正が行われました。
「保険医療機関及び保険医療養担当規則等の一部改正に伴う実施上の留意事項(令和8年3月5日)」に記載されている「バイオ後続品の調剤の体制に関する事項」は以下のとおりです。
2. 保険薬剤師は、保険医がバイオ医薬品の一般的名称を記載する処方箋を交付したときは、患者に対して、バイオ後続品に関する説明を適切に行わなければならないものとしたこと。この場合において、保険薬剤師は、バイオ後続品を調剤するよう努めなければならないものとしたこと。
3. 先行バイオ医薬品とバイオ後続品の効能効果が異なるバイオ医薬品の一般的名称が記載された処方箋を受け付けた保険薬局の保険薬剤師は、後発医薬品の調剤と同様に、適切な対応を行うこと。
4. バイオ医薬品を含む注射薬について処方箋に銘柄名の記載がなされた場合は、保険薬局において処方医に事前に確認することなく含量違い又は類似する別剤形の後発医薬品に変更して調剤すること(変更調剤)はできないことに留意すること。
5.そもそも、バイオ後続品とは?
バイオ後続品とは、「バイオシミラー」とも呼ばれており、先行バイオ医薬品の特許が切れた後に他の製薬会社から発売される薬です。
バイオ医薬品は遺伝子組換え技術や細胞培養技術などの最先端技術を用いて開発されるため、薬価が高額なものが多くなっています。
しかし、バイオ後続品は一般的に先行バイオ医薬品よりも研究開発にかかる費用を低く抑えられるため、先行バイオ医薬品に比べて薬価が安いのが特徴です。
参考:厚生労働省 バイオ後続品(バイオシミラー)促進特設サイト
5-1.バイオ後続品と後発医薬品の違い
バイオ後続品と後発医薬品の主な違いは以下のとおりです。
| バイオ後続品 | 後発医薬品 | |
|---|---|---|
| 先発医薬品/先行医薬品 | バイオ医薬品 | 化学合成医薬品 |
| 求められる条件 (有効成分の品質特性) |
品質や有効性などが先行バイオ医薬品と同等/同質である | 有効成分や成分量などが先発品と同一である |
| 開発上の重要なポイント | 主に原薬 | 主に製剤 |
| 臨床試験 | 同等性/同質性を評価する治験が必要 | 生物学的同等性試験による評価が基本 |
| 製造販売後調査 | 原則実施する | 原則実施しない |
参考:バイオ後続品(バイオシミラー)に係る政府方針等|厚生労働省
バイオ医薬品は、微生物や細胞が持つタンパク質などを作る力を利用して製造される医薬品です。複雑な構造である上に、不安定性などの特性があるため、有効成分が先行バイオ医薬品と同一であることを検証するのが難しいとされています。そのため、品質の類似性に加え、臨床試験などで同等の効果・効能、用法・用量で使えることを検証しています。
5-2.バイオ医薬品と一般的な医薬品の違い
先行バイオ医薬品とバイオ後続品の有効成分の同一性などを検証するのが難しいのは、その製造方法や剤型、分子の大きさが関係しているといえます。バイオ医薬品と一般的な医薬品(低分子医薬品)の主な違いは以下のとおりです。
| バイオ後続品 | 一般的な医薬品 (低分子医薬品) |
|
|---|---|---|
| 製造方法 | 細胞の中で生産 | 主に化学合成 |
| 剤型 | 主に注射剤 | 錠剤など多種類 |
| 分子の大きさ | 非常に大きい | 小さい |
| 大きさのイメージ | (例)IgG抗体 分子量約15万 |
(例)アスピリン 分子量180 |
| 開発コスト (フェーズII~III) |
約500億円~1000億円 | 約200億円~300億円 |
| 価格 | 高額 | 安価 (例外あり) |
参考:バイオ後続品(バイオシミラー)に係る政府方針等|厚生労働省
一般的な医薬品は、主に化学合成で生成されており、同一の有効成分を生成しやすいでしょう。錠剤や散剤など室温で保管できるものが多く、安定性が高い傾向にあります。また、分子量が小さいものが多いため、定量・定性が検証しやすいでしょう。
一方、バイオ医薬品は細胞による生産であることに加え、分子量が非常に大きく、剤型も注射剤が中心で、安定性が低い傾向にあるといえます。そのため、一般的な医薬品と比較して、先行バイオ医薬品とバイオ後続品の同一性を検証するのは難しいことが分かります。
6.患者さんが安心してバイオ後続品を選べる調剤体制を
バイオ後続品調剤体制加算は、バイオ後続品の適切な管理や使用促進、患者さんへの丁寧な説明・指導を行う薬局を評価するために新設された加算です。算定するためには、バイオ後続品の調剤割合や掲示義務など、一定の施設基準を満たす必要があります。
また、2026年度の調剤報酬改定では、特定薬剤管理指導加算3や薬担規則の見直しなども行われました。バイオ医薬品の重要性は、今後さらに高まるでしょう。薬局・薬剤師には、制度の理解と体制整備を進めることで、患者さんに安心してバイオ後続品を選択してもらえる環境を作ることが求められます。

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。
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