調剤時残薬調整加算は、2026年度調剤報酬改定で新設された調剤管理料の加算です。本記事では、調剤時残薬調整加算イ・ロ・ハ・ニの点数と算定要件について解説するとともに、レセプト摘要欄のコメントや、疑義解釈Q&Aについてもお伝えします。

1.調剤時残薬調整加算とは?
調剤時残薬調整加算とは、調剤時に7日分以上相当の残薬調整を行った場合に算定できる調剤管理料の加算です。イ・ロ・ハ・ニの4区分があり、算定要件や点数に違いがあります。2026年度調剤報酬改定で新設されました。
厚生労働省が公開している第637回中央社会保険医療協議会総会(2025年12月19日)の資料「個別事項(その19)残薬対策」では、残薬確認について、以下のような現状と課題があることが示されていました。
● 在宅患者さんについては、医師と薬剤師の同時訪問にて、残薬の管理を実施している事例がある。
● かかりつけ薬剤師が患者さんから受ける相談の約6割は残薬に関するものである。
● 残薬調整時に患者さんが全ての薬剤を薬局に持参しないため、正確な残薬数の把握が難しいとする薬剤師は半数を超えており、中には患家まで訪問している事例もある。
調剤時残薬調整加算は、このような状況を踏まえて、実効性の高い残薬対策を評価する目的で新設されたものです。
参考:令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】|厚生労働省
2.調剤時残薬調整加算の点数
調剤時残薬調整加算は、イ・ロ・ハ・二の4区分があります。それぞれの点数は以下のとおりです。
| 区分 | 点数 | |
|---|---|---|
| イ | 在宅患者さんへ処方箋が交付される前に処方内容を処方医に相談し、処方に係る提案が反映された処方箋を受け付けた場合 | 50点 |
| ロ | 在宅患者さんについて調剤日数の変更が行われた場合(イの場合を除く) | 50点 |
| ハ | かかりつけ薬剤師により調剤日数の変更が行われた場合(イおよびロの場合を除く) | 50点 |
| ニ | イからハまで以外の場合 | 30点 |
3.調剤時残薬調整加算の算定要件
調剤時残薬調整加算は、処方医への照会または処方医からの指示によって、薬剤服用歴や患者さんまたはその家族から収集した情報などをもとに、残薬の外形状態や保管状況などを確認し、7日分以上相当の調剤日数の変更が行われた場合に、処方箋受付1回につき算定します。
ただし、患者さんによっては、災害時や受診日の変更などに備えて、意図的に多めに服用薬を保管している場合があります。そのため、残薬調整を行う場合は、患者さんやその家族などに確認してから行うこととされており、単に7日分以上の残薬があることを理由に機械的に残薬調整を行ってはなりません。
なお、調剤管理料を算定していない場合は、調剤時残薬調整加算は算定できません。複数の処方について実施した場合であっても、処方箋受付1回につき1回のみ算定可能となっています。
また、処方箋の「調剤する薬剤を減量した上で保険医療機関に情報提供」の欄の指示で残薬調整をする場合は、調剤する医薬品の調剤日数または数量を「0」とすることはできません。
参考:調剤報酬点数表に関する事項|厚生労働省
3-1.調剤時残薬調整加算イ・ロ・ハ・二の違いとは?
調剤時残薬調整加算は、対象患者さんや薬剤師の関与、かかりつけ薬剤師としての対応であるかによって算定区分が異なります。イ・ロ・ハ・ニの違いは以下のとおりです。
| 区分 | 詳細 |
|---|---|
| イ | 以下を算定している患者さんについて、処方箋の交付前に実施した医師への処方提案に基づく処方箋を受け付けた場合に算定する ● 在宅患者訪問薬剤管理指導料 ● 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料 ● 在宅患者緊急時等共同指導料 ● 居宅療養管理指導費 ● 介護予防居宅療養管理指導費 |
| ロ | 以下を算定している患者さんについて、残数調整をした場合に算定する ● 在宅患者訪問薬剤管理指導料 ● 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料 ● 在宅患者緊急時等共同指導料 ● 居宅療養管理指導費 ● 介護予防居宅療養管理指導費 |
| ハ | 服薬管理指導料「1のイ」または「2のイ」を算定する患者さんについて、残薬調整をした場合に算定する |
| ニ | イ・ロ・ハ以外の場合において、残薬調整をした場合に算定する |
3-2.残薬調整をした場合に実施することとは?
残薬調整を行い、調剤時残薬調整加算を算定する場合には、以下について実施することとされています。
●残薬の状況、その理由
●実際に患者さんへ交付した薬剤の投与量
●患者さんへの説明内容 など
なお、電子処方箋管理サービスのコメント機能を活用することで処方医が確認できる場合には、当該記載をもって処方医への情報提供に代えることができる。
(イ)患者さんに対して次回受診時に処方医へ残薬の状況を報告することを促すこと。
(ウ)手帳を用いて服薬管理指導を行う場合には当該手帳に記載すること。
(エ)処方医に連絡・確認した内容の要点、変更した医薬品の品目名と数量などを、薬剤服用歴などに記載すること。
また、調剤時残薬調整加算を算定する場合は、残薬が生じる理由を分析し、処方医へ連絡・確認する際に必要に応じてその理由を情報提供しなければなりません。
3-3.算定要件に関するQ&A
続いて、「調剤報酬点数表に関する事項」や疑義解釈資料をもとに、調剤時残薬調整加算の算定要件に関するQ&Aを紹介します。
3-3-1.「7日分以上相当」とは?
調剤時残薬調整加算における「7日分以上相当」とは、内服薬であれば7日分以上のことを指します。屯服薬や外用薬などについては、以下のように判断します。
| 種類 | 換算方法 |
|---|---|
| 内服薬 (日数単位で処方される医薬品) |
調剤日数を7日分以上 |
| 屯服薬 | 7回分以上 |
| 外用薬 | 1回使用量に鑑みて、7回分以上の使用量 |
| 注射薬 | 1日使用量に鑑みて、7日分以上の使用量 (インスリン製剤などの1製剤で複数回使用可能な注射薬については、製剤単位で残薬の調整を行うこと) |
| 隔日投与 (服用しない日がある医薬品) |
実際に服薬する日数 |
3-3-2.「6日分以下相当」の残薬調整をする場合は?
薬剤師が患者さんの服薬状況などにより残薬調整の必要性があると判断し、6日分以下相当の調剤日数の変更を行う場合には、その理由を調剤報酬明細書に記載しなければなりません。
また、患者さんやその家族などに次回受診日(調剤日)を確認し、残薬調整の必要性について説明するとともに、薬剤服用歴などへ記録することとされています。
6日分以下相当の処方日数の変更を行う理由については、がん化学療法薬など、高額な医薬品であるため患者さんの負担を軽減する必要が特に高い場合や、薬学的専門的な観点によるものが該当します。
なお、「薬学的専門的な観点によるもの」とは、具体的に以下のような場合が挙げられます。
● 次回の診察時の検査結果などにより処方内容の変更が見込まれる場合
3-3-3.定期処方が続いている患者さんの残薬調整をする場合は?
患者さんによっては、毎回同じような内容の処方が続いているケースがあります。このような処方が続く認知機能に問題がない患者さんについては、残薬が7日分を超えるまで残薬調整を待つことが合理的な状況です。
そのため、こうしたケースにおいて6日分以下相当の処方日数の変更を行う場合には、調剤時残薬調整加算は算定できません。また、処方医が同意していることのみをもって6日分以下相当の処方日数の変更を行う場合も算定できないとされています。
4.調剤時残薬調整加算のレセプト摘要欄への記載事項
6日分以下相当の調剤日数の変更を行い、調剤時残薬調整加算を算定する場合は、残数調製を行う必要性と変更した主な薬剤名をレセプト摘要欄に記載しなければなりません。
また、調剤時残薬調整加算イを算定する場合は、処方医に相談した年月日を記載することとされています。調剤時残薬調整加算のレセプト摘要欄への具体的な記載事項は以下のとおりです。
| レセプト電算処理 システム用コード |
左記コードによるレセプト表示文言 |
|---|---|
| 820101907 | 調整した残薬日数が6日以下の場合、残薬調整をする理由(調剤時残薬調整加算):高額医薬品のため |
| 820101908 | 調整した残薬日数が6日以下の場合、残薬調整をする理由(調剤時残薬調整加算):治療終了予定日との日数調整のため |
| 820101909 | 調整した残薬日数が6日以下の場合、残薬調整をする理由(調剤時残薬調整加算):投与間隔が長い薬剤のため |
| 830100982 | 調整した残薬日数が6日以下の場合、残薬調整をする理由(調剤時残薬調整加算):その他薬学的専門的観点;********** |
| 830100983 | 調整した残薬日数が6日分以下の場合、変更のあった主な薬剤名(調剤時残薬調整加算);**** |
| 850100600 | 相談年月日(調剤時残薬調整加算のイ);(元号)yy“年”mm“月”dd“日” |
参考:「診療報酬請求書等の記載要領等について」等の一部改正について|厚生労働省
なお、「投与間隔が長い薬剤のため」とは、投与間隔が6日間以上の場合を指すとされています。
参考:疑義解釈資料の送付について(その10)|厚生労働省
5.調剤時残薬調整加算の疑義解釈Q&A
続いて、調剤時残薬調整加算の疑義解釈Q&Aを紹介します。
5-1.服薬情報等提供料1との併算定はできる?
「調剤する薬剤を減量した上で保険医療機関に情報提供」の欄にその旨の記載がある処方箋を受け付けたケースでは、残薬が生じている理由を薬学的に分析した上で減数調剤を行い、医療機関に文書で情報提供を行った場合、服薬情報等提供料1と調剤時残薬調整加算を併せて算定できるとしています。
5-2.地域で策定された減数調剤のプロトコルで実施した場合は算定できる?
地域によっては、残薬発見時の残薬調整についてプロトコルを策定している場合があります。プロトコルどおりに残薬調整後、事後報告のみで差し支えないと定められている地域では、7日分以上相当の調剤日数の変更が行われた場合に、調剤時残薬調整加算が算定できます。
また、6日分以下相当の調剤日数の変更を行う場合には、残薬調整の必要性を調剤報酬明細書に記載することで算定できます。ただし、地域のプロトコルで残薬調整を行うことになっていることを理由に算定することはできません。
参考:疑義解釈資料の送付について(その2)|厚生労働省
6.薬剤師として、丁寧な服薬サポートに貢献しよう
調剤時残薬調整加算を算定することは、ポリファーマシーの解消にもつながり、患者さんの安心・安全な薬物治療に貢献できるでしょう。残薬調整をスムーズに行うには、患者さんと丁寧なコミュニケーションを取ることはもちろん、医師とも密に連携を取ることが大切です。より丁寧な服薬サポートのために、薬剤師として積極的に行動を起こしていくことが求められます。

薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。
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