【製薬協調査】非臨床新方法論に課題山積 ~ 半数が未着手でも支障なし 日本製薬工業協会
医薬品開発において、動物実験の使用数削減や代替を図り、コンピュータシステムや生体模倣システム(MPS)、ヒト細胞などを活用して非臨床試験のヒト予測性向上を目指す「NAMs」(新しいアプローチ方法論)の活用推進が課題となっている。日本製薬工業協会の調査では、NAMsに未着手の企業が44%を占めたほか、「NAMsがなくても支障はない」と回答した企業が半数に達した。欧米で動物実験の削減・代替に向けた制度整備が進む中、国内企業のNAMs活用に対する認識の差が浮き彫りとなった。
従来の動物実験では、ヒトにおける有効性や安全性を十分に予測できない場合があることから、NAMs活用を推進する動きが広がっている。米国では米国食品医薬品局(FDA)近代化法2.0に続き、NAMs活用をさらに後押しする近代化法3.0が昨年12月に上院を通過し、下院で審議されている。
また、欧米ではAIやMPSなどを活用した評価法について医薬品開発ツール(DDT)の適格性認定に向けた制度整備も進められており、認定されれば複数の医薬品開発で活用しやすくなるなど、企業にとって利用メリットが大きい。
一方、日本ではDDT適格性認定制度が未整備で、複数のデータや情報を総合的に評価するWOE(ウェイトオブエビデンス)アプローチに基づく個別判断が行われている。そのため、NAMsは動物実験の代替ではなく、既存データを補完する用途が中心だ。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)の調査によると、2022年1月から25年9月までに承認された新有効成分含有医薬品のうちNAMsデータが活用された品目は約1割だったが、いずれも動物実験データと組み合わせた補完的利用でNAMs単独利用の評価は確認されていない。
こうした状況を受け、製薬協は会員企業におけるNAMsとDDTの活用状況を把握するため調査を実施し、内資28社、外資6社の計34社から回答を得た。
FDAが公表したロードマップについては、「認識しているがNAMsは未対応」が53%と半数を超えた。一方、「既に検討中」「検討予定」は計24%にとどまり、「知らなかった」とする回答も6%あった。
NAMsを導入している企業の利用目的では、「動物使用数の削減や苦痛軽減など3Rsの推進」が74%で最多となり、「ヒト特異的反応の評価」が71%と続いた。
規制利用上の課題では、「国際的なガイドラインの欠如」「国内ガイダンスの未整備」といった回答が多かった。これに対し、「NAMsがなくても支障はない」との回答も50%に達しており、企業間でNAMs活用の必要性に対する認識の開きが見られた。
規制当局への要望としては、日本版DDT適格性認定制度の創設を求める声が多かった。既に米FDAや欧州医薬品庁(EMA)ではガイドラインが整備されており、日本でもガイダンス策定に向けた検討が進められている。NAMs活用に向けては国内での規制上の位置付けを明確化することが重要となりそうだ。
出典:薬事日報


薬+読 編集部からのコメント
「NAMs」の活用推進が課題となる中、日本製薬工業協会の調査では、NAMsに未着手の企業が44%を占めたほか、「NAMsがなくても支障はない」と回答した企業が半数に。欧米での制度整備が進む中、国内企業との認識の差が浮き彫りとなっています。