医療

広がる地域フォーミュラリ ~ 継続運用へ安定供給課題 日本フォーミュラリ学会

薬+読 編集部からのコメント

日本フォーミュラリ学会の報告で準備中を含む地域フォーミュラリの実施地域が全国757地区医師会のうち70地区医師会まで拡大していることが明らかに。その一方で安定供給体制や処方データを活用した評価体制の整備などの課題も浮上しています。

準備中を含めた地域フォーミュラリの実施地域が全国757地区医師会のうち70地区医師会まで拡大していることが、日本フォーミュラリ学会の報告で明らかになった。厚生労働省が今年度中に全都道府県で「地域フォーミュラリを策定・検討する場」を設置・整備する方針を掲げ、2026年度診療報酬改定でも地域フォーミュラリに関する項目が盛り込まれたことなどを背景に導入が進んだと見られる。一方、学会が推奨した後発品の安定供給体制や処方データを活用した評価体制の整備といった課題も浮上。地域での運用を支える仕組みが求められている。

 

地域で協働して作成する推奨薬リスト(地域フォーミュラリ)は、地域の医師、薬剤師などの医療従事者と関係団体が協働し、有効性、安全性、経済性などを総合的に評価した上で推奨医薬品や使用方針をまとめる医薬品集。

 

3月に取りまとめられた第4期医療費適正化基本方針では、地域フォーミュラリ導入に向けて都道府県と国が講じるべき取り組みが具体化され、今年度中に各都道府県で検討のための会議体を設置することが盛り込まれた。7月に閣議決定された「骨太の方針2026」でも地域フォーミュラリの全国展開が明記されている。26年度診療報酬改定では、地域フォーミュラリに関する項目が努力義務として初めて導入された。

 

同学会の今井博久理事長は8日に札幌市内で開かれた学術総会で、全国の地区医師会の8割で地域フォーミュラリを実施する学会の目標に触れ、「準備中の地域を含めると目標の約1割まで広がった」と成果を強調。「まずは準備中の地域を実施段階に持ち込み、次期改定までに47都道府県それぞれで少なくとも一つの地域フォーミュラリを実現したい。目標の8割達成に向けても、後発品が全国に浸透するまで30年近くかかったようなペースでは遅い。10年程度での達成を目指したい」と述べた。

 

もっとも、未実施地域で新たに立ち上げることだけが課題ではない。多くの実施地域はPPI(プロトンポンプ阻害剤)やスタチンなどの薬効群に限定されており、今後領域を拡大し、継続的に運用していくためには、行政や医師会、歯科医師会、薬剤師会、保険者が連携して支える仕組みづくりが欠かせない。

 

その一つが推奨薬の安定供給確保だ。同学会のモデル・フォーミュラリが対象とする薬効群では後発品への置き換えが進んでおり、従来のような先発品から後発品への切り替えによる医療費適正化効果は得にくくなっている。このため同学会は、対象疾患に用いる後発品を推奨薬に絞り込むことで、「後発品の少量多品種構造の解消につなげたい」としている。

 

実現に向け、モデル・フォーミュラリで推奨した後発品の安定供給確保を後発品メーカーに働きかける方針だ。既に大手メーカー6社に推奨薬の増産などを求める依頼書を手渡しており、年内にも具体的な成果につなげたい考えを示している。

 

処方データを活用した地域フォーミュラリの評価体制整備も重要な課題となる。レセプトデータを活用すれば、地域における医薬品使用実態の把握や効果検証が可能になるが、データ提供までに時間を要することへの不満は現場で根強い。こうした中、同学会は医薬品使用量や医療経済分析、時系列分析などの定量評価を行う際の共通基盤として、YJコードをマスターコードとする方向性を打ち出した。

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出典:薬事日報

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