薬局初任給、高止まり続く‐病院薬剤師に上昇の兆しも
薬学教育協議会調査
薬学教育協議会がまとめた「2017年3月薬系大学卒業生・大学院修了者就職動向調査」によると、6年制学科卒業生で最も就職者が多かった「薬局」の初任給の分布は、男性が「30万円以上」、女性が「24万~26万円」が最多で、男性は「24万~26万円」にもピークがあったものの、依然として売り手市場を反映した昨年同様の傾向が明らかになった。病院・診療所薬局の初任給は「20万~22万円」「22万~24万円」が最も多い傾向は変わらなかったが、公立大学病院・自治体病院と私立大学病院・一般病院で、より高い給与の「22万~24万円」の分布がやや増加傾向にあり、病院薬剤師の給与に緩やかな上昇が見られた。初任給が最も高額なのは医薬品販売業のうち、ドラッグストアなどの一般販売業となり、男女ともに昨年同様「30万円以上」が最多で4割を占めた。
初任給の調査は、就職者7858人のうち6102人(卒業生の77.7%)からの回答をもとに集計したもの。初任給は本俸を原則としつつ、職域・職場による解釈が異なる場合があることから、全体の傾向についての解析結果を示している。
初任給が最も高額な職種は、ドラッグストアなどの一般販売業で男女とも「30万円以上」が最多と、依然として続く売り手市場を背景に高止まりが続いている。就職者が最も多い薬局の初任給は、「16万~18万円」から「30万円以上」まで幅が見られたが、最も分布が多いのは男性で「30万円超」とドラッグストアなどと同様に高止まりが続いているが、女性では「24万~26万円」とやや低下した。ただ、女性は次いで「26万~28万円」「30万円以上」「28万~30万円」とピークがほぼ横一線で並んでいる。
薬局の初任給で男女合わせると、分布が多かったのは「24万~26万円」が22.8%、「26万~28万円」が20.1%、「30万円以上」が19.2%、「28万~30万円」が14.5%と、約7割以上が24万~30万円以上の範囲にあり、昨年と同様の傾向だった。
国立大学病院など国立系病院薬局の初任給は、男女とも「20万~22万円」が最も多く、男性の43.6%、女性の46.5%、次いで「18万~20万円」が多く昨年より増えた。「公務員給与」の初任給も「20万~22万円」と考えられることから、国立系病院薬局の就職者の初任給は、約半数近くが「20万~22万円」の範囲にある昨年と同様の結果となった。
公立大学病院や自治体系病院薬局の初任給も、国立系とほぼ同様で、最多は「20万~22万円」となったが、「22万~24万円」との回答が昨年より増え、2年連続で増加傾向にある。私立大学病院・一般病院薬局の初任給は、「22万~24万円」が最も多く、より高い給与の分布が昨年に比べてやや増加している傾向が見られた。
一方、製薬企業など医薬品関連企業の初任給は、職種によってバラツキが大きいものの、ほとんどが「20万~30万円以上」の範囲にあった。開発・学術職、医薬情報担当者(MR)、研究・試験・製造職は共に「24万~26万円」が最も多かったが、開発・学術の女性については、「22万~24万円」に次いで「30万円以上」の初任給が3番目に多かった。
出典:薬事日報
薬+読 編集部からのコメント
「2017年3月薬系大学卒業生・大学院修了者就職動向調査」が公開されました。
最も初任給が高いのはドラッグストアなど一般販売業で「30万円以上」、次いで薬局の男性が「30万円以上」、女性が「24万~26万円」、病院・診療所薬局の初任給は「20万~22万円」「22万~24万円」が一番多い回答となる結果でした。