がん患者指導管理料を算定するには、一定以上の知識やスキルがあると認められた医師や看護師、薬剤師などが連携し、患者さんに寄り添った説明や指導などを行うことが求められます。本記事では、がん患者指導管理料イ・ロ・ハ・ニについて、算定要件や点数、施設基準などを解説するとともに、疑義解釈をもとに算定時の注意点についてもお伝えします。
- 1.がん患者指導管理料とは?
- 2.がん患者指導管理料の点数
- 3.がん患者指導管理料の算定要件
- 3-1.がん患者指導管理料イの算定要件
- 3-2.がん患者指導管理料ロの算定要件
- 3-3.がん患者指導管理料ハの算定要件
- 3-4.がん患者指導管理料ニの算定要件
- 4.がん患者指導管理料の施設基準
- 4-1.がん患者指導管理料イの施設基準
- 4-2.がん患者指導管理料ロの施設基準
- 4-3.がん患者指導管理料ハの施設基準
- 4-4.がん患者指導管理料ニの施設基準
- 5.がん患者指導管理料を算定するときの注意点
- 5-1.算定できないケース
- 5-2.各区分の同一日算定と複数回算定の可否
- 6.がん患者指導管理料の算定要件や施設基準を理解しよう
1.がん患者指導管理料とは?
がん患者指導管理料とは、悪性腫瘍の治療を行う患者さんが安全安心に治療を受けるために、医療従事者がさまざまな情報の提供・共有を行うことを評価したものです。
イ・ロ・ハ・ニの4区分があり、それぞれ算定要件や点数、施設基準が異なります。
2.がん患者指導管理料の点数
がん患者指導管理料の点数は、以下のとおりです。
区分 | 点数 | 情報通信機器 使用時の点数 |
---|---|---|
がん患者指導管理料イ | 500点 | 435点 |
がん患者指導管理料ロ | 200点 | 174点 |
がん患者指導管理料ハ | 200点 | 174点 |
がん患者指導管理料ニ | 300点 | 261点 |
情報通信機器の使用時については、情報通信機器を用いた診療の届出を行っている医療機関が、オンライン指針に沿って診療を行った場合に、通常の所定点数に代えて算定します。
参考:医科診療報酬点数表に関する事項|厚生労働省
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省

3.がん患者指導管理料の算定要件
がん患者指導管理料の算定要件は、区分によって異なります。それぞれの算定要件についてお伝えします。
3-1.がん患者指導管理料イの算定要件
がん患者指導管理料イの主な算定要件は、以下のとおりです。
対象患者 | 悪性腫瘍と診断された患者さん | 入院中の患者さん以外の末期の悪性腫瘍の患者さん |
---|---|---|
算定頻度 | ● 患者さん1人につき1回 ● 以下の医療機関がそれぞれ当該指導管理を実施した場合には、それぞれの医療機関で患者さん1人につき1回算定可能 ○ 「B005-6」がん治療連携計画策定料を算定した医療機関 ○ 「B005-6-2」がん治療連携指導料を算定した医療機関 ※当該悪性腫瘍の診断を確定した後に、新たに診断された悪性腫瘍(転移性腫瘍、再発性腫瘍を除く)に対して行った場合は別に算定可能 |
|
環境・設備 | 患者さんの心理状態に十分配慮された環境 | |
患者さんの同意 | 必要(カルテ等に記載) | |
協働する医療従事者 | ● がん診療経験のある医師 ● がん患者さんの看護経験のある専任の看護師 ● 適宜必要に応じてその他の職種 ※説明には医師の同席が必須ではないが、診断結果や治療方針等についての説明は医師が実施すること |
|
説明・指導・相談 | 診断結果及び治療方法等について、患者さんが十分に理解し、納得した上で治療方針を選択できるように説明および相談を実施 | 診療方針等について、当該患者さんの意思決定に対する支援を実施 |
化学療法の対象患者さんには、外来での化学療法の実施方法についても説明を行うこと | ||
文書等による情報提供 | 必要 | |
記録 | 指導内容等の要点を診療録または看護記録に記載 |
参考:医科診療報酬点数表|厚生労働省
参考:医科診療報酬点数表に関する事項|厚生労働省
参考:疑義解釈資料の送付について(その4)平成26年4月23日|厚生労働省
参考:疑義解釈資料の送付について(その1)平成24年3月30日|厚生労働省
3-2.がん患者指導管理料ロの算定要件
がん患者指導管理料ロの主な算定要件は、以下のとおりです。
対象患者 | がんと診断され、継続して治療を行う以下のいずれかの患者さん ● STAS-J(STAS日本語版)で2以上の項目が2項目以上該当 ● DCS(Decisional Conflict Scale)40点以上 ※STAS-Jについては日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団の「STAS-J(STAS日本語版)スコアリングマニュアル第3版」に沿って評価を行うこと |
---|---|
算定頻度 | 患者さん1人につき6回に限り算定 |
環境・設備 | 患者さんの心理状態に十分配慮された環境 |
患者さんの同意 | 必要(カルテ等に記載) |
協働する医療従事者 | ● がん診療経験のある医師 ● がん患者さんの看護経験のある専任の看護師またはがん患者さんへの心理支援経験のある専任の公認心理師 ● 適宜必要に応じてその他の職種 |
説明・指導・相談 | 患者さんの心理的不安を軽減するため、以下について面接を実施 ● 身体症状・精神症状の評価・対応 ● 病状 ● 診療方針 ● 診療計画 ● 外来での化学療法の実施方法 ● 日常生活での注意点等の説明 ● 患者さんの必要とする情報の提供 ● 意思決定支援 ● 他部門との連絡・調整 など ※必要に応じて文書の交付をするなど、分かりやすい説明に努めること ※看護師または公認心理師が実施した場合は、担当医師に患者さんの状態や指導内容などについて情報提供等を行うこと |
記録 | 指導内容等の要点を診療録または看護記録に記載 |
参考:医科診療報酬点数表|厚生労働省
参考:医科診療報酬点数表に関する事項|厚生労働省
3-3.がん患者指導管理料ハの算定要件
がん患者指導管理料ハの主な算定要件は、以下のとおりです。
対象患者 | 悪性腫瘍と診断された患者さんのうち、抗悪性腫瘍剤を投薬または注射されている患者さん(予定を含む) |
---|---|
算定頻度 | 患者さん1人につき6回に限り算定 |
算定期間 | ● 悪性腫瘍剤の投薬もしくは注射の開始日前30日以内 ● 投薬もしくは注射をしている期間 |
環境・設備 | 患者さんの心理状態に十分配慮された環境 |
対象薬剤 | 以下のような悪性腫瘍に対する効能を有する薬剤 ● 薬効分類上の腫瘍用薬 ● インターフェロン ● 酢酸リュープロレリン など |
患者さんの同意 | 必要(カルテ等に記載) |
協働する医療従事者 | ● がん診療経験のある医師または抗悪性腫瘍剤に係る業務経験のある専任の薬剤師 ● 必要に応じてその他の職種 |
説明・指導・相談 | 以下について、文書により説明を実施 ● 薬剤の効能・効果 ● 服用方法 ● 投与計画 ● 副作用の種類とその対策 ● 日常生活での注意点 ● 副作用に対応する薬剤や医療用麻薬等の使い方 ● 他の薬を服用している場合は薬物相互作用 ● 外来での化学療法の実施方法 など 薬剤師が実施した場合は、担当医師に対して以下について情報提供し、必要に応じて副作用に対応する薬剤、医療用麻薬等または抗悪性腫瘍剤の処方に関する提案などを行うこと ● 指導内容 ● 過去の治療歴に関する患者さん情報 ● 服薬状況 ● 患者さんの不安の有無 など |
記録 | 指導内容等の要点を以下に記載、または説明に用いた文書の写しを添付 ● 診療録 ● 薬剤管理指導記録 |
参考:医科診療報酬点数表|厚生労働省
参考:医科診療報酬点数表に関する事項|厚生労働省
参考:疑義解釈資料の送付について(その1)平成26年3月31日|厚生労働省
3-4.がん患者指導管理料ニの算定要件
がん患者指導管理料ニの主な算定要件は、以下のとおりです。
対象患者 | 乳がん、卵巣がんまたは卵管がんと診断された患者さんのうち、遺伝性乳がん卵巣がん症候群が疑われる患者さん |
---|---|
算定頻度 | 患者1人につき1回に限り算定 |
患者さんの同意 | 必要(カルテ等に記載) |
協働する医療従事者 | ● 臨床遺伝学に関する十分な知識を有する医師 ● がん診療の経験を有する医師 ※遺伝カウンセリング加算に係る施設基準の届出を行っている他医療機関の「臨床遺伝学に関する十分な知識を有する医師」と連携して指導を行った場合も算定可能(診療報酬の分配は相互の合議に委ねる) |
説明・指導・相談 | 区分番号D006-18に掲げるBRCA1/2遺伝子検査の血液を検体とするものを実施する前に、診療方針や診療計画、遺伝子検査の必要性などについて患者さんが十分に理解し、納得した上で診療方針を選択できるように、文書により説明・相談を実施 |
記録 | 説明および相談内容等の要点を診療録に記載 |
参考:医科診療報酬点数表|厚生労働省
参考:医科診療報酬点数表に関する事項|厚生労働省
4.がん患者指導管理料の施設基準
がん患者指導管理料の施設基準は、区分によって異なります。ここでは、がん患者指導管理料イ・ロ・ハ・ニの施設基準について詳しく解説します。
4-1.がん患者指導管理料イの施設基準
がん患者指導管理料イの施設基準は、以下のとおりです。
人員配置 | 緩和ケアの研修を修了した医師と専任看護師がそれぞれ1名以上 |
---|---|
体制・整備 | ● 診断結果と治療方針の説明等を行う際には、医師と看護師が同席して行うこと ● 患者さんの希望に応じて、患者さんの心理状況やプライバシーに十分配慮した構造の個室を整備していること ● 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等を踏まえ、適切な意思決定支援に関する指針を定めていること |
医師の要件 | 以下のいずれかの研修を修了した医師 (ア) 「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針」に準拠した緩和ケア研修会 ※2017年(平成29年)度までに開催された「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」に準拠したものを含む (イ) 緩和ケアの基本教育のための都道府県指導者研修会(国立がん研究センター主催)等 |
専任看護師の要件 | 5年以上がん患者さんの看護に従事した経験があり、がん患者さんへの カウンセリング等に係る以下の研修を修了した看護師 (ア) 国または医療関係団体等が主催する研修であること(600時間以上の研修期間で、修了証が交付されるものに限る) (イ) がん看護またはがん看護関連領域における専門的な知識・技術のある看護師の養成を目的とした研修であること (ウ) 講義・演習により、以下の内容を含むものであること イ) がん看護またはがん看護関連領域に必要な看護理論・医療制度等の概要 ロ) 臨床倫理(告知、意思決定、インフォームド・コンセントにおける看護師の役割) ハ) がん看護またはがん看護関連領域に関するアセスメントと看護実践 ニ) がん看護またはがん看護関連領域の患者さんや家族の心理過程 ホ) セルフケアへの支援と家族支援の方法 ヘ) がん患者さんのための医療機関における組織的取組とチームアプローチ ト) がん看護またはがん看護関連領域におけるストレスマネジメント チ) コンサルテーション方法 (エ) 実習により、事例に基づくアセスメントとがん看護またはがん看護関連領域に必要な看護実践 |
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
厚生労働省が公開している「疑義解釈資料の送付について(その1)平成26年3月31日」によると、専任看護師の研修は、以下のものが該当します。
1. 緩和ケア
2. がん性疼痛看護
3. がん化学療法看護
4. がん放射線療法看護
5. 乳がん看護
● 日本看護協会が認定している看護系大学院の以下の専門看護師教育課程
1. がん看護
2. 精神看護
4-2.がん患者指導管理料ロの施設基準
がん患者指導管理料ロの施設基準は、以下のとおりです。
人員配置 | 緩和ケアの研修を修了した医師と専任看護師がそれぞれ1名以上 |
---|---|
体制・整備 | 患者さんの希望に応じて、患者さんの心理状況やプライバシーに十分配慮した構造の個室を整備していること |
医師の要件 | 以下のいずれかの研修を修了した医師 (ア) 「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針」に準拠した緩和ケア研修会 ※2017年(平成29年)度までに開催された「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」に準拠したものを含む。 (イ) 緩和ケアの基本教育のための都道府県指導者研修会(国立がん研究センター主催)等 |
専任看護師の要件 | 5年以上がん患者さんの看護に従事した経験があり、がん患者さんへのカウンセリング等に係る以下の研修を修了した看護師 (ア) 国または医療関係団体等が主催する研修であること(600時間以上の研修期間で、修了証が交付されるものに限る) (イ) がん看護またはがん看護関連領域における専門的な知識・技術のある看護師の養成を目的とした研修であること (ウ) 講義・演習により、以下の内容を含むものであること イ) がん看護またはがん看護関連領域に必要な看護理論・医療制度等の概要 ロ) 臨床倫理(告知、意思決定、インフォームド・コンセントにおける看護師の役割) ハ) がん看護またはがん看護関連領域に関するアセスメントと看護実践 ニ) がん看護またはがん看護関連領域の患者さんや家族の心理過程 ホ) セルフケアへの支援と家族支援の方法 ヘ) がん患者さんのための医療機関における組織的取組とチームアプローチ ト) がん看護またはがん看護関連領域におけるストレスマネジメント チ) コンサルテーション方法 (エ) 実習により、事例に基づくアセスメントとがん看護またはがん看護関連領域に必要な看護実践 |
公認心理士の要件 | 「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針」に準拠した緩和ケア研修会を修了していること ※2017年(平成29年)度までに開催された「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」に準拠したものを含む |
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
専任の看護師については、緩和ケアチームの専従看護師が、緩和ケアチームの業務時間外でがん患者指導管理料ロを算定することが可能です。ただし、1日あたりの算定患者数は、以下を算定する患者数が合わせて30人以内になるようにしなければなりません。
● 外来緩和ケア管理料
● がん患者指導管理料ロ
参考:疑義解釈資料の送付について(その2)平成26年4月4日|厚生労働省
4-3.がん患者指導管理料ハの施設基準
がん患者指導管理料ハの施設基準は、以下のとおりです。
人員配置 | 化学療法の経験を5年以上有する医師と専任薬剤師がそれぞれ1名以上 |
---|---|
体制・整備 | 患者さんの希望に応じて、患者さんの心理状況やプライバシーに十分配慮した構造の個室を整備していること |
薬剤師の要件 | ● 薬剤師としての実務経験が5年以上 ● 化学療法に係る実務経験が3年以上 ● 40時間以上のがん関連研修を修了 ※日本病院薬剤師会、日本臨床腫瘍薬学会、日本医療薬学会が認定するがんに係る研修 ● がん患者さんに対する薬剤管理指導の実績50症例以上 ※複数のがん種であることが望ましい |
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
参考:疑義解釈資料の送付について(その2)平成26年4月4日|厚生労働省
病棟薬剤業務実施加算における病棟専任の薬剤師は、がん患者管理指導料ハの要件である専任の薬剤師と兼務することが可能です。ただし、がん患者管理指導料の業務時間を病棟薬剤業務の実施時間に含めることはできません。
参考:疑義解釈資料の送付について(その1)平成26年3月31日|厚生労働省
🔽 病棟薬剤業務実施加算について解説した記事はこちら
4-4.がん患者指導管理料ニの施設基準
がん患者指導管理料ニの施設基準は、以下のとおりです。
届出 | BRCA1/2遺伝子検査の血液を検体とするものの施設基準に係る届出を行っていること |
---|---|
体制・整備 | 患者さんのプライバシーに十分配慮した構造の個室を整備していること |
参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省

5.がん患者指導管理料を算定するときの注意点
がん患者指導管理料には算定できないケースや同一日算定が可能なケースがあります。厚生労働省が公開している疑義解釈などをもとに、それぞれについて詳しく解説します。
5-1.算定できないケース
がん患者指導管理料イ・ロ・ハに共通する算定できないケースは、以下のとおりです。
● 患者さんの意思が確認できない場合
● 患者さんを除く家族などにのみ説明を行った場合
参考:医科診療報酬点数表に関する事項|厚生労働省
上記は、意識障害や重度認知症などの場合が該当します。
参考:疑義解釈資料の送付について(その1)平成22年3月29日|厚生労働省
また、以下の管理料や加算などは、別に算定することができません。
区分 | 別に算定できない管理料や加算など |
---|---|
がん患者指導管理料ロ | ● A226-2緩和ケア診療加算 ● B001の18小児悪性腫瘍患者指導管理料 ● B001の22がん性疼痛緩和指導管理料 ● B001の24外来緩和ケア管理料 |
がん患者指導管理料ハ | ● B001の18小児悪性腫瘍患者指導管理料 ● B001-2-12外来腫瘍化学療法診療料 ● B008薬剤管理指導料 ● F100処方料の注6に規定する加算 ● F400処方箋料の注5に規定する加算 ※薬剤管理指導料とがん患者指導管理料ハは、算定間隔を6日以上開けることで算定可能 |
がん患者指導管理料ニ | 説明した結果、D006-18の2に掲げるBRCA1/2遺伝子検査の血液を検体とする検査を実施し、D026検体検査判断料の注6遺伝カウンセリング加算を算定する場合 ※他医療機関の臨床遺伝学に関する十分な知識のある医師と連携して指導を行い、遺伝カウンセリング加算を算定した場合も同様に、がん患者指導管理料ニは算定不可 |
参考:医科診療報酬点数表|厚生労働省
参考:医科診療報酬点数表に関する事項|厚生労働省
参考:疑義解釈資料の送付について(その2)平成26年4月4日|厚生労働省
なお、がん患者指導管理料ニについて、検査の必要性を説明した結果、患者さんが検査をしないことを決めた後に、改めて検査を希望したため遺伝カウンセリングを行った場合は算定できます。
参考:疑義解釈資料の送付について(その1)令和2年3月31日|厚生労働省
5-2.各区分の同一日算定と複数回算定の可否
「疑義解釈資料の送付について(その2)平成26年4月4日」によると、がん患者指導管理料の各区分における同一日算定の可否は、以下のとおりです。
がん患者指導管理料ロ | がん患者指導管理料ハ | |
---|---|---|
がん患者指導管理料イ | 同一日算定不可 | 同一日算定不可 |
がん患者指導管理料ロ | 同一日算定可 |
がん患者指導管理料イには、ロとハに関わる指導が含まれているため、同一日に併算定することはできません。
がん患者指導管理料ロとハについては、それぞれ患者さんの同意を得て、診療録等に記録することで同一日算定が可能ですが、同一日にそれぞれを複数回算定することは不可とされています。

6.がん患者指導管理料の算定要件や施設基準を理解しよう
がん患者指導管理料は4区分あり、それぞれ算定要件や施設基準が異なります。算定できないケースや同一日算定が可能なケースなどがあるため、各区分の違いを理解することが大切です。
がん患者指導管理料は、悪性腫瘍の治療を受ける患者さんが、安心安全に治療を受けられるようにするだけでなく、しっかりと理解・納得して治療方針を選択できるように体制整備を行うことを評価したものです。医療従事者は、患者さんの気持ちに寄り添ったサポートができるよう、知識やスキルを高めることが求められます。
🔽 2024年度調剤報酬改定について解説した記事はこちら
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薬剤師ライター。病院・薬局で幅広い診療科を経験。現在は2児の子育てをしながら、Webライターとして活動中。専門的な資料や情報をわかりやすくかみ砕き、現場のリアルに寄り添う言葉で伝えることを大切にしている。同じ薬剤師として、日々の悩みやモヤモヤに共感しながら、少しでも役立つヒントや気づきを届けられるように試行錯誤中。
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