医療費

さらなる適正化に異論出ず‐調剤チェーンの基本料

薬+読 編集部からのコメント

中央社会保険医療協議会総会で、大規模調剤チェーン店などの調剤報酬について意見が出されました。
日本医師会委員が、利益率が高い薬局チェーンの要件の見直しを要求。
行政側の意見は、店舗数の多い薬局、特定の医療機関から処方箋を多く受け付けている薬局、不動産の賃貸借等の関係のある薬局等の評価を見直しで、特に異論は出ませんでした。

調剤報酬のあり方が俎上に載った8日の中央社会保険医療協議会総会では、厚生労働省が示した「店舗数の多い薬局、特定の医療機関から処方箋を多く受け付けている薬局、不動産の賃貸借等の関係のある薬局等の評価を見直すこととしてはどうか」との提案に対し、特に異論は出なかった。


調剤基本料は、通常の「基本料1」(41点)に加え、2016年度診療報酬改定で、いわゆる門前薬局の評価を適正化する観点から、基本料2(25点)「処方箋受け付け回数が月4000回超かつ集中率70%超」または「処方箋受け付け回数が月2000回超かつ集中率90%超」と、薬局グループ全体で月の受け付け回数4万回超の薬局のうち、「処方箋集中率が95%超」または「特定の医療機関との間で不動産の賃貸借取引のある」薬局が算定する基本料3(20点)が設定された。

 

16年度改定では、「かかりつけ薬剤師指導料」を薬剤師1人当たり月100件以上算定している場合に、こうした調剤基本料が低くなる特例点数から41点の「基本料1」に復活できる規定を設けたが、8日の中医協では、「廃止を含めて見直す」ことが提案され、より多くの薬局が特例点数の対象となるよう、要件を見直す方向性が示された。

 

診療側の今村聡委員(日本医師会副会長)は、医療経済実態調査の結果を踏まえ、報酬適正化を行った16年度改定後も店舗数の多いチェーンの利益率が高い点を指摘し、要件の見直しを要望。診療側の安部好弘委員(日本薬剤師会常任理事)も、「患者のための薬局ビジョン」で示されている薬局のあり方と照らし合わせると、さらなる適正化は「いたし方のない措置」とした。

 

支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、財務省が公表した「日本の薬局の処方箋集中率は平均73%」とのデータを引用、基本料3の要件となっている「集中率95%以上」はハードルが「低い」と指摘。「75%にするなど、もっと厳しくすべき」と具体的な数字を挙げた。また、敷地内薬局については、集中率に関係なく点数が低くなる独自の報酬設定を求めた。

 

これに関連して、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、調剤チェーンで相次いで発覚した処方箋付け替えの事例について触れ、「保険者としては看過できない。調剤報酬の返還や、悪質な場合は保険薬局の指定取り消しなど厳正な対処をしていただきたい」と要望。

 

安部委員は、一連の付け替え請求事案では、不正がばれないよう、「自社従業員やその家族で調整」する手法が用いられている可能性を指摘し、こうした操作が「できない方法を考える必要がある」とした。

 

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出典:薬事日報

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