薬剤師会

原薬の追跡システム構築を‐バルサルタン自主回収受け

薬+読 編集部からのコメント

中国で製造された原薬に発癌性物質が混入している懸念から、7月から自主回収が行われている高血圧治療剤「バルサルタン錠『AA』」(あすか製薬)に対し、日本医師会は、原薬の生産国や含有製品などを医療者が追跡できるシステムを構築すべきとの考えを示しました。

制度部会で問題提起へ

日本医師会は22日の定例記者会見で、中国で製造された原薬に発癌性物質が混入している懸念から、あすか製薬が高血圧治療剤「バルサルタン錠『AA』」を先月から自主回収していることを踏まえ、医薬品の原薬について生産国や含有製品などを医療者が追跡できるシステムを構築すべきとの考えを示した。未だ発癌性物質混入の原因究明が行われていない現状を踏まえたもので、日医は医薬品製造・流通に関係する企業の責任を焦点に、薬機法の改正議論を行っている厚生労働省の医薬品医療機器制度部会の議題に上げたい考えだ。

 

バルサルタン錠「AA」をめぐっては、中国の浙江華海薬業が製造する原薬について、あすか製薬が人に対する発癌性を持つ可能性があるN-ニトロソジメチルアミンが混入しているとの情報を入手したことから、7月5日から自主回収が行われている。

 

ただ、日医は、自主回収の発表から1カ月以上経過しても原因究明が行われていない現状を問題視。会見した長島公之常任理事は、「原薬を製造した工場は現在も存在し、仮に不適切な製造が続いているとすれば世界中の患者が危険にさらされる」とし、「4月に薬価基準から削除されているからといって、原因究明を後回しにすべきでない」と批判した。

 

さらに長島氏は、原薬や添加剤の生産国に関する情報開示を日医として要望してきたことに言及した上で、「原薬がどの企業のどの製品に使用され、どの医療機関や患者の手に渡っているかを速やかに遡及できる体制の確保が重要」と指摘。その体制を構築するため、日医として「医薬品医療機器制度部会で、原薬から製剤まで医薬品の製造流通する関係企業の責任を焦点に厳しく議論したい」と述べた。

 

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出典:薬事日報

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