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新薬など3件の承認了承‐Aβ可視化の放射薬が登場

薬+読 編集部からのコメント

2016年10月31日(月)、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は3件の承認と一部変更承認を了承しました。透析終了時の返血時に透析回路静脈側に注入して使用する、二次性副甲状腺機能亢進症治療薬の「パーサビブ」は患者負担の軽減が見込まれます。その他、アルツハイマー型認知症患者の脳内アミロイドβを可視化する放射性医薬品「アミヴィッド」などが了承されています。

薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は10月31日、小野薬品の二次性副甲状腺機能亢進症治療薬「パーサビブ」、富士フイルムRIファーマのアルツハイマー型認知症患者の脳内アミロイドβを可視化する放射性医薬品「アミヴィッド」など3件の承認と一部変更承認を審議し、了承した。


 

パーサビブ静注透析用2.5mg、同5mg、同10mg(小野薬品):新有効成分のエテルカルセチド塩酸塩を含有し、血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症を効能・効果とする。類薬のレグパラ錠が経口投与されるのに対し、同剤は透析終了時に透析回路から投与される注射剤のため、患者の服薬負担の軽減などが期待できる。

 

用法・用量は、1回5mgを開始用量とし、週3回透析終了時の返血時に透析回路静脈側に注入する。それ以後は、患者の副甲状腺ホルモンと血清カルシウム濃度の十分な観察のもと、1回2.5~15mgの範囲内で適宜用量を調整し、週3回透析終了時の返血時に投与する。再審査期間は8年。海外では、欧米で承認されている。

 

ディナゲスト錠1mg、同OD錠1mg(持田製薬):有効成分のジエノゲストを含有し、子宮腺筋症に伴う疼痛の改善の効能・効果を追加する。類薬はない。

 

用法・用量は、1日2mgを2回に分け、月経周期2~5日目より経口投与する。再審査期間は4年。海外では、子宮内膜症の効能・効果で103カ国で承認されている。

 

アミヴィッド静注(富士フイルムRIファーマ):新有効成分のフロルベタピル(18F)を含有する放射性医薬品で、アルツハイマー型認知症が疑われる認知機能障害を有する患者の脳内アミロイドβプラークの可視化を効能・効果とする。

 

同剤は、アミロイドβと特異的に結合するため、同剤を投与後のPET画像検査により、脳内アミロイドβプラークを可視化でき、アルツハイマー病認知症の診断が不確実な認知機能障害患者の確定診断に重要な情報を与えるもの。医薬品としての類薬はない。

 

用法・用量は、370メガベクレルを静脈内投与し、投与30分後から50分後までに撮像を開始する。撮像時間は10分間。

 

再審査期間は8年。海外では、認知機能障害を有する患者における脳内アミロイドβプラークの密度を評価するためのPET画像検査用の放射性医薬品として、欧米など33カ国で承認されている。

 

同剤は、京浜臨海ライフイノベーション国際戦略総合特区、関西イノベーション国際戦略総合特区事業の関連品目。

 

2件をオーファン指定

また同部会では、バイオジェン・ジャパンのヌシネルセンナトリウム、ノバルティスファーマのエルトロンボパグオラミンの2件を希少疾病用医薬品に指定することを了承した。

 

ヌシネルセンナトリウム(バイオジェン・ジャパン):予定する効能・効果は、脊髄性筋萎縮症。脊髄性筋萎縮症は指定難病で、わが国で適応を持つ薬剤はアデノシン三リン酸二ナトリウム水和物(ATP)の注射剤が承認されているものの、ATPの有効性を検証する臨床試験は実施されていない。

 

同剤は、合成アンチセンスオリゴヌクレオチドで、脊髄性筋萎縮症に対して有効性を示すと期待される。I型患者を対象とした海外第II相試験で運動機能の改善を示唆する結果が得られており、I型、II型、III型の脊髄性筋萎縮症患者を対象に日本を含む国際共同第III相試験が進行中。その成績に基づき承認申請予定であり、開発の可能性は高いとした。

 

エルトロンボパグオラミン(ノバルティスファーマ):予定される効能・効果は、再生不良性貧血。再生不良性貧血は指定難病で、骨髄移植が適応とならない場合、シクロスポリンなどの免疫抑制剤が使われるが、約3割の患者が治療抵抗性を示すとされる。

 

同剤は、トロンボポエチン受容体の低分子アゴニストで、再生不良性貧血を改善させると期待される。国内と海外の第II相試験で未治療及び免疫抑制剤の治療抵抗性再生不良性貧血患者に有用性が示されており、これら成績に基づき承認申請予定であり、開発の可能性は高いとした。

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出典:薬事日報

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